震災から5年 現地ルポ - 福島で怖いのは放射線ではなく糖尿病

震災から5年 現地ルポ - 福島で怖いのは放射線ではなく糖尿病

 

2016年4月号記事

 

震災から5年 現地ルポ

 

福島で怖いのは放射線ではなく糖尿病

 

3・11から5年。復興が遅れている福島では、約10万人が今も避難生活を続けている。 何が復興の妨げになっているのか。

福島第一原発から約20キロメートルの距離にある南相馬市を訪れた。

(編集部 河本晴恵)

 


contents

 

 

 

坪倉正治

(つぼくら・まさはる)

医師。東京大学医科学研究所特任研究員。南相馬市立総合病院などで非常勤医として勤め、放射線の知識に関して地域で講演を続けている。

内部被ばくを測定する大人用の検査機器。

乳幼児用の検査機器「ベビースキャン」。「実際には、大人が被ばくしていないのに子供が被ばくしている、という状況は考えられません」(坪倉医師)

「理屈では大丈夫と知っていても、不安が拭えない方も多い。『普通に生活して、お子さんを被ばくさせることはありませんよ』と説明しています」

 南相馬市立総合病院に勤務する坪倉正治医師は東京大学の研究所に所属する。そのかたわら、2011年4月から毎週、東京から南相馬に通う。市内やその周辺の複数の病院で、食べ物から受ける内部被ばく量の検査を続けている。同病院では、これまで6万件の検査を行ってきた。

「放射線量で高い値が出るのは、『裏山のキノコ』など露地のものを採って食べた方がほとんどです。とはいえ健康に害が出るレベルではなく、自然に体外に排出されます」(坪倉医師)

 同病院は、乳幼児を検査できる「ベビースキャン」も導入している。これまで約2千人の乳幼児を検査してきたが、問題があったケースは1件もない。

 また、南相馬市の水道水から放射性物質は検出されておらず、流通する福島県産の農産物の放射線量も全て基準値内だ。

 それでも同市では、「子供に水道水は飲ませない」「福島産のものは食べさせない」と決めている保護者も少なくないという。

 取材を通して、「福島は安全」ということを示す科学的なデータがあっても、多くの人々が見えない放射線への恐怖心にとらわれている実態が分かってきた。

 

続きは2ページ目以降へ

 

 

次ページからのポイント

糖尿病が増える理由

南相馬市と相馬市で糖尿病の発症率が急増している

福島もパリも変わらない

 

次ページ以降の記事は有料会員限定です。有料購読すると続きをお読みいただけます。
LOGIN ログイン

有料購読会員の方

ご登録のID(メールアドレス)を入力し、
「ログイン」を押してください。

ご登録のID(メールアドレス)
パスワード

ID・パスワードを自動入力するにはFAQをご参考ください。

※クレジットカードの期限切れの方へ…こちらをご覧下さい。

まだ有料購読会員でない場合

一つのIDでOK!PC、携帯、スマートフォン、どれでもご購読頂けます!

継続している期間中、すべての記事がご覧いただけます。

■クレジット払い(月額)

月額継続 540円(税込み)
  • カード払い(次月以降は自動継続課金)
  • カード決済後すぐに購読開始
クレジットカード

■銀行振込(年間)

年間購読 5,940円(税込み)
  • 11ヶ月分の料金で年間購読できます(初月分無料!)
  • 振込確認後に購読開始(10日以内)
リバティwebを購読する
タグ: 2016年4月号記事  著名知識人  坪倉正治  早野龍五  矢内筆勝  福島  東日本大震災  放射線  原発事故  

Menu

Language