原発事故 製造メーカーに賠償認めない判決

原発事故 製造メーカーに賠償認めない判決
東京電力・福島第一原発の事故を巡り、国内外に住む人たちが原発を製造したメーカー3社に賠償を求めた裁判で、東京地方裁判所は「事故の責任を電力会社に負わせている今の制度は合理的だ」として、メーカーに対する訴えを退ける判決を言い渡しました。
5年前に起きた福島第一原発の事故を巡り、国内外に住むおよそ3800人の原告は「原発事故の賠償責任を電力会社に負わせている今の制度は原発のメーカーを不当に守るものだ」として、東芝と日立製作所、それにアメリカのGE=ゼネラル・エレクトリックの3社に賠償を求める訴えを起こしていました。
13日の判決で、東京地方裁判所の朝倉佳秀裁判長は「被害者が誰にどの範囲で賠償を請求できるかは、特別な事情がないかぎり立法の裁量だ」と指摘しました。そのうえで「今の法律では被害者への賠償が全うされるように政府の援助も含め規定が整備されている。電力会社に責任を集中させる制度は合理的だ」として、メーカー3社に対する訴えを退けました。

製造メーカーのコメント

日立製作所は「判決は当社の主張を全面的に認めたもので、妥当なものと考えております」としています。また、東芝は「裁判所として、適切な決定をいただいたと認識しています」とコメントしています。
さらにアメリカのGE=ゼネラル・エレクトリックの日本法人、GEジャパン・ホールディングは「裁判所として適切な判断をいただいたと考えています」とコメントとしています。

原告は控訴の意向

判決について、原告の1人で福島県郡山市に住む54歳の女性は「原発を造った企業に事故の責任を問うことは重要だと考えて裁判に参加しましたが、裁判官は福島の現実を見てくれず、怒りを感じています」と述べました。
また、弁護団の共同代表の島昭宏弁護士は「予想以上にひどい判決でがっかりしている。学者の協力を受けて、2審でも戦いたい」と述べ、控訴する考えを示しました。