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日産の次期セレナは、自動運転を取り入れるという。
《 セレナで初実用化…300万円を切る価格で販売へ 》
日産自動車は7月13日、高速道路の単一車線での自動運転技術を8月下旬発売予定の次期型『セレナ』に初搭載すると発表した。日産の中村公泰副社長は横浜市にある本社で会見し、同技術搭載モデルを300万円を下回る価格で販売することを明らかにした。
新型ではその強みに磨きをかけるべく、日産として自動運転技術『プロパイロット』を初採用している」と紹介。
( → レスポンス(Response.jp) )
日産の自動運転技術『プロパイロット』とは、どういうものか? 日産の宣伝によれば、素晴らしいものだ。
カメラは8方向を向いて、360度を見る。ミリ波レーダーは、4方向を向いている。こうして、右折・左折時にも歩行者などを検知する。非常に視野が広いので、単眼式であっても、高コストで高性能であるとわかる。
日産は、この『プロパイロット』を、伊勢志摩サミットではリーフに搭載して大々的に宣伝して、自社の高技術をアピールした。
→ 日産、G7伊勢志摩サミットで自動運転技術「プロパイロット」を披露
これほどにも高機能なものを、300万円以下の量販車に搭載するとしたら、画期的な技術革新をなし遂げたことになる。日産はもはや、他の同業他社を圧倒的にしのぐ、世界最高の自動運転技術を備えている……と言えるだろう。
しかし、である。ここまで読んで、疑問が浮かぶはずだ。
「これと似た話をどこかで聞いたことがあるぞ。……そうだ、STAP細胞の発表のときだ!」
調べてみたら、まさしく STAP細胞の再来だった。つまり、詐欺。 (^^);
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まず、何が搭載されているかを見る。
→ 搭載した装置
これを見ると、単眼式カメラが1台だけだ。「カメラは8方向」ということはない。「ミリ波レーダーが4方向」ということもない。ミリ波レーダーはまったく記載されていない。
では、記載されていないだけで、実際にはどこかに搭載されているのか? ググってみたが、「搭載されている」という記載は一つも見つからなかった。かわりに、「搭載されていない」という意味の記載が一つ見つかった。
システムの構成は自動ブレーキのセンサーと共用する単眼カメラだけというシンプルなもの。
( → 日産の新型セレナで期待の自動運転技術「プロパイロット」で世界の流れのド真ん中に乗った! )
記載の通り、システムの構成は、単眼カメラだけである。ミリ波レーダーは、ない。
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呆れた!
トヨタのカローラの自動ブレーキですら、ミリ波レーダーが搭載されているのだ。(税別5万円)
ぶつからない車ランキングNO.1は、満点(46/46点)でトヨタ「カローラ アクシオ」が獲得した。センサー方式は、単眼カメラ&レーザーレーダーとなっている。
( → Autoblog JP / ライブドアニュース )
レーザーレーダーと単眼カメラを併用した検知センサーと、それに基づく統合的な制御により、事故の回避や衝突被害の軽減を支援します。レーザーレーダーは近距離を高精度で検知できる上、昼夜の影響を受けにくいのが特徴です。
( → トヨタ自動車WEBサイト )
セーフティ・セキュリティ Toyota Safety Sense C ¥54,000 (消費税抜き ¥50,000)
・プリクラッシュセーフティシステム(レーザーレーダー+単眼カメラ方式) ・レーンディパーチャーアラート ・オートマチックハイビーム
( → 見積りシミュレーション | トヨタ自動車WEBサイト )
たったの5万円で、ミリ波レーダーと単眼カメラがついている。なのに、日産ははるかに高度なシステムである「自動運転」のシステムに、ミリ波レーダーが付いていないのだ!
これでは、アクセルとハンドルだけがあって、ブレーキがない自動車みたいなものだ。
そもそも、自動運転では、次の順で優先される。
・ 自動ブレーキ
・ 自動アクセル
・ 自動ハンドル
自動ブレーキが装備されたら、さらに追加で自動アクセルが追加される。
自動ブレーキと自動アクセルが装備されたら、さらに追加で自動ハンドルが追加される。
なのに、日産セレナは、一番最初の自動ブレーキが不完全な機能しかないのだ。ミリ波レーダーがないのだから。
これでは、非常時の危険度が、すごく高い。テスラの衝突の二の舞だとも言える。
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自動運転には、順序がある。まず最優先するべきは、自動ブレーキだ。その意味で、現在の市販車の自動運転では、スバルのアイサイトが最高レベルにあると言える。正面衝突の回避だけなら、トヨタの単眼式+ミリ波レーダーも優れている。いずれにせよ、自動ブレーキとしてはきちんとした機能がある。
一方、日産には、まともな自動ブレーキが装備されていない。どれほど頑張ろうと、ミリ波レーダーなしでは、時速 40km 以上での自動ブレーキは不可能だ。なのに日産は、ミリ波レーダーなしで自動運転車の販売を強行する。
こんなことでは、テスラの死亡事故の再発は不可避である、と予言しておこう。
出典:YouTube
日産は、自動運転技術「プロパイロット」でこんなことができます、と述べて、運転中に「メールのチェックができます」と宣伝している。
この宣伝は、リーフを使ったものであるが、とにかく、同じ「プロパイロット」という名称の技術だ。(これも詐欺っぽいが。)
で、「プロパイロット」という名称の技術で、「メールのチェックができます」と宣伝しているのだから、運転中にメールのチェックをするドライバーは出現するだろう。そして、いつか、テスラの事故の二の舞が起こる。なぜなら、日産の自動運転車は、ミリ波レーダーがなくて、不完全なものだからだ。スバルのアイサイトの自動ブレーキ(約 10万円)よりも、カローラ・アクシオの自動ブレーキ(5万円)よりも、はるかに低レベルの自動ブレーキしか装備されていないからだ。
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こんな自動車は、欠陥商品に近い。はっきり言って、「走る棺桶」だ。死にたい人だけが買うべきだ。
日産セレナの行先は、いつでもどこでもただ一つ。地獄だけだ。
「どうぞお乗りください。日産セレナに」
「ありがとう。あなたの名前は?」
「死神です」
[ 付記 ]
日産は、「プロパイロット」という名称で、リーフに搭載した高性能の技術と、セレナに搭載した超低性能の技術を、同一視させようとしている。
これは、消費者を誤認させるもので、不当表示に当たるだろう。優良誤認を招くからだ。
消費者庁は、この件で、日産を摘発するべきだろう。
とはいえ、私がこのブログで指摘しても、誰も気づかないだろう。だから、日産はこのブログを名指しして、批判するべきだ。「営業妨害だ! 記事を取り消せ!」と。
そうすれば、この問題は、世間の耳目を浴びる。日産の詐欺行為という問題が、大々的に話題になる。
うまく行けば、日産ゴーンの辞任にまで持ち込めそうだ。
→ ゴーンは辞任すべき
それにしても、日産が STAP細胞みたいな、デタラメな誇大宣伝をするとは、呆れはてた。しかも、人間の生死に関わるような、とんでもない誇大宣伝だ。三菱自動車よりも、もっとひどい。(あれは燃費の問題だったから、金が失われるだけであって、命は失われなかった。)
日産は、ここまで落ちぶれたか。その根源は、ここにある。
→ 英語の社内公用語化は?
【 関連項目 】
ステレオカメラの重要性
→ 自動車の自動ブレーキ
テスラの死亡事故
→ 自動運転車で死亡事故 1
→ 自動運転車で死亡事故 2