米西海岸オレゴン州ポートランドのポートランド州立大学で、同大の学生たちによる英語の歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」が上演された。英語の「忠臣蔵」が北米で上演されるのは初めてだという。8日間で市民約3千人が鑑賞し、最終日は満席に。米国に「忠臣蔵」の最初の種をまいたのは、英訳した日本文学者のドナルド・キーンさん。そしてキーンさんのかつての教え子たちの熱意が、次の世代の学生たちへと歌舞伎を伝えた。日本から駆けつけたキーンさんに見守られて、学生たちが、新しい歌舞伎の可能性を見せてくれた。
「長年の夢がかなった」。そう話すのは、忠臣蔵の上演にこぎ着けた同大教授のローレンス・コミンズさんだ。かつてコロンビア大学でキーンさんに日本文学を学び、その後日本で歌舞伎や能、狂言などを学んだ。
コミンズさんが初めて忠臣蔵を見たのは、1978年ごろという。歌舞伎に魅了され、日本演劇史の第一人者となった。これまでにもポートランド州立大で学生たちと英語歌舞伎の演目を上演をしてきた。
同大日本センター所長のケネス・ルオフさんもキーンさんの教え子だ。「(コミンズさんから)最初に聞いたときにはここまで大規模なものだと思わず、詳細を聞いて絶句してしまった」と笑う。米日財団が助成金を出すことになり、地元ポートランドや日系企業からも協賛金が集まった。ルオフさんは「アニメや漫画だけではない日本の様々な文化に触れてもらう機会になったと思う」と話す。
舞台の幕開けとともに、人形遣いが現れ、「ここには忠臣蔵を英訳したドナルド・キーンさんがいらっしゃいます」と紹介。観客席から立ち上がったキーンさんに観客から大きな拍手が続いた。さらに人形遣いは「キーンさんの教え子の方は立ってください」。米国各地からこの公演のために駆けつけた年齢層幅広い教え子数人があちこちで立ち上がった。
キーンさんのまいた種は米国各地に世代を超えて広がっていることがわかる光景だった。
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