改憲勢力がとうとう日本の国会を掌握した。昨年の衆議院に続き、10日の参議院でも3分の2以上の議席を改憲勢力が確保したのだ。現行の平和憲法がこれまで生き延びてきたのは、これらに対抗する護憲勢力が3分の1以上の議席を守ってきたからだ。憲法制定70年にしてその防波堤がついに崩壊した。
改憲は一国の主権の問題だ。それでも韓国が日本の改憲論議に注目するのは、改憲を主導する勢力の狙いが戦争放棄を約束した憲法第9条の改正に合わせられているからだ。第9条は日本の侵略により多くの命が犠牲になった太平洋戦争の産物であり、戦後の平和の象徴でもある。
今回の選挙結果だけを見ると、日本国民が安倍政権に改憲問題を白紙委任したとは思えない。複数の世論調査結果を総合すると、まだ改憲反対という意見の方が賛成意見よりもやや強い。こうした環境で国会が改憲案を通過させても、国民投票で否決される可能性がある。同じ改憲勢力でも、どの条文を改正するかについては意見が違うこともある。しかし、安倍首相は選挙で勝利が確実になるとすぐに「改憲論議を深める」と述べた。
安倍政権が改憲を通じて再武装の道を進んでいるのは、北東アジアの緊張が追い風になっているからだ。昨年の集団的自衛権許容と安保関連法成立で急落した安倍政権の支持率は、北朝鮮の核・ミサイル挑発行動や中国との海上紛争ですぐに回復した。北朝鮮と中国が交互に日本を刺激する状況が繰り返され、安倍政権の支持率は50%前後を維持している。日本国民は政権の右傾化よりも外部の挑発行為や脅威の方に敏感に反応している。安倍首相はこうした民心の変化に基づいて改憲をさらに前向きに推進するだろう。
米国も「アジア回帰」と「中国けん制」を北東アジア安保戦略の中核に据え、日本の再武装路線を歓迎している。米国は中国の成長と覇権追求に対抗し、同盟国・日本に北東アジア安全保障で一定の負担を求める方針を推進してきた。安倍政権はこうした北東アジア覇権争いや米国の安保政策の変化、北朝鮮の核・ミサイルの脅威に機敏に反応しながら、再武装の最終関門に到達した。
改憲は国家運営の枠組みを変える、民主国家の最も重要な手続きだ。「戦後レジームからの脱却」を掲げて政権を執った安倍首相は2021年まで任期を延ばし、戦後最長寿の首相になる可能性すら出てきた。防衛費を少なくして経済成長にまい進していた戦略や、平和共存を前面に押し出した外交戦略も、いつでも修正可能だ。韓国は、これまでの日本の姿がそのまま続くと楽観していてはならない。過去とは次元の異なる複合的な見方で、生まれ変わった日本に向かい合わなければならない。