「生前退位」のご意向 海外のメディアも速報

天皇陛下が、天皇の位を生前に皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を宮内庁の関係者に示されていることについて、海外のメディアは、NHKの報道を引用して速報で伝えています。
このうちロイター通信は「NHKの報道によると、日本の天皇陛下が数年以内に退位する意向だ」としたうえで、「近代の日本においては前例がない」と速報で伝えました。そして、天皇陛下が戦後70年となった去年8月の「終戦の日」に行われた全国戦没者追悼式で、「ここに過去を顧み、先の大戦に対する深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことをせつに願い、全国民とともに、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心からなる追悼の意を表します」とおことばを述べられたことなどを紹介しました。

また、フランスのAFP通信もNHKの報道を引用したうえで「皇室制度を定めた皇室典範には、天皇陛下の退位に関する規定がなく『生前退位』をするには、皇室典範の改正が必要だ」と伝えました。

このほか、イギリスの公共放送BBCや中国国営の新華社通信、それに台湾の大手通信社、中央通信も、それぞれNHKの報道を引用する形で伝えています。

海外での「生前退位」

国王などが高齢や健康上の理由で生前に王位を譲るケースは、ヨーロッパやアジアの国々でも見られます。
このうちスペインでは、おととし、当時の国王のフアン・カルロス1世が「新たな時代の要請に応えて、決意を持って変革を進めるためには、世代交代が必要だ」として、皇太子だった息子に王位を譲っています。フアン・カルロス1世は当時76歳で、体調を崩して入退院を繰り返し、公式行事も皇太子が代わりに出席する機会が増えていたなかでの決断でした。
また、3年前には、日本の皇室とも関係が深いベルギーで、国王だったアルベール2世が、「まもなく80歳を迎え、年齢的にも体力的にも国王としての責任を果たすことはできないと判断した」とテレビで演説し、皇太子だった長男に王位を譲りました。
この年、同じく日本の皇室と関係が深いオランダでも、当時のベアトリックス女王が、「新しい世代に責任を委ねる時が来た」と述べて、75歳の誕生日を前に皇太子に王位を引き継ぎました。
さらにカンボジアでは、2004年、当時81歳だったシアヌーク国王が、高齢と病気を理由に退位の意思を表明し、息子が新しい国王に就任しました。
このほかブータンでは、10年前、王制から立憲君主制への移行を2年後に控えて、当時51歳だったワンチュク国王が、「新しい国王と民主的な政府のリーダーシップの下、ブータンの輝く未来を確信している」と述べ、皇太子に譲位しました。