南シナ海仲裁:「九段線に法的根拠なし」 中国が完敗

  オランダ・ハーグの仲裁裁判所は12日、中国が南シナ海における領有権の根拠としてきたいわゆ「九段線」について、法的な根拠はないとの判断を下した。周辺国の反発を無視し、南シナ海で人工島の埋め立てと軍事基地化を続けてきた中国は外交的に大きな打撃を受けた。ロイター通信などが伝えた。

 今回の仲裁裁判は、フィリピンが申し立てたもので、裁判所は「九段線内の水域と資源に対する中国の歴史的権利は認められない」とするものだ。

 裁判所はまた、「中国はフィリピンの伝統的漁場でフィリピン側の操業を妨害し、原油・ガス田を開発するなどフィリピンの領土主権を侵害した。(中国が人工島を造成した)岩礁もいずれも領海や排他的経済水域(EEZ)を伴わない海洋地形だ」と指摘した。フィリピンは2013年1月、中国の一方的な領有権主張には根拠がない点の確認を求め、仲裁裁判所に提訴。裁判所は全面的にフィリピンの主張を認めた。

 九段線は中国が1953年から南シナ海の管轄権を境界線として主張してきたもので、面積350万平方キロメートルの南シナ海の90%がその内側に含まれる。中国は九段線の内側にあるスプラトリー諸島(中国名・南沙諸島)にある7つの岩礁を埋め立て、人工島をつくり、軍事施設を建設した。その結果、フィリピンやベトナムなど東南アジア国家との領有権紛争がエスカレートしている。

 中国の習近平国家主席は裁判所の判断が示された直後、中国を訪問中のドナルド・トゥスク欧州理事会議長との会談で、「南シナ海の島々は昔から中国の領土だった。南シナ海で中国の領土主権と海洋権益はどんな状況でも仲裁決定の影響を受けない」とし、「中国は仲裁に基づくいかなる主張や行動も受け入れない」と突っぱねた。仲裁裁判所の判断は法的効力はあるが、履行を強制する手段はない。

 一方、米国務省のカービー報道官は「今回の判断は最終的なもので、中国とフィリピンの双方に拘束力を持つ。仲裁結果を守り、挑発的な言及や行動を避けることを求める」と述べた。

北京=李吉星(イ・ギルソン)特派員
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