政活費で本架空購入 印鑑偽造、辞職の意
富山県議会の矢後(やご)肇副議長(56)=自民党、4期=が2014年9月までの4年半の間に、政務活動費で書籍約460冊、計約460万円分を購入したと収支報告書に記載しながら、全く購入していなかったことが13日、分かった。1冊数万円の専門書などを全て同県南砺市の同じ書店で購入したとされるが、書店は取材に、少なくとも一部の書籍に関し「販売、仕入れの実績がない」と話した。
矢後氏は全て架空購入だったと認め、全額を返還するとともに、副議長を辞職する意思を明らかにした。
矢後氏の政務活動費の収支報告書(10〜14年度)によると、高額書籍の購入額は、各年約49万〜約111万円の総額約460万円。購入先とされる書店は数年間の仕入れ・販売記録を保存している。「電気鉄道ハンドブック」(10年9月購入、3万1500円)や「美容皮膚科学」(14年8月購入、2万1600円)など少なくとも数冊について、店長の女性は「販売、仕入れの実績がない」と指摘した。収支報告書には、宛名に「自由民主党政務調査会 矢後肇様」と記載された領収書が添えられているが、店長は発行した記憶がないという。
富山県議会の政務活動費は、1人月額30万円分が各会派に交付され、残額は県に返還する。矢後氏は13日夜、記者会見し、「古書目録でランダムに書籍を選んだ。領収書は、手元にあったものをまねて作った。書店の印鑑は業者で作った」と手口を説明。野々村竜太郎元兵庫県議の「号泣会見」(14年7月)を報道で見て「これはいかんことだと思ってやめようと思った」と話した。矢後氏は「県民の信頼を損ねたことをおわびする。自民会派も退会する」と述べた。【大東祐紀、古川宗】