改憲目指す安倍首相に立ちはだかる日本国民の「戦争トラウマ」

 安倍首相の目標は「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と定めた平和憲法9条を改正することだ。安倍首相を含む日本の右翼は太平洋戦争の敗戦後、戦勝国である米国が敗戦国の日本に平和憲法を一方的に強要したと考えている。自民党が2012年に示した憲法改正草案も現在の9条に代わり、「国防軍を保有する」と明記することが柱だ。問題はそうした考えが平和憲法を誇りに思う国民世論と衝突することだ。

 日本は1947年の現憲法施行以降、一度も憲法を改正しておらず、「時代にそぐわない条項がある」という点では国民が同意している。しかし、「9条改正」にはまだ過半数の国民が「変えるべきではない」と考えている。今年5月に毎日新聞が実施した世論調査では、憲法改正そのものについて「必要だ」との回答と「必要ない」との回答が同数の42%だった。しかし、「9条を改正すべきだと思うか」との問いに対しては、「変えるべきではない」(52%)が「変えるべきだ」(27%)の2倍近くに達した。

 安倍政権は2014年に集団的自衛権を導入し、15年に安保関連法を改正したが、その過程で憲法改正に対する抵抗感はむしろ高まったとの見方がある。日本経済新聞の世論調査では「今のままでよい」と考える人が昨年の44%から今年は50%に増えた。

 安倍首相が記者会見で経済問題を強調し、憲法改正の話には慎重だった理由もそこにあるとみられる。憲法改正の足場は固めたが、まだ国民の世論が逆風だからだ。

 専門家は今後も安倍首相が「経済」という回り道を通り、憲法改正を推進するとみている。ソウル大のパク・チョルヒ教授は「安倍首相が経済を強調するのは、経済がうまくいかなければ支持率を維持できず、支持率が維持できなければ憲法改正も不可能だからだ」と指摘した。アベノミクスを通じ、経済を再生させ、民心をつかんだ後、支持をバックにして徐々に憲法改正論議に切り込む可能性が高いとの見方だ。

東京=金秀恵(キム・スヘ)特派員
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