BLOGOS編集部
田久保氏は元時事通信ワシントン支局長・同論説委員などを歴任。昨年、三好徹(元最高裁判所長官)に代わり、議長に就任した。
日本会議をめぐっては、同団体の議員懇談会に安倍内閣の閣僚が多数所属していることから、国内外のメディアで注目を集めている。 会場には海外メディアの記者だけでなく、話題を呼んでいる「日本会議の研究」 (扶桑社新書)の著者、菅野完氏らの姿も見られた。
冒頭発言
私は(会場にいる)誰よりも古いここの会員です。今日は壇上でお話しさせていただけるのを大変光栄に思います。「日本がどっちの方に向いているのか。フェアな報道をしなければならないので、考えを聞かせろ」と言われ、やってまいりました。
フランクに申しますと、外国人記者クラブからの世界への発信は、どこに視点を置くかによってガラッと違ってくるという風に思います。
「日本が危険な、極めて好戦的な状態にあって、そこでナショナリストである安倍さんが登場した」という報道がありますけれども、私はそうは思わない。現実に安倍さんがナショナリスト的な政策をやったとは聞いていません。
それよりも日本の立場を、今から20数年前にブレジンスキー教授が極めて正確に予測しました。彼は日本について「security protectorate of United States」と表現したのです。
仮に、国家が「政治」と「経済」と「軍事」の"三本足"で立っていると仮定致します。日本では、その一本の軍事は、全く普通の国のそれではないのです。これを間違えると、とんでもない記事になります。申し上げておきますが、日本の憲法には軍隊に関する規定がないんです。軍隊の規定を載せろという、一般の国々と同じようなことをやろうとすると、「軍国主義者だ」という非難を浴びる。ブレジンスキーが言うように、外交防衛問題では、日本はいちいちアメリカの言うことを聞かないと動けないんじゃないか、これは普通の国では無いんじゃないか、ということです。
ですから日本は、異常な左から真ん中に軌道修正しようとしている。これを一部の新聞は、真ん中から極右に移る、という報道をしております。極めて遺憾であります。
90年から91年の湾岸戦争をご存知でしょう。日本は130億ドル出しただけで、何も動かなかった。どこからも感謝されませんでした。
私は当時ワシントンにおりました。ワシントン・ポストの一面の広告を見ると、クウェートが国際社会の皆さんへ、と掲げた大きな感謝広告でした。非常に丁寧な言葉で、"以下の30か国に"とお礼が述べられていましたが、その30か国に日本の名前はなかった。
イギリスの「エコノミスト」は、最も私が愛読し、権威ある雑誌だと思っていました。当時この雑誌は、「日本は昼寝しているのか、国際情勢が全くわかっていない、日本は立ち上がれ」と言いました。素晴らしい論説だと思って、私は著書に引用しました。
ところが去年、日本会議に関するエコノミストの論調にびっくりしました。「日本は戦前の日本に復帰しようとしている」と、こんなことを書いている。弱い私が抵抗できるのはたったひとつ、この雑誌を読まないことです。
湾岸戦争が終わった数年後に、小沢一郎という政治家が、ある本を書きました。当時、彼は「日本は普通の国になれ」と言った。これは小沢が言う前から私どもが言っていたことでありますから、大賛成であります。
しかし、今は正反対のことを言っている。私は、この人を政治家として全く信用しない。
この、小沢の言った「普通の国」の実現に着手し、次々に手を打ってきたのが、たった一人、安倍晋三です。私はここで、安倍の"立脚点"を皆さんに理解していただきたいと思います。
安倍は、普通の国から右にシフトしたナショナリストではない。極左から真ん中に持ってこようと努力した政治家です。
今、自衛隊には、国のバックボーンがありますでしょうか。天皇陛下は警察と消防関係の大会にはご出席になるけれども、自衛隊関連のものにはお出にならない。軍をコントロールする統帥権が、戦前と戦後ではまるっきり変わっている。
こういう事実をわきまえないと、日本という強い国がさらに強い国になろうとしている、という誤解が生まれます。
もう一つ付け加えたいと思います。 私は国際情勢をずっと分析してきた人間でありますが、皆さんも報道を見ていてお気付きの通り、誰か政治家で、(先の参院選で)国際情勢を論じていた人が一人でもいますか?
昨日、ハーグの仲裁裁判所が判決を出しました。日米の立場を、まさにハーグの判事は述べたのです。このことが一切選挙の争点にならなかったのは異様なことだとすら私の目には見えました。
中国の膨張主義が、とくに南シナ海で目立ってきたのは13年以降であります。ハーグの判決でお分かりのように、明らかな膨張主義ではないか。
これに対抗するためにも、日本は先程申し上げたように、防衛で欠陥があり、ぐらついているから立てない。この1本を補うために、日米同盟を強化しなければならない。
中国の膨張主義に対して、最も信頼すべきはアメリカでありますけれども、ここにも目立たないながらも大きな変化が起こりつつある。 アメリカ大統領候補であるクリントンさん、トランプさん。お二人がおっしゃているのは、アメリカは対外コミットメントは制限する、ということです。
オバマ大統領はウエストポイントの演説で、アフガニスタンに増派ははするけれども、私はアメリカ・ファーストだと言った。
一つ、中国の膨張主義。二つ、アメリカの内向き傾向。その間に立って、日本はどうしなければいけないか。
戦前の軍隊を再現するなどという、おどろおどろしいことを言わないで欲しい。戦前の軍隊と今の自衛隊のシステムは全く違うんです。
その自衛隊のシステムを普通の国のような軍隊にして、これを憲法に盛り込む。したがって私は改憲に賛成であります。
これで最後にしますけれども、護憲派の言い分は中国の言っていることに極めて似ている、と申し上げて、私のプレゼンテーションを終わります。
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