【石坂浩二 終わりなき夢】(28)紳助さんが作った「鑑定団」

2016年5月20日10時30分  スポーツ報知

 「開運!なんでも鑑定団」(94年、テレビ東京)の原点は英BBCの「アンティーク・ロードショー」で、NHKでもちょくちょく放送していた。その番組で暖炉の上に掛けられていた絵画がレンブラントの作品と判明し、当時で4億円の値が付きそこから視聴率が急上昇。日本でも同じような番組ができないかとなったらしい。島田紳助さんが「石坂さんがやるなら」と共演もしたことがない私を指名してくれて、私も彼となら一緒にやりたいと思った。

 番組を完成させたのは紳助さんだ。収録が終わると「あそこで振るのはこういう理由だから」「頭にこれがないとダメ」という具合に決まって“反省会”を開いては助言を受けた。私とコンビを組んで紳助さんが台本を書いていたようなもの。こちらが求めているところでスーッと突っ込みを入れてくるし、任せておけば大丈夫という安心感があった。だから降板はショックだった。

 彼がいなくなって雰囲気は変わった。例えば出品者に値段を聞く場面、まぁ決まって安い値を言うが、紳助さんはそこで「ここに持ってきた以上は期待してるんじゃないか」という感じで怒る。流れのままにやっている今田(耕司)さんと違うところだ。編集でカットされるのは紳助さんの時も当然あった。収録で「どうせ放送されないから」と言って、いろいろしゃべるのは昔から変わらない。それがなぜ(年明けになって)視聴者に違和感を持たれたのか。やはりスタジオの雰囲気に問題があったのだろう。テレビにはこの見えないモノが映るから怖い。視聴率のいいドラマは生き生きと映るが悪いのは映像も死んでいる。以前とは違う私が何かを醸し出していたのかもしれない。

 私自身も番組に結構出品していて、最初に出したのは円盤式オルゴールだ。1902年のドイツ・ポリフォン社製の自動式で10枚のディスクが入る。ロンドンで100万円近くで購入した。元々教会にあったらしく浄財を集めるためか、1ペニーが入るようになっていて賛美歌も収録されていた。オルゴールと20枚のディスクは船便で持ち込んだ。扉や飾りを直したり木組みを新しく代えたりゼンマイも取り換えた。運送と修理代で90万円ぐらいかかったが、番組では1500万円の値が付いた。放送後にある博物館から「倍で買います」と問い合わせがあったが、丁重にお断りした。

 4月から「極上!お宝サロン」(BSジャパン)の司会をしている。値段よりはコレクションのうんちくがメイン。コレクターは基本的にみんなに見せたいけど、周囲はそれほど関心を示してくれないことが多い。ゲストが思いの丈を話すのがこの番組の魅力だ。(構成 特別編集委員・国分 敦)

 ◆軍艦旗を寄贈「米国人が持ち込んだ戦艦長門の軍艦旗を(06年に)購入した。5000万円ぐらいで売りたそうだったが付いた値は1000万円。番組で『これは大和ミュージアムに置いておくモノだ』といった手前、仲介者に『1000万円なら』と打診したら、先方の兄弟が探していた腎臓移植のドナーが見つかりそうで即決となった。自宅に旗が到着する日、寄贈先の大和ミュージアムの戸高一成館長と『軍艦長門の生涯』を執筆した作家の阿川弘之先生を招いてから開封した。3.6メートル×5.4メートルの軍艦旗は家の居間よりも大きかった」

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