11日午後2時、東京・永田町の自民党本部に安倍晋三首相が明るい顔で現れた。カメラのフラッシュが一斉にたかれた。安倍首相は23分間の記者会見の間、終始笑っていた。前日の参院選で勝利したことについて、「アベノミクスを一層加速せよとの力強い信任をいただいた」と述べ、経済対策について長々と説明。石原伸晃経済再生担当相に直ちに経済対策の立案に着手するよう指示したことを明らかにし、東京と大阪を結ぶリニア中央新幹線の全線開業にも言及した。
焦眉の急である憲法改正については、自発的には発言せず、記者の質問を受けて答えた。安倍首相は「わが党の案をベースにしながら(衆参両院で)3分の2を構築していく。それがまさに政治の技術だ」とした上で「子どもたちの未来のためにどのように条文を変えるべきか、まず国会内の憲法審査会で真剣に論議すべきだ」と述べた。ひとまず今年下半期中に国会で改憲論議を開始するという意向とみられる。
今回の参院選では、自民党、公明党、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党という憲法改正に賛成する「改憲4党」が全242議席中161議席を獲得した。憲法改正を発議できる3分の2には1議席届かなかったが、無所属議員を含めれば、3分の2のラインを超えることができる。日本メディアは無所属議員の3-4人が憲法改正に賛成だと分析している。
それでも安倍首相が直ちに憲法改正を強く推進できないのは、国民の反対世論が根強いためだ。10日の参院選投票日に共同通信が実施した出口調査では、憲法改正に反対するとの回答が50.5%で、賛成(39.8%)を上回った。安倍首相もそうした点に配慮し、記者会見で「憲法は国民が決める」と語った。