07月12日 19時14分
運動会などで披露される、組み体操では、毎年、全国で8000件を超える事故が起きていたことが分かったため、スポーツ庁は安全を確保できない場合は行わないよう学校現場に求めています。
こうしたなか、教員自らが組み体操の安全な指導法を学ぶ動きが各地で広がっています。
三重県教育委員会は、7月11日、小中学校の教員140人余りを対象に組み体操研修会を開きました。
三重県内では、おととしと去年の2年間に370件の事故が起き、このうち3割で児童や生徒が骨折しています。
研修会の講師は、体操の専門家、日本体育大学の荒木達雄教授です。
教員がまず学んだのは高いところからの降り方です。
音を立てて降りるのではなく、膝のバネを使って音がしないように降りると体への衝撃が減り、けがのリスクが下がります。
次は2人組の技の中でも事故が多い「サボテン」です。
肩車をしてから形を作る方法ではなく、前から乗る、より安全な組み方を学びました。
最初はジャンプだけ。次は太ももに乗って降りる練習。
そして、バランスを崩した時の落ち方など、2人で少しずつ息を合わせて、徐々に完成形を作っていく方法を学びました。
四つんばいになった人への乗り方は背中の真ん中ではなく、腰や肩甲骨の間に乗れば下の人の負担が軽く安定することを体験しました。
そして、事故が多発する「タワー」の練習では土台になる人が背中を丸めるよりも背中を伸ばした方が安定することを確認しました。
研修会の中で荒木教授が繰り返し強調したのは決して高さを追求しないということです。
荒木教授は「子どもなら高い技をやらせてもいいんですか、先生は嫌だけど子どもならやれよ、これはないですよね、主役の子どもにけがをさせては絶対にだめだ」と安全な指導を呼びかけました。
2時間にわたった研修会の最後には2分半の演技を披露しました。
腕を動かしたり、動きに変化をつけたりすることで高さはなくても、見栄えのある構成ができることを、教員自らが体験しました。
参加した教員の1人は「指導している側として気づかなかったことや、やってみて子どもがこんなにしんどい思いをしていたんだと気づいた。高さを追い求めるのではなく、低くても見栄えのするものだったり、たくさんバリエーションを変えることで、いろんな動きができることを改めて実感しました」と話していました。
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