韓国検察は先ごろ、ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が韓国で販売したVWや傘下・アウディのディーゼル車・ガソリン車のうち、32車種、79モデルが偽造または捏造(ねつぞう)された騒音・排ガス試験成績書で認証を受けていたことを環境部(省に相当)に通知した。環境部は該当する約8万台について、認証取り消し、販売停止、課徴金納付などの処分を科す方針だ。
環境部は昨年11月にも、VWのディーゼル車約12万5000台について排ガス低減装置の不正操作を突き止め、リコール(回収・無償修理)命令を出した。また、検察は先月、VWがガソリン車でも排出ガスが少なく出るようソフトウエアに手を加え、認証試験をパスした事実を突き止めた。
VWは先月、排ガス不正があったディーゼル車の買い戻し費用や補償金、罰金などとして計17兆ウォン(約1兆5000億円)ほどを米国で支払うことを明らかにした。にもかかわらず、韓国の消費者に対しては100億ウォン(約9億円)程度の「社会貢献基金」を支払うとしただけだった。両国の消費者を差別している格好だ。VWは「韓国は2012年にようやく排ガス関連ソフトウエアの不正禁止を定めた法条項ができた」としており、米国とは事情が異なるとのスタンスだ。
だが、韓国の大気環境保全法にも車の排ガス基準違反を処罰する条項が盛り込まれている。VWの論理は、「刃物を使った犯罪を処罰する」と具体的に記した条項がない限り、刃物を手に強盗した犯人を処罰できないと言っているのと同じだ。
政府はVWの違法・詐欺行為を突き止め、韓国の消費者が納得できるレベルの個別賠償を引き出す必要がある。また、消費者はVW車に対する不買運動を行い、排ガス不正行為を続けてきたVWにお灸を据えるべきだろう。