好きな映画の続編製作の一報が入ったとき、テンションがあがる場合と、下がる場合がある。
キャラが好きな映画の場合は、喜ぶ。またあのキャラたちに会えるんだという喜びがあるので。
一方、設定が好きな映画の場合は、前作できっちり完結してるじゃないかと、がっかりさせられる予感に身がまえてしまう。
どちらにしろ、見てしまうのだが。
それは製作側の思うつぼだ。大きな興行成績をかんたんに見込める。
だれが最初にいったかは知らないが、「2」が「1」を越えた例は二つしかない、というのは、事実かどうかはさておき、むかしはよく聞いた話だ。
『エイリアン』と『ターミネーター』
『エイリアン』は、1作目(1979年)がホラーテイストで、『エイリアン2』(1986年)がアクションテイスト、方向性を変えたことであらたな面白さを提示してくれた。
『ターミネーター』(1985年)は、『T2』(1991年)においては、とにかく映像に驚かされた。つねに最新技術を追い求めるキャメロン監督の思惑がぴたりとはまった感じ。
両作ともに、1作目で「敵が何者であるかわからない恐怖」というのはやりきっているので、2作目で方向性を変えるのは必然だったのだろう。
両シリーズともに、じゃあそのつぎもよかったのかと問われれば、言葉をにごさざるをえない気はする。
それでも、やっぱり続編がでれば見てしまう。がっかりすることが確実だとわかっていても、見てしまう。
そういえば『ターミネーター』の最新作である5作目、もう一度見直したくなったな。あれはレンタルしたんだった。もう一度、借りに行ってこよう。
うーん・・・・・・。あれ?
おかしいな、こんな映画だったっけ。
シュワルツェネッガーが、おらん。シリーズに復帰することが大々的に報じられていたはずなのに。
だいたいパッケージのおまえ、だれだ。
シリーズ5作目のタイトルは、ナンバリングはついてなくて、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』(2015年)だったはず。
じゃあこれは?
これは『ターミネーターV』である。「V」は、「ファイブ」ではなく、「ブイ」と読むようだ。
バッタもんやんけ! と怒ってはいけない。
これのアメリカでの原題は『GUARDIAN OF THE REALM』であり、ターミネーターシリーズとはいっさい関係ない。日本版タイトルだけ、『ターミネーターV』なのである。
そう、人気シリーズに乗っかろうと、日本の配給会社が、あえてまぎらわしい邦題をつけたのだ。
今回はこういった、「だましたな!」いや、「だまされた俺が悪いのか?」いや、「だまされるやつなんていないだろ」ってなるような、洋画の日本版タイトルについて書いてみる。
【あの映画の続編!?】洋画のひどい邦題まとめ40選
デデン・デン・デデン♪
シュワちゃんのいないターミネーター『V』につづいては・・・・・・。
◆『ターミネーターX』
6作目から9作目をすっ飛ばして、シリーズ10作目が!?
いやいや、「X」は「テン」ではない。「エックス」である。
パッケージに「最後の審判」なんていう、「2」のサブタイトルを持ってくるあたり、なかなか本気でだます気である。
原題は『HORRORVISION』
◆『ターミネーター2018』
2018作目!? いやさすがにそれはないだろう、2018年を舞台にしているということだ。
パッケージは・・・・・・
犬だ! シュワちゃんじゃないのはわかってたけど、人間でもなかったよ! ワンワン!
ある意味、本家より先をいってるかもしれない。
原題は『Rottweiler』スペインの作品である。
ターミネーターシリーズ、まだいくよ♪
◆『ターミネーターNEO』
本家がリブートしたから、乗っかり邦題もリブートした感?
ポスターを見るかぎり、それほど乗っかる気はないのかも。
いや、女性型ターミネーターが登場した『3』に乗っかろうとしたか。
原題は『REPTILICANT』
そのほか、以下のようなターミネーター乗っかり邦題があった。
◆『ターミネーター・ライジング』
これもリブート感あるタイトル。
原題は『PERFECT: ANDROID RISING』
◆『プロトタイプ・ターミネーター』
これは「エピソード・ゼロ」みたいなノリ?
原題は『EXILE』
◆『ターミネーター・ウォー』
あっちにもこっちにもおるんかな。
原題は『Android Insurrection』
エアロスミスやないか
先日、「エアロスミス」の解散が報じられてさみしいかぎり。
エアロといえば、担当したテーマ曲『I Don't Want to Miss a Thing』とともに大ヒットした映画『アルマゲドン』(1998年)!
しかし当時の私は、似たようなネタで似たような時期に公開された『ディープ・インパクト』派だった。
興行収入的には『アルマゲドン』が勝利したが、評価は『ディープ・インパクト』も負けていなかったと思う。
『アルマゲドン』はどんな話だっけ。ひさびさに見返して、死なない男の死にっぷりを堪能してみるか。
ん?
んん?
あれ? ブルース・ウィリスは? ベン・アフレックは? スティーブン・タイラーの娘(名前忘れた)は?
だいたい、地球に落ちてくるのって、月だっけ?
あ、なんか数字がついてる。
◆『アルマゲドン2007』
はい、知ってる方は知っている、アルマゲドン伝説はここから始まったのである。
当然、上記作品も、日本でかってに『アルマゲドン』関連作のごとく装っただけであり、原題は『EARTHSTORM』
まったく無関係な作品である。
そして伝説はつづく。
◆『アルマゲドン2008』
地球滅亡の危機、二年連続で来ちゃった!
原題は『 COMET IMPACT/FUTURESHOCK: COMET』
『2007』『2008』と来たから、つぎは「アルマゲドン2009」なんていうひねりのないネーミング?
◆『アルマゲドン2010』
ち、違った! 一年とんだ!
むしろ2009年はなんで地球に危機が来なかったのか気になるわ。
原題は『METEOR APOCALYPSE』
毎年やるんじゃないのかあ。「今年もアルマゲドンの季節が来たね?」みたいな会話が、アルマゲファンのあいだで交わされるもんだと思ってたのに。
『2011』はないのかなあ。
◆『アルマゲドン2011』
来たあぁああああ! 待ってましたぁああああ!
原題は『METEOR STORM』
滅亡の危機を待ってるってのも変だが、アルマゲファンは毎年このときを待っているのだ。
◆『アルマゲドン2012』
イエス! やっぱり毎年来てくれないとね!
原題は『QUANTUM APOCALYPSE』
さあ、つぎは「2013」の出番ですよ!
◆『アルマゲドン2012 マーキュリー・クライシス』
えっ? そんな、なんてこと・・・・・・!
滅亡の危機ったら、アルマゲファンのために、2012年に二度も来てくれるなんて! あたい、感激!
原題は『Collision Earth』カナダ映画
うれしいけど、一年に一回でいいからね。ムリしないで。
◆『アルマゲドン2013』
うんうん、いいよいいよ、その調子♪
原題:は『CAT. 8』カナダ映画。
なんかポスターのクオリティが下がってる気がするけど、ドンマイ!
◆『アルマゲドン2014』
日本だけのシリーズ扱い、これで9作目。私もあなたも、もはや立派なアルマゲファン。ポスターも元気を取り戻した。
原題は『ASTEROID VS EARTH』
つづいては「2015」・・・・・・
えっ、違うの? また一年に二回、もしくは一年飛んで「2016」?
◆『アルマゲドン20XX』
うおっ、こ、これはどう評価すれば・・・・・・。最後、的なニュアンス?
もしかして、「滅亡の危機たん」はもう、地球を滅亡させるようでさせない寸止め行為に飽きたの?
あなたがいなくなったら、アルマゲファンの私たちはどうすれば・・・・・・。
原題は『20 YEARS AFTER』
「2015」はなくなったとして、「2016」は? 「アルマゲドン2016」はないの?
すっかりアルマゲファンになっていた私は、ここで自分が、もともとは「ディープ・インパクト派」であったことを思いだすことになる。
◆『ディープ・インパクト2016』
「2016」のタイトルを、『ディープ・インパクト』が奪ったぁああああ!
はい、私はディープ・インパクト派です! 来年「2017」以降もついていきます!
原題は『METEOR ASSAULT/ASTEROID: FINAL IMPACT』
アルマゲドン乗っかり邦題には、ほかにこんなのがあった。
◆『アルマゲドン・オブ・ザ・デッド』
ゾンビものにも乗っかろうとしてる!
原題は『SOLID STATE』
◆『アルマゲドン・パニック』
まさかのアントニオ・バンデラス製作総指揮作品である。
原題は『BEFORE THE FALL/TRES DIAS』
◆『エイリアン・アルマゲドン』
おい、エイリアンにも乗っかるのか、節操ないな! と思ったら、原題も『ALIEN ARMAGEDDON』であった。
◆『アイス・アルマゲドン』
うん、寒さで滅亡危機になるんだろね。
原題は『CHRISTMAS ICETASTROPHE/ICETASTROPHE』
ちなみに、『ディープ・インパクト2016』以前も、『ディープ・インパクト』に乗っかっろうとはした作品はあったようである。
◆『ディープ・インパクト2008』
原題は『HELL'S RAIN/ANNA'S STORM』
大作スピンオフといえば
人気シリーズに乗っかれば、そこそこの興行収入は見込める。
それはなにも日本の配給会社にかぎらない。本家アメリカでも、安易に稼ごうとする例はいくらでもある。
「正式なスピンオフ」だから逃げも隠れもする必要はないのだが、ダブルで乗っかるのか! と驚かされたのがこれだった。
『AVP』(エイリアンvs.プレデター 2004年)
もとはアメコミであり、原題も『AVP Alien vs. Predator』
『AVP』という略称がインパクト大だった。キャッチコピー「どちらが勝っても、人類に未来はない」もよかった。
のちに続編『AVP2』も公開される。
そしてこれ以降の作品で、アルファベット三文字『AV○』シリーズが「日本だけ」で始まることになった。
◆『AVA』(エイリアンVSアバター)
すごいの相手に来ちゃった! 怖くないけど!
原題はあくまでも『ALIENS VS. AVATARS』であり、略称『AVA』は日本独自の乗っかり。
まあ、企画自体がひどいのだが、それにしてもこのキャッチコピー!
うん、かってに戦ってもらいましょう。
◆ 『AVA』(エイリアンVSエイリアン)
あの・・・、タイトル、上のとかぶってますよ?
原題は『AVH: ALIEN VS HUNTER』
◆『AVA』(エイリアンVS.エイリアン インベージョン)
うん、だから略称、上のとかぶってますって。
原題は『ALIEN AGENT』
◆『AVA』(エイリアン VS. エイリアン ジャッジメント・デイ)
この略称じゃないとダメなようだ・・・。
原題は『ALIEN VS ALIEN/SHOWDOWN AT AREA 51』
◆『AVN』(エイリアンVSニンジャ)
お、ついに『AVA』の呪縛から解き放たれ、あらたな略称が!
と思ったらこれ、日本の映画だ!
ハリウッドでのリメイクが決まっているとかいないとか・・・。
◆『ZVZ』(ゾンビVSゾンビ)
エイリアンいなくなっちゃった!
原題は『THE FOREVER DEAD』
『AV○』シリーズはこんなところだったが、エイリアン乗っかり邦題にはこんなものも。
◆『エイリアン2013』
アルマゲドンシリーズのように連発はできなかった模様。
原題『GEMINI RISING』
◆『エイリアン・ビギンズ』
本家エイリアン・シリーズにも出てきそうなタイトル。
原題『The Salena Incident』
◆『エイリアンズ』
本家の第2作の原題は『Aliens2』ではなく『Aliens』なのでまぎらわしい。
原題『EVIL ALIENS』
ロボは男のロマンである
私はガンダムを代表とするロボアニメに熱狂しながら育った。ゆえに映画においても、ロボが活躍する作品は無条件に手を出してしまう。
そしてアメリカ映画の資金力の強さに圧倒される。その最たるものが、『トランスフォーマー』シリーズだ。
こういう、手前に人間、奥にロボ、という配置のポスターは、ベタだけど、やはりそそられてしまう。
また見返したくなってきた。
が、このシリーズはナンバリングが打たれていないから、どれが何作目だったか順番がわかんなくなることがあるんだよなあ。
ま、てきとうに選んでみるか。
ん?
んん?
なんか違う。でも、パッケージにはちゃんと正義のトランスフォーマー「オプティマスプライム」が・・・・・・
あ、微妙に違うかも。メカデザインも、タイトルも!
これが『トランスフォーマー』乗っかり邦題である。
◆『トランスバトラー』
原題はもちろん『トランスフォーマー』とは無関係で『RESIKLO』という。
なんとフィリピン映画であり、現地でのポスターデザインはこれ。
『トランスフォーマー』感、皆無!
レトロなロボデザインがわりとそそる。サンライズファンはこのままのほうが惹かれるような気がする。
では『トランスフォーマー』乗っかりネタを二連続で。
◆『トランスフォーサー』
一字違い! 勘違いさせる気に満ちている。
ポスターも本家とおなじ配置。ロゴもじつにそれっぽいので、手を伸ばしたくなってしまう。
原題は『HUMANITY'S END』
◆『トランスモーファー』
ポスターを見るかぎり、これはロボを敵対者として配置しているようだ。やはりデザインに惹かれてしまう。
なんと原題も『Transmorphers』
向こうでも、乗っかる気しかない、いわゆる「モックバスター」(模倣映画)。
近未来が舞台なのは食傷気味だな、太古に戻ったような体験をしたい。
太古といえば、うん、あれだ。
ジュラシック・パーク・シリーズ
困ったことにこのシリーズは、ナンバリングがないどころか、タイトル自体が毎回のように変わる。
5作目もまた違うタイトルになるらしいし、記憶力が乏しい私には、どんどんややこしくなる。
これは何番目だっけ?
◆『ジュラシック・ウォーズ』
正解:そんなもん、ない。
原題は『PRIMAL SPECIES』で、日本では『ダイナソー・クライシス』シリーズとしてリリースされていたものなのだが、3作目でなぜかジュラシック・シリーズに乗っかることを決意。
が、結果がでなかったのが、のちに『ダイナソー・クライシス3』に変更された。
「ジュラシック」が特別な単語というわけではないので、ジュラシックとつけばジュラシック・シリーズに乗っかろうとしている、との指摘は、言いがかりだと反論されるおそれがある。
よって、乗っかる気がどの程度かを、ポスターデザインなどで判断していくとしよう。
◆『ジュラシック・プロジェクト』
原題は『EXTINCTION/THE EXPEDITION』
ロゴがけっこう近い気がする。乗っかる度35%。
◆『ジュラシック・アイランド 』
原題は『DINOSAUR ISLAND』
これもロゴがなかなか・・・。
恐竜に毛がはえているぶん、もしかすると「本家」よりも考証がリアル寄りなのかも!
乗っかり度30%。
◆『ジュラシック・ハンターズ』
原題は『COWBOYS VS DINOSAURS/JURASSIC HUNTERS』
ロゴはまったく違うのだが、ロゴバックの骨格標本みたいのが、本家を連想させる。わざわざ骨で示す必要はないはずだ。
こうなると、なぜロゴを似せなかったのかが気になってくる。似せようよ、乗っかろうよ、とアドバイスしたい気分にすらなってきた。
だが、きっと日本の配給会社のプライドなのだろう。安易な宣伝手段を選ぶばかりの楽な仕事をしてると思うな! というメッセージなのかもしれない。
そう反省しつつ日本版トレイラーを見たら、「ジュラシック・ワールドにつづくパニックアクション最強作!」と思いきり乗っかっていた。おい。
乗っかり度、ロゴデザイン以外は80%
あのシチュエーションスリラーにも乗っかろう
シリーズがたくさんあるものの、ナンバリングされているのでわかりやすいのが『SAW』シリーズ。
全7作で、『SAW2』『SAW3』『SAW4』『SAW5』『SAW6』『THE FINAL』とつづく。
かなり私好みの作品だったが、『3』はダメだった。ブタのやつがね、なんだかベクトルが苦手ほうにいってしまった。
でも、もう一度トライしてみるか・・・。
◆『SAW.ZERO』
あれっ、ナンバリングでシリーズがつづく作品の、番外編定番タイトル『ゼロ』がソウ・シリーズにもあったんだ?
となった人、いると思う。
原題は『Saints-Martyrs-des-Damnes』カナダ映画である。
ここまで紹介してきた乗っかりタイトルとはことなり、ふざけた要素が皆無の、ドシリアスな乗っかり方だ。パッケージは本家よりも怖いかも。
◆『JIGSAW』
これは私がよく行っていたレンタルショップだと、本家と並んで陳列されていた。
パッケージデザインのノリが本家に酷似しているので、初見では本気で関連作だと勘違いした。
なにがひどいかって、本家『SAW』最大のキーマンの名前が「ジグソウ」なのである。完全にスピンオフのような顔をしてやがるぜ。
原題は『Occhi di cristallo』
本家同様シリーズ化していて、調べたところ全8作。全7作の本家を越えてる!
『SAW』乗っかり邦題には、ほかにこんなものが。
◆『SAWレイザー』
『ヘルレイザー』にも乗っかろうとしたのか。
ポスターデザインも完全に本家のノリだったが、思惑は失敗に終わったのか、セル時には原題の『NECROMENTIA』に戻されていた。
*
アメリカ映画の、ひどい日本版タイトルのまとめを書くつもりが、結果的にB級映画の紹介のようになった気も。
多くが、製作の時点ですでにB級なのだから、日本で公開するにあたって、笑われようがふざけてると思われようが、とにかく目にとまるタイトルに変更しようと考えるのは、ビジネスとしては妥当な判断だろう。
今回の記事を読んだみなさんの感想は、「アルマゲドンばっかりだったな」といったものになっているような気もする。来年『アルマゲドン2017』が来るのか期待したいところ。
乗っかりではない、純粋にひどい邦題のまとめについても、機会があれば書いてみることにしよう。
おまけを2作品、このページ最後に記しておく。
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おまけ:アメリカで製作している時点で、すでに乗っかっている作品
◆『メタルマン』
原題も『METAL MAN』
左が乗っかられ、右が乗っかり。
◆『ブラックナイト リターンズ』
原題も『THE BLACK KNIGHT - RETURNS』
いうまでもなく、元ネタは・・・・・、
あれ、どっちだ?
このパッケージデザインは、あまりイケてないかも。
通常版のほうが好みだ。