改憲目指す安倍首相に立ちはだかる日本国民の「戦争トラウマ」

 具体的な憲法改正論議も最初から9条の話はせず、政治的に無味無臭の条項で議論のきっかけをつかみ、徐々に9条へと議論を広げていくとみられる。非常事態に際し、首相の指揮権を強化する「緊急事態条項」や全国民が良好な環境を享受する権利を持つとする「環境権」のように政治的色彩がない条項に対する憲法改正論議から手を付け、徐々に9条の改正へと進むいわゆる「段階的改憲論」だ。

 安倍首相は同日、「憲法審査会で憲法改正について真剣に論議すべきだ」と述べた。複雑な憲法改正手続きを一つ一つ踏みながら、憲法改正に賛成する世論を少しずつ形成していくという意味と受け止められている。憲法審査会は11年に憲法改正手続き、憲法改正原案などを審議すうrため、衆参両院に設置された。衆院では保岡興治議員、参院では柳本卓治議員(いずれも自民)がそれぞれ会長を務めている。

 憲法を改正するためには、まず衆議院で100人以上、参議院で50人以上の賛成で憲法改正原案を国会に提出。次に憲法審査会が条項を一つ一つ検討し、調整を行う。その後、憲法改正原案から「原案」の二文字が取り除かれ、「憲法改正案」となる。さらに国会が衆参両院の3分の2の賛成で可決すれば、60-180日以内に国民投票が実施される。

 障害はまだある。安倍首相は「国会論議を通じ、憲法改正に対する国民の理解を広げていく」と何度も述べている。しかし、憲法改正に賛成する「改憲4党」にも意見の違いがある。特に連立パートナーの公明党は憲法改正そのものには賛成だが、9条を変えることには消極的だ。公明党の山口那津男代表は10日、NHKに出演し、「当面は9条を変える必要はない」と述べた。韓国・東西大の趙世暎(チョ・セヨン)特任教授は「自民党が単独で3分の2を占めたわけではないので、強引に改憲政局へと向かうのは難しいのではないか」と分析した。

東京=金秀恵(キム・スヘ)特派員
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