「エセ吉祥寺民」を撲滅するために、「吉祥寺の境界線」を見に行った
2016/7/13 19:05 ネタりかコンテンツ部
ライターのカツセマサヒコ(@katsuse_m)です。
わたくし生まれも育ちも東京都杉並区でして、吉祥寺と渋谷をつなぐ京王井の頭線のヘビーユーザーでした。地元では「垢抜けて最初に遊びに行く街は、吉祥寺か下北沢」が鉄板でした。
そんな僕からするとちゃんちゃらおかしい話がありまして、それが地方からの上京組による「吉祥寺コンプレックス」です。長い間「住みたい街ナンバーワン」とうたわれた吉祥寺になんとしてでも住みたい! 平日の朝からオシャレなカフェでパンケーキ食べて、それをインスタグラムに載せてたくさん「いいね!」もらって承認欲求をドヤドヤと鎮めたい! と、執拗に吉祥寺に憧れてしまう人たちが多いこと、夏場に湧く蚊の如し。
さらには「吉祥寺コンプレックス」の進化系、「吉祥寺シンドローム」にかかっている人となると、本当の最寄駅はJR中央・総武線の「三鷹駅」とか西武新宿線の「武蔵関駅」なのに、「吉祥寺住み」と言いたいだけの理由で徒歩25分くらいかけて吉祥寺に通ってしまうから恐ろしい。本当に罪な街なのです、吉祥寺は。
そんな吉祥寺シンドロームにかかっている人たちに現実を突きつけるため、今日は吉祥寺の不動産屋G.styleさんにお邪魔して、本当の吉祥寺エリアの境界線はどこなのか、実際にまわってみることにしました。
同行してもらうのはG.style吉祥寺支店の支店長・坂口健太さんです。営業時間中なのに3時間近く店を空けて同行してくれるという、損得勘定がまったくできない人。この自由度こそ、吉祥寺の不動産屋なり。(後から聞いたら、店には別のスタッフの方がすぐ来たそうです)
北へ南へ、境界線を求めて
「さあ、行きましょうか」と言いながら颯爽と日傘を差し始めた坂口さん。30過ぎの男性の割に美意識が高すぎるのも、ぜんぶ吉祥寺のせいにしたい。
「時間が許す限り、全てまわる」という方針のもと、まずは公園口を出て、南の境界線・井の頭公園に向かう。この日の最高気温は32度。真夏日もいいところ。
老舗の焼き鳥屋「いせや」などが並ぶこじゃれた小道を抜けると、井の頭公園にさしかかる。
ここから南に住んでいる人は、三鷹市民!
別にこの辺りだったら、名乗ってもいいんじゃないのかなあ……
南の位置がわかったので、次は北上してみることに。
駅ビル「キラリナ」を抜けて、北へひたすら向かいます。
「せっかく吉祥寺に来たなら」と吉祥寺名物「ハーモニカ横丁」を抜けて進む。高校時代に「大人になったら絶対にハーモニカ横丁のお店の常連になりたい」と思いながら、よくこのあたりをウロウロしたのが懐かしい。
吉祥寺のメインストリート「サンロード商店街」をさらに北上。昔は駅から入ってすぐのところに2階建てのおもちゃ屋があって死ぬほど通ったが、当然、今はない。時代は移りゆくものである。
さらに北上を続けること20分……。
到着! 北の境界線!
手前は東町二丁目。
奥は練馬区立野町。
「ファミリーマート吉祥寺八幡通り店」が目印。これより北に向かった交差点を超えると、全て練馬区立野町となるので、「吉祥寺民」を名乗ってはいけなくなる。
とはいえ、このあたりに住んでも最寄は吉祥寺駅になってしまうんですけどね。
いえ、エセ吉祥寺民には厳しく当たるべきです。ここは吉祥寺ではありません。
その人たちになんの恨みが……?
吉祥寺の女子大生に日常を聞く

とりあえず北と南の境界線がわかったので、次は北東へ進むことに。
東京女子大へ続く道。この横断歩道を渡ったら、もう吉祥寺ではないとのこと。せっかくなので東京女子大の前を通って、東の境界線を目指す。
女子大前で日傘を差したオーバー30の男性がポーズを決めて立っていても、吉祥寺なら許される気がする。吉祥寺は寛大な街なのだ。
ということで、ツイッターで呼びかけて東京女子大学の学生さんたちに出てきてもらいました! SNS万歳! 5人中3人はひとり暮らし、そのうち2人は吉祥寺住みとのこと。
そんなバカな。
「JKじゃんそれ」
違います!!(笑)
女子大生なんて絶対に吉祥寺ブランドに憧れてばっかりだと思っていたのに、完全に予想が外れて落胆する僕。
吉祥寺の不動産屋がおすすめする「真の吉祥寺の名店
東京女子大学の学生さんたちに別れを告げると、そのまま東の境界線へ向かう。
井の頭通り沿いの何気ない交差点が、境界線。スーパーマーケット「三浦屋松庵店」が目印になるものの、ものすごく画が地味。
ここから東は杉並区、手前は吉祥寺南町となる。
あっさりすぎるぐらいあっさりと東の境界線を撮り終えると、今度は南下。吉祥寺エリアの南東には、立教女学院が建っている。
本当は僕の右隣に立教女学院があり、記念写真を撮るつもりだったが、撮影NGにつき、ただ道に立ち尽くしているだけの写真となった。悲壮感が漂う。
東から西へ移動しつつ、本町のオススメの店をピックアップしてもらうことになった。
一店舗目に紹介してもらったのは、天ぷら屋の「金子屋」。日本橋にある有名店が、吉祥寺の東急横にもオープン。連日行列を作っており、「この店を知らない吉祥寺民はモグリ」だと坂口さんは言う。
二店舗目は東急横の道に入って、こじゃれた通りの中でもさらにこじゃれたところにあるビストロ「オーケストラ」。中世ヨーロッパを彷彿とさせるアンティーク家具がやたらオシャレで女性受けしそう。静岡産の野菜を使った料理もめちゃウマだそうです。デートにオススメなのだとか。
最後に紹介してくれたのは花屋「フローリストココライド」。坂口さんのお店に置かれた花も全てここで買っているらしい。「種類も豊富だし、花が、とにかく元気なんです」と坂口さん。ナチュラルにロマンチックなところがこの人の最大の魅力だと気付いた。
「吉祥寺民」は一日にしてならず
本町をさらに西へ進んでいき、住所が中町に切り替わる手前で、惜しくもタイムアップに。
まとめると、
北の境界線:ファミリーマート吉祥寺八幡通り店を過ぎた交差点手前まで
北東の境界線:東京女子大学手前の交差点まで
東の境界線:井の頭通りの途中、スーパーマーケット「三浦屋松庵店」の交差点まで
南東の境界線:立教女学院前まで
南の境界線:井の頭公園の手前まで
西の境界線:成蹊通りにぶつかる交差点手前まで
北西の境界線:「更新橋」の交差点まで
ということがわかりました。
こうして取材は終わりを迎えました。
「住めば都」とはよくいったものですが、その逆も然り、坂口さんも東京女子大の学生さんたちも、「住んでみたら意外と普通だよ?」と、吉祥寺に住んでいる人たちは口を揃えて言うものでした。
たしかに毎日パンケーキ食べてインスタグラムにアップしていたら、それはそれで疲れてしまいそうだし、自分が住んでいないからこそ、そういう考えになってしまっていたのかもしれません。
街は住所によって区切られていますが、そこには住所だけでは計り知れない、さまざまな暮らしと想いがある。そのことを教えてくれた取材となりました。
それでもやっぱり吉祥寺はいいところ。一生に一度は住んでみたいと、結局コンプレックス丸出しでこの記事を終えたいと思います。
ありがとうございました。
投稿ありがとうございます。
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