韓国国防部(省に相当、以下同じ)の韓民求(ハン・ミング)長官は11日、高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備地域について「軍事的な効用、作戦上の可能性、敷地の可用性などを基準にして韓米実務団が候補地の評価を行い、6月末に最適な候補地について報告があった。可及的速やかに発表したい」と語った。
韓長官は11日、韓国国会の国防委員会に出席して「発表前に何らかの形で、地域住民に了解を求める手続きが必要と考えている」と発言した。また敷地の造成費用については「それほど多くはないだろう」と語った。現在、THAADの配備地域としては慶尚北道星州、慶尚南道梁山などの名前が挙がっている。星州には韓国軍の防空基地があり、梁山にはかつて防空基地があった。「軍事的要求のほか、人口が多い少ないという人文地理的要素も敷地選定で考慮されるのか」という質問に対し、韓長官は「そうした部分(人口の多寡)も自然と考慮されるだろう」と答弁した。
韓長官は、中国やロシアが強く反発していることについて「中国が説得されれば(THAADを)配備し、ロシアが説得されなければ配備しない、というようなものではない」と語った。韓国政府の消息筋も「中国などの反発に屈服したら、(韓国は)国ではないということになる」と語った。
国防委の各委員はこの日、THAAD配備発表の唐突さ、配備地域における反発の可能性などについて質問した。最大野党「共に民主党」の禹相虎(ウ・サンホ)院内代表は「韓国のどこかに配備されるというのに住民を説得するプロセスがなく、国民対立、地域対立事案になった。(THAADを配備するかどうかに関する)軍事的判断権は韓国にあるが、周辺国と協議していないため、経済的報復措置まで心配せねばならない状況」と語った。
与党側の議員は、THAAD配備の必要性は認めつつも、国民への説明が足りないと指摘した。与党セヌリ党の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)院内代表は「THAADほど波紋を呼ぶ政策であれば、青瓦台(韓国大統領府)と国防部が緊密に政務的協議をやるべき。(今回は)政務的協議が欠如したという印象」と語った。韓長官の下で国防次官を務めていた白承周(ペク・スンジュ)・セヌリ党議員も「候補に挙がった地域でTHAADデマが流れているが、韓国軍は何をしているのか」と語った。白議員は、民間出身の国防専門家として次官を務めた。同じくセヌリ党の金学容(キム・ハクヨン)議員は「THAAD配備地域の発表は、国軍統帥権者たる大統領が直接乗り出す必要がある」と語った。