南シナ海 中国、強硬姿勢の背景

南シナ海 中国、強硬姿勢の背景
南シナ海を巡る問題で、ベトナムやフィリピンなどの周辺国やアメリカが反発を強めるなか、中国は次々と人工島を造成し、滑走路やレーダー施設を整備するなど軍事化の動きを加速させています。このように中国が、強硬に南シナ海での海洋進出を進める背景には何があるのでしょうか。
「偉大な歴史」「中華民族の偉大な復興」。中国の習近平国家主席は、7月1日に北京の人民大会堂で行われた中国共産党成立95年を記念する式典で行った演説で「偉大」ということばを31回使い、国民の愛国心を繰り返し鼓舞しました。

そして「どこの国も、われわれが主権を損なうという苦汁をなめることを期待してはいけない」と述べると、会場からこの日いちばんの拍手が沸き起こりました。南シナ海など主権に関わる部分で一切妥協しない姿勢を強調した瞬間でした。

ここから見えるのは、習近平指導部が国内世論を強く意識していることです。とりわけ、主権という愛国心に関わる問題で、国内から「弱腰だ」と指摘されれれば、共産党の求心力の低下にもなりかねません。このため中国は、やすやすと海洋進出の方針を変えるわけにはいかないのです。

この問題を巡っては、中国の南シナ海の領有権に関する主張や活動が国際法上、認められないとして、フィリピンが仲裁裁判を申し立てています。これに対して中国政府は、「フィリピンが一方的に起こした仲裁裁判の判断は認めないし、判断は南シナ海における中国の領土主権や海洋主権に影響を与えない」と繰り返し主張しています。