-----
ようご【擁護】
( 名 ) スル
危害・破壊を加えようとするものから,かばいまもること。 「人権を~する」
(大辞林 第三版より)
-----

科学的にはすでに決着がついているSTAP騒動ですが
小保方さんの熱狂的ファンとも言える、強固な擁護論を展開するかたが根強くおり
何件かトラブルも起こっているようです。
擁護の内容も様々ですが、一般的によく見られる主張を列記してみます。

(a)「小保方さんは不正をした。しかし報道が酷すぎた。彼女の再起を応援したい」

(b)「小保方さんは不正をした。しかし彼女だけが悪いわけではない」

(c)「小保方さんは不正をしていない。しかしSTAP細胞ができていたことを証明するには現状では証拠不十分」

(d)「小保方さんは不正をしておらず、STAP細胞はできていた」

などでしょうか。
それぞれ解説してみたいと思います。

(a)「小保方さんは不正をした。しかし報道が酷すぎた。彼女の再起を応援したい」

私(このエントリの筆者です。他の筆者とは意見が異なるかもしれません。)はこの立場です。
見るひとが見れば"擁護派"かもしれませんね。

彼女が本当に科学者としての再起を願い、一からやり直したいと考えているのであれば
応援したいと思っています。

それでは具体的に私が考える応援とは何か。

たとえば彼女が再度博士号を取得するために大学院に入る意思があり
それを金銭的に補助する基金などが作られるのであれば
いくらか寄付したいと思っています。
(ちなみに「STAP細胞を再度作るための基金」があっても寄付はしないと思います。
あの方法では多能性細胞はできないと私は考えているからです。)


しかし、手記「あの日」や、瀬戸内寂聴さんとの対談を見る限り、
彼女にそういった意志があるようには思えませんでした。
少し残念ではあります。

彼女は研究者には向いていなかったかもしれないですが
例えば科学技術に関する広報などはとても向いていると思うので。

(b)「小保方さんは不正をした。しかし彼女だけが悪いわけではない」

それはそうかもしれません。
管理責任、共著者の責任などもありますしね。

しかしここでよく考えていただきたい事があります。
彼女は「研究者」として理研に来たのです。
例えて言うなれば、研究に関しては彼女は独立した事業主です
お勉強をしにきた女子学生さん、ではなく
研究のプロフェッショナルとして理研に来たのです。
これを忘れて「大学院を出たばかりの若い女性なのに1人だけ責められて可哀想」などと言うのは
これではまるでお手伝いの学部生扱いです。
小保方さんに失礼とすら思います。

若かろうが女性であろうが、プロはプロです。
その行動と成果に責任を持つのは当然のことです。
このことは、職種を問わず誇りを持って働く人皆さんにご理解いただけると信じます。

また、「彼女だけが悪いわけではない」と言いたいあまりか
やたら第三者の悪人を仕立て上げようとする方がいますが
確たる証拠もなく、よく他者を悪者扱いするなあ、というのが正直なところです。

仮に共犯者がいたとして、この物語の中心人物である小保方さんがこの不正の全貌を語ることがない限り、外野はどうすることもできません。

小保方さんには強大な弁護団もついているので、
本当に第三者や理研などのせいで不利益を被っているのであれば、訴訟でもなんでも起こせるのです。
しかし、実際には手記などで文句らしきことは言うものの、訴訟は起こしていません。なぜか。
訴訟を起こさないほうが彼女にとって得だからです。
訴訟を起こせば損なのです。
小保方さんは現在手記の印税なども手に入っているでしょうから
金銭的な損得でものを考えているとは思えません。もっと別のところで損なのです。

今現在、小保方さんを応援しようとするあまり、他者を貶めている方々に伺いたいことがあります。
あなたの行っていることや主張は、本当に小保方さんにとって利益になることですか?

ちなみによく忘れられているようですが
STAPの研究不正行為に関して、竹市元センター長以下関係者は懲戒処分を受けていますので
小保方さん以外誰も罰せられていないというのは間違いです。
http://www.riken.jp/pr/topics/2015/20150210_1/

(c)「小保方さんは不正をしていない。しかしSTAP細胞ができていたことを証明するには現状では証拠不十分」

あれは論文不正ではなく単なる過失だ、という立場のかたが多いように見受けられます。
科学的に証拠不十分であることは認めつつも、
小保方さん自身が認めている不正すらスルーしてしまうという、ちょっと不思議な意見の方ですね。
こういった方は、例えば出張中に実験したことになっているグラフ(取り下げられたArticle論文のFig.5c、下記に添付)のことなどは一体どう考えておられるのか聞いてみたい気がします。
20160712-6


(d)「小保方さんは不正をしておらず、STAP細胞はできていた」

「小保方さん自身が認めている不正すらスルーしてしまう」点は(c)の主張と同じなので省きますが
STAP細胞ができていた、という点に関しては「光っていたからSTAPだ」くらいの乱暴な意見を平気で言われることが多く
なぜか「共著者の若山先生は不正を行い、小保方さんはそれにはめられた」という意見も
併せて言われるかたが多いです。
強硬な小保方さん擁護派にはよく見られる主張ですが、残念ながら根本的な論理の破綻があります。
このご意見をお持ちの方、よく考えてください。
若山先生は、小保方さんが作った細胞の多能性を調べるパートを担ったかたです。
若山先生が不正を行ったということは、すなわち「小保方さんが作った細胞の多能性は証明できていない」
ということです。

STAP細胞が最初に大きく取り上げられたのは
・体細胞を初期化してできた
・多能性をもつ

の2点の特徴を併せもつからです。
論文に書かれた実験は、その2点の証明のために行われたものです。
多能性が証明できないのであれば、それは単になんだかよくわからない光る細胞です。
それでもいいんでしょうか。
それは、難病のかたに光明をもたらすようなものなのでしょうか。
STAPとは刺激惹起性多能性獲得細胞だったはずなのですが。

最後に。
このエントリの頭には書かなかった内容ですが
実際にはこういう方が多いと思います。

(e)「小保方さんカワイイし女の子だから別になんでもいいじゃん。いじめるなよ。科学のこともよくわからないし」

この意見は個人的には理解できます(笑)
ただ、それを拗らせて空想上の別の悪者を生み出さないように、切にお願い申し上げます。