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鳥越氏の出馬会見詳報(1)生まれは九州 都民の資格は持っている

記者会見で都知事選への出馬表明をするジャーナリストの鳥越俊太郎さん=東京都内のホテルで2016年7月12日午後2時6分、中村藍撮影

 12日午後、東京都知事選の出馬会見の冒頭でジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)が発言した内容は以下の通り。【錦織祐一、大村健一/デジタル報道センター】

汗水流して払ってもらった税金に対する意識を

 私、鳥越俊太郎、生まれは九州でございます。今でも九州のなまりが消えませんが、30年あまり住んでいるので、東京都民の資格は持っているつもりです。きょうはそんなに長い時間がありませんが、三つぐらいのことを申し上げたい。

 第一に、東京都政は(元知事の)猪瀬(直樹)さん、(前知事の)舛添(要一)さんの時代に、残念ながら「政治とカネ」という、よくある話ですが、2代続けてお金の問題で任期を全うできなかった。それによって、都政が大変な混乱に陥ったことは皆さんもご存じの通りです。それをちゃんと受け止めて、どこに問題があったのか。もし私が皆さんに選んでいただいて、任に当たるとしたら「何を気をつけなければいけないのか」「何を心に留めておかなければいけないのか」について、まずお話をしたい。

 近代市民社会は、私たちが汗水流して働いて払った税金で成り立っています。税金で東京都庁、都議会といった行政府、立法府は運営されている。そのことをまずしっかりと確認しないといけない。

 この税金の問題は、ともすれば日本では忘れられがちになってしまう。お金を使う側のお役人、議会の先生方だけでなく、納めた側も自分たちが納めた意識が希薄になっている。

 特に舛添さんのときに典型的に見られたのは、私たち全員がそうだと思うが、都税や区民税を相当に払っていて、皆さんもそうだろうし、僕なんかも「こんなに払っているのか」と思う。この都税を使うときに、舛添さんに「東京都民が汗水を流して納めた税金を使っている」という意識が飛んでいたのではないかなと思う。だから外国に行くときはファーストクラス、スイートルームに泊まるというとんでもない税金の使い方をしていた。これは納税者への意識と税金で(都知事としての)負託を受けているという意識が希薄になった結果だ。これは「政治とカネ」の問題では言い表せない。もっと深く言えば、「税金をどう使うか」をどれだけ意識して仕事に当たっているかが問われているのだと思います。

 私は大学で歴史を学んできた人間として、税金、納税への意識をしっかりと胸に受け止めて、もし私がそういう場に立つ(知事になる)ことになった場合は、十分に心に留めて仕事をしたいと思います。今後もずっと続く重要な問題だと思っています。

 私は76歳になります。友人には「76歳にはとても見えない」と言われますが、実年齢は76歳です。ということは、残りの人生はもう何十年もあるわけではない。私の残りの人生の何分の1かを使って、もしその(知事の)任を与えていただけたら、自分の力を使って誠心誠意、力を込めてやっていきたい。東京が「住んでよし、働いてよし、環境によし」という三つの「よし」を持つために、私の全力をささげたいと心から思っています。

公共事業で経済を良くするのはやめよう

 二つ目に東京は、約7兆円という、ちょっとした国の予算規模と同じくらいの予算を組んでいる。税収は4兆円を超える。日本一豊かな都道府県であり、大きなチャンスも転がっている。輝かしい可能性を秘めていると固く信じている。その中で、4年後に東京五輪・パラリンピックがやってきます。可能性を秘めた東京都として、全力を挙げてその任に当たりたいと思っている。有権者の皆さんに支持をいただけたら、東京五輪・パラリンピックは輝かしい日本、東京の存在を世界中に発信したいと思っています。

 これだけの可能性を秘めた東京都ですが、さまざまな問題が転がっているのも事実です。たとえば保育所、待機児童の問題は未解決のまま残っている。どの知事が手をつけてくれるだろうと思いながら、ずっと手つかずです。輝かしい側面を持っている半面、格差が進行して、恵まれない方々がいるのは事実です。それは少子高齢化にもつながっているわけですね。東京都は出生率が全国最低で1.1%で、これでは人口を保てない。子供を作り、育て上げる環境を作りたいなと思います。それは、そんなに難しいことではないと思うんですね。それは政策のどこに重点を置くのかで変わってくると思います。

 私はかねがね、これは国の問題ではあると思うのですが、「公共事業はそろそろいっぱいだ」「公共事業で経済を良くするのはやめようよ」と言ってきました。今、必要になっている少子高齢化や待機児童、介護など日本の目の前に横たわっている問題にお金を使って経済を活性化すべきだと思っています。東京都でも同じことが言えると思う。さらに可能性を発展させる東京都にしたいなと心から思っています。

出馬は昨日の夕方に決めた

 出馬は昨日の夕方に決めたので、公約はまだできていないので、今ここで自分の頭で考えています。いずれ皆さんには公約という形でお話しします。

 そして三つ目は「あえて付け加えるなら」という話ですが、私はなぜ東京都知事選に出ようと思ったかという話ですが、参議院選挙の開票を見ていて「日本も戦後70年、平和な時代を過ごしてきたのに、平和な時代の流れが変わり始めたな」と感じました。それは日本の問題だが、首都である東京都の問題でもある。国全体が流れを変え始め、かじを切っているというときに、私が東京から流れを変える、戻す力になれば、すばらしいなと思いました。これは、あえて(公約に)付け加えていることです。

 私は昭和15年、1940年の生まれです。防空壕(ごう)にいたこともよく記憶しています。戦争を知る最後の世代、戦後の第1期生として、平和と民主主義の教育の中で育ってきました。憲法改正が射程に入ってきているというのが参院選の中で分かりました。「それは国政の問題で東京都政とは関係ないだろう」という方もいると思いますが、日本の首都だから大いに関係があると思う。戦争を知る世代の端くれとして、都民にそういうことも訴えて、参院選と違う結果が出るとうれしいというのが私の気持ちです。


<ここで民進党の都知事候補として名前が挙がっていた元経済産業省課長の古賀茂明氏(60)が会見場に訪れ、鳥越さんを支援することを表明する>


 古賀さん あまり知られていないが、鳥越さんとは同じ九州出身で、仲良くしていただいて、同じ病気(がん)もしている。この前「選挙に出ていただけないか」とお願いしたら、「俺は出ない」と言っていたので、「出るときは応援します」という話をしました。そうしたら急に「やっぱり出る」という話になったので、「だったら鳥越さんがいい」と(民進党都連会長)松原(仁)さんに伝えました。市民の声を集めるというのが一番大事なことだと思うので、(立候補を表明している)宇都宮健児さんや上杉隆さんも立派な方だが、話し合って告示前に一つの声として結集できればと思っています。

 鳥越さん この前、電話で立候補について聞かれて「いやいや出ませんよ」と伝えました。「出たら応援するのに」と言われて話が終わりました。その後、いろいろないきさつがあって古賀さんが(立候補を)取り下げられて、どうしてもきょうは記者会見に来て話したいということで来ていただきました。

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