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天皇陛下「生前退位」意向 数年内に譲位望む

2016年2月撮影

 天皇陛下が、天皇の位を生前に皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を宮内庁関係者に示されていることが政府関係者の話で分かった。数年以内での譲位を望まれ、宮内庁は、近く陛下自ら国民に向けてお気持ちを表明する方向で調整を進めている。皇室制度を定めた「皇室典範」に天皇の退位に関する規定はなく、今後、皇室典範の改定を含めた議論が始まる可能性がある。

 陛下は現在82歳で、125代の天皇の位にある。2012年2月に心臓の冠動脈バイパス手術を受けた後は宮中祭祀(さいし)を減らすなどする一方、高齢となった今も、憲法に規定された国事行為や震災などの被災地のお見舞い、外国元首との会見など多くの公務を続けている。

 関係者によると、陛下は公務を大幅に削減することや、摂政などの代役を立てる形でご自身が天皇の位にとどまることは望まれていない。また、「憲法に定められた象徴としての務めを十分に果たせる者が天皇の位にあるべきだ」との考えを持っており、ご意向は、皇后さまや皇太子さま、秋篠宮さまにも示されているという。

 陛下は、天皇が象徴と位置づけられた現憲法下で初めて1989年に即位。皇后さまと臨んだ即位の会見では「憲法に定められた天皇の在り方を念頭に置き、天皇のつとめを果たしていきたいと思っております」と述べた。「象徴天皇」の在り方を求め、皇太子時代から続けてきた障害者施設への訪問のほか阪神大震災の被災地訪問などを続けてきた。即位10年の会見でも「障害者や高齢者、災害を受けた人々、あるいは社会や人々のために尽くしている人々に心を寄せていくことは、私どもの大切な務めである」と述べ、平成時代の天皇像を形づくってきた。

 宮内庁は陛下が高齢になるにつれ負担軽減策を探ってきた。08年12月に心労が原因とみられる不整脈などで体調を崩したことを受け、09年1月には式典での「おことば」の多くを取りやめるなどの軽減方針を発表。陛下は12年2月には心臓の冠動脈バイパス手術を受けたが、その直後の東日本大震災の追悼式には出席した。同年の79歳の誕生日を前にした会見では「今のところしばらくはこのままでいきたい」と述べた。

 一方で、両陛下が始めた行事を皇太子さまらに引き継ぐことも始めており、「こどもの日」や「敬老の日」にちなんだ施設訪問は14年を最後にしていた。宮内庁は今年5月には、国や地方の行政機関などの長との面会8件を取りやめるなどの公務見直しを行ったばかりだった。

 宮内庁によると、昭和天皇まで124代の天皇のうち、生前に皇位を譲ることは珍しくない。ただ、明治以降は天皇の譲位はなく、最後の譲位は江戸時代後期の光格天皇という。

 欧州の王室では生前退位は珍しくなく、13年には日本の皇室とも親交が深いオランダのベアトリックス女王やローマ法王ベネディクト16世が退位し、注目を集めた。【高島博之、長谷川豊】

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