出生、入学と卒業、就職、結婚、出産、そして死…。人の一生は様々な出来事の網の目の中で営まれており、それらは私たちの人生の枠組みを担っています。
また、私たちは同時にこの様な人の生の枠組みを規定するライフイベントごとに、その節目を飾る通過儀礼や儀式を採り行っています。
普段私たちが何気なく使っている“冠婚葬祭”という言葉は、人が生まれてから死ぬまでの過程に起こるイベントと、それにまつわる儀式の全体を表す言葉ですが、この儀式にはそれぞれ、規範となる礼儀作法やマナーが潜んでいます。
今回は「【保存版】冠婚葬祭の基本マナーと礼儀まとめ」と題して、私たちが生を営む上で、避けては通れない様々な儀式の基本マナーや礼儀作法をご紹介してまいります。
1冠婚葬祭とはなにか
引用元:http://d.hatena.ne.jp/fushikian15301578/20140420
そもそも“冠婚葬祭”という言葉は何を意味しているのでしょうか。
この言葉は“冠”、“婚”、“葬”、“祭”と4つの各々が独立した意味に分けることができ、それぞれの意味がライフイベントにおける具体的な通過儀礼や儀式に対応しています。
まずはそんな“冠婚葬祭”という言葉を構成する意味の要素についてと、その具体的な儀式についてご紹介してまいります。
1-1.「冠」とは各種お祝い事のこと
“冠婚葬祭”の「冠」とは、その文字が示す通り“冠”を頂くことができる成年に達し、社会的に認められることを意味します。
これは、日本では奈良自体以降の元服の儀式、つまり男子が当時の社会的な成人年齢である15歳になった時に、頭に冠をのせる「元服加冠」の儀式に由来します。
したがって“冠婚葬祭”の「冠」とは、子供が一人前になって大人の社会の一員として認められる際に行われる儀式のことで、いわゆる成人式のことを指します。
この様に「冠」は成人式を表す言葉に由来しますが、時代とともに意味が変化し、現代では子供が成人するまでの各種のお祝い事や成人後の還暦や喜寿など、各種のお祝い事を意味するようになりました。
いずれにしても、“冠婚葬祭”における「冠」とは人生の節目節目で行われる各種のお祝い事全般のことを指し、ある社会的な地位や状態から別のそれへの移行を保証する際の象徴的な通過儀礼であるといえるでしょう。
1-2.「婚」は結婚や結婚式にまつわること
“冠婚葬祭”の「婚」とは結婚式のことです。
数あるライフイベントの中で、最も華やかで、幸せに満ちた儀式ですが、この言葉は“結婚式•披露宴”だけを指すと思われがちです。
本来はそうではなく、挙式前の準備や挙式後の新婚旅行、新婚生活のスタートと挨拶回り、結婚祝いの返しをも含めた、結婚の儀式に伴う様々なイベントプロセス全般を含んでいます。
したがって「婚」の具体的な儀式やマナーは後に見るように、結婚にいたる流れによって、例えば恋愛結婚かお見合い結婚かによって変わってきます。
1-3.「葬」とは人の死にまつわる儀式のこと
大切な人との別れは誰にも訪れる出来事です。
“冠婚葬祭”の「葬」とは人の死に際して死者を見送る者がとる、葬儀や告別式、法事や法要などの儀礼全般を意味します。こ
れらの儀式は、宗教や宗派によってその具体的な内容は変わりますが、後にご紹介するように様々な礼儀作法やマナーが存在しています。
1-4.「祭」は祖先の供養の儀式と年中行事のこと
“冠婚葬祭”の「祭」とは、先祖の供養に伴う儀式や慣習のことです。
仏壇に線香をあげ、新しい供物を供えて手を合わせたり、お墓参りをして掃除をしたりと、ご先祖様を祭り、尊ぶ儀式や慣習全般のことです。
元来「祭」とは先祖の供養をすることを意味していましたが、時代が下るごとにその意味も広がりをみせ、現代では大晦日やお正月、節分や七夕などの年中行事を指す言葉としても使われます。
このように“冠婚葬祭”という言葉は、人が一生を送る上で遭遇する様々な出来事と、それに対応する種々様々な儀礼から成り立っています。
そしてその儀礼では社会的にふさわしい規範的な動き、つまり礼儀作法や基本マナーと呼ばれる動きが存在します。
以下は、本題通り、その各儀礼においてふさわしいとされている基本マナーや礼儀作法を具体的にご紹介してまいります。
2.「冠」にまつわる儀式の種類とマナーについて
人が生まれてから死ぬまでのライフサイクルの中には、現状の社会的な共同体から分離され、新しい共同体に統合されるプロセスが数多く存在します。
その分離と統合のプロセスを社会的に認証する装置として様々な儀式が執り行われます。社会的な儀式を通過することで、移行が社会的に認められるのです。
人がある社会的な状態から別の社会的状態に参与する際に通過する、色々な儀式とそのマナーについて概観していきます。
2-1.お宮参りのマナー
引用元:http://www.irasutoya.com/2013/07/blog-post_9095.html
「お宮参り」とは、赤ちゃんが生まれた土地の守り神である産土神(うぶすながみ)に赤ちゃんを出産したことをご報告し、健康に育ってくれるように願う行事のことです。
赤ちゃんが生まれてから30日以内に、自宅から一番近い神社で行うのが一般的です。
よく遠くの有名な神社にお宮参りに行く人もいますが、お宮参りはあくまでも地元の神社の神様のご加護を祈願するという性質があるため、生後間もない赤ちゃんの体調のことを考えると近所の神社で済ますのが一番良いとされています。
お宮参りでは、神主に祝詞をあげてもらう謝礼として“初穂料”や“玉串料”を支払います。
どちらも神様に捧げるものという点では違いはありませんが、“初穂料”は古来、神様に祈願する時、その年で初めて獲れた穂を捧げる慣習の名残で、“玉串料”とは、玉串と呼ばれる榊(さかき)の枝に紙垂(しで)をつけたものをお供えする習慣の名残のことであり、現在では初穂や玉串の代わりに金銭を捧げるようになっています。
金額については地域や神社によって3000円〜10000円と差がありますので、お宮参りで参拝する神社に聞くか、お宮参りをしたご近所さんに聞くのがいいでしょう。
お宮参り当日の服装マナーについては、赤ちゃんは白羽二重が最もフォーマルなものですが、最近ではベビードレスなどを着せてもマナー違反ではないとされています。
両親の服装はスーツなど、神前で礼を失しないフォーマルな服装がいいでしょう。
2-2.七五三のマナー
七五三は子供の厄年といわれる3歳、5歳、7歳に、地元の守り神である氏神様に参拝することで子供の健やかな健康を祈願する目的で行われる行事です。
地域によって異なることもありますが、一般的には男子は3歳と5歳、女子は3歳と7歳に行われます。以下に七五三の時に気をつける参拝や服装についてのマナーを簡単にご紹介します。
■七五三の参拝マナー
神社で七五三のお祓いを受け、祝詞をあげてもらう場合には、まず参拝予定の神社に予約が必要かどうかを事前に聞いておいたほうがいいでしょう。
予約を受け付けていない場合もあるので注意が必要ですが、予約可能であればスムーズに段取りするために予約するのがオススメです。
■初穂料と玉串料の相場
七五三を行う場合には、神社に対する謝礼として「初穂料」または「玉串料」を支払うのが慣例となっています。
金額については各神社で相場は異なりますが、平均5千円前後とされていますので、さりげなく神社に確認しておきましょう。
紅白の蝶結びののし袋に入れて、表書きの上段に「御初穂料」または「御玉串料」、下段に子供本人の名前を書いてお渡しします。
■参拝の仕方
神社で参拝する時は、まずは鳥居をくぐる際に軽く会釈して境内に入ります。
そして境内にはいって本道に向かう祭は、神様が通るとされている参道中央は歩かずに参道両端を歩くのが一般的なマナーとなります。
その後、手洗い所で手を洗い、口を清めます。鈴を鳴らしてから二礼、二拍手、一礼をして子供の成長に対する感謝をし今後の健やかな健康を祈願します。
■七五三の服装マナー
七五三の服装マナーについては、昔は和装が一般的でしたが現代では洋装が増えているのでどちらでも問題はありません。
入学式や入園式に着回しすることを考えている場合は、洋装の方がいいかもしれません。
子供の洋服については、男子はスーツやタキシード、女子はドレスかワンピースなどのフォーマルな服装が一般的です。
注意が必要なのは子供の両親の服装で、七五三はあくまでも子供が主役の行事なので、子供より親の服装が豪華にならないよう、服装の格をあわせるように心がけましょう。
神社で行う場合は神前での行事となるので、過度な露出や生足、つま先の空いたオープントゥなどのサンダルはNGなので、ふさわしい格好で望みましょう。
2-3.成人式や成人祝いのマナー
引用元:http://matome.naver.jp/odai/2135521365153226701
成人式とは毎年1月の第2月曜日に各市町村で新成人を祝福する行事のことですが、この行事は本来的には子供の世界から大人の世界への社会的参与を画する式典で、飲酒や喫煙などの自由が与えられる反面、責任や義務などが課されるので大人としての自覚を求められます。
■ご祝儀の相場
成人式の前後でご祝儀を渡すこともあると思いますが、相場は5千円〜2万円程といわれています。
祝儀袋は紅白で蝶結びの、のし付きのものを選びましょう。
表書きの上段は「御祝」や「祝御成人」、下段には成人した本人の名前を書いてもいいですし書かなくても問題ありません。
ご祝儀を贈るタイミングとしては、成人式の1週間前までが望ましいとされています。
また、ご祝儀を贈るほどの間柄ではないけど何かお祝いをしたい場合では、電報などを送ったりするのが一般的とされています。
■成人式の服装
成人した本人の服装については、男性であればスーツや紋付袴、女性であれば振り袖などの慶事にふさわしい服装が一般的ですが、過度に派手すぎない節度ある服装が望ましいとされています。
両親の服装に関しては、こちらもあくまで新成人が式の主役となるので、新成人より派手にならないように心がけましょう。
“冠婚葬祭”の「冠」の行事としては他にも、入園や入学、卒園や卒業、入社式から新築を建てる際に土地を清める儀式から、開業する際の商売繁盛を祈願する儀式するなど幅広い行事とマナーが存在します。
3.「婚」–結婚式のマナー
引用元:http://01.gatag.net/0010544-free-illustraition/
数あるライフイベントの中で最も華やかしく幸せに満ちたイベントである結婚式。結婚式に招待される場合には様々なマナーに配慮することが多いと思います。
そこで、主に結婚式に招待され出席した場合に気をつけたい大切なマナーをいくつかご紹介してまいります。
3-1.結婚式の招待状の返信についてのマナー
結婚式のマナーは、結婚式が始まる前から気をつける必要があります。
それは結婚式の招待状を受け取った際に、出席か欠席を返信する必要がありますが、それぞれに返信するタイミングや書き方についていくつかのマナーがありますのでご紹介してまいります。
■招待状の返信のタイミングは?
まず結婚式に出席する場合でも欠席する場合でも、招待状が届いてから2〜3日以内、遅くとも1週間以内に返信をするのがマナーです。
結婚式に招待する側としては、早めに出欠をとって式を段取りしたいという思いがあるので、招待状を受け取ったらできるだけ早めに返信する方がスマートです。
■出席する場合の返信の書き方
結婚式に出席する場合の招待状の書き方については、4つのポイントを意識しましょう。
- 宛名の「行」の字を斜線で消してから「様」と尊敬語に訂正する。
- 御欠席を二重線で消し御出席の「御」の部分を斜線で消す。
- 結婚の祝福の言葉を記載する。
- 御住所の「御」を斜線で、御芳名の「御芳」部分を二重線で消す。
はがきの書き方のマナーとして、書き手を謙譲語で表記し、受取手を尊敬語で表記します。
その際、一文字の場合は斜線で、二文字以上の場合は二重線で消すのが細やかな気配りとされていますので心がけましょう。
■欠席する場合の返信の書き方
仕事の都合などで万が一出席できない場合の返信の書き方については、出席する場合の注意点の内2つは共通していますが、4つのポイントがあります。
- 宛名の「行」の字を斜線で消してから「様」と尊敬語に訂正する。
- 御出席を二重線で消してから御欠席の「御」を斜線で消して、「残念名が」など手書きで一言添える。
- お祝いの言葉だけでなくお詫びの言葉を記載する。
- 御住所の「御」を斜線で、御芳名の「御芳」部分を二重線で消す。
結婚式に欠席することが確定した段階で、新郎新婦にはできるだけ早く電話やメールなどで連絡しておきましょう。
招待状を受け取ってからすぐに欠席のはがきを出すのは失礼にあたる可能性があるので、受け取り後1週間程度を目安に送るのがいいでしょう。
3-2.結婚式のご祝儀とご祝儀袋の書き方
■ご祝儀の相場はいくら?
結婚式に出席するときにご祝儀をいくら包むかで悩んだことがある人も多いでしょう。
結婚式に出席する方が既婚の場合、結婚式に参加してくれた時に頂いた金額と同じ金額を渡すのが基本とされていますが、そうでない場合には、新郎または新婦との関係性に応じてご祝儀の相場となる金額も変わってきます。
2015年に行われたゼクシィの結婚トレンド調査によれば、新郎新婦との関係性別のご祝儀の平均金額は
友人・同僚:3万円
上司:3万8千円
親族:6万2千円
であると報告されています。
こちらの数字はあくまでも全国平均の金額となるので、実際には友人・同僚で3万円、上司で3万円〜5万円、親族に対しては付き合いの深さによっても変わってくるので5万円〜10万円の間が実際のリアルな相場だとされています。
結婚式に参加する場合の祝儀の金額で悩んだら、上記のようなデータを参照して金額を決めると良いと思われます。
■ご祝儀の金額のタブーについて
ご祝儀にはタブーとされる金額があるので注意しましょう。
まず4万円や9万円などの金額は「死」や「苦」を連想させるのでNGとされています。
また6万円や8万円など割り切れる偶数の金額についても「別れ」を連想させるので避けた方が無難です。
ただし昨今では、例外的に2万円は“夫婦”を表すなどといわれ、例外的に許容される風潮があります。
2万円を包む場合には、相手が縁起を重んじる場合もあるので、1万円札1枚と5千円札2枚などと割り切れない枚数で包むのがいいでしょう。
■ご祝儀袋の選び方と書き方から渡すときのマナーまで
ご祝儀として渡す金額が決まったら、次はどんなご祝儀袋を選べばいいのでしょうか。
慶事に使われるご祝儀袋には様々な種類がありますが、結婚式で使うご祝儀袋は、右肩に“熨斗”(のし)のついた祝儀袋を使うのが鉄則です。
また、祝儀袋の表袋を一周している紐のようなものを“水引”と呼びますが、水引は一度結んだら解けない“結び切り”がお約束です。
“熨斗”なしや、何度でも結び直すことができる“蝶結び”の水引のついたご祝儀袋は御法度なので注意するようにしましょう。
ご祝儀袋の選び方は、上述したような結婚式用の祝儀袋か否かだけでなく、お渡しする金額によっても選び分けします。
例えば、5万円以上の高額のご祝儀をお渡しする場合は金銀の水引を使ったり、3万円程度の場合は紅白のものにしたりなどです。
よく“ご祝儀が安いのでせめて袋だけでも豪華に…”と考える人もいますが、これはNGマナーです。お渡しする金額にご祝儀袋の格式がふさわしいかどうかに配慮するようにしましょう。
続いて、ご祝儀袋に書く内容ですが、祝儀袋の表書きの上段については、昨今では印刷されているものがほとんどですが「寿」や「御結婚御祝」などと書くのが一般的です。
表書きの下段にはご祝儀を渡す本人の氏名を書きます。夫婦連名で出す時など、複数人で一つのご祝儀をお渡しする場合は、代表者の名前だけでなく必ず全員の名前を書きましょう。
その際、右側に書くのが目上の人なので、右から地位の高い順にフルネームを書きます。友人や同僚同士など上下関係がない場合は五十音順に書くとスマートです。
ご祝儀袋の中のお金を直接包む袋を“中包み”と呼びますが、この中包みにはお渡しするご祝儀の金額を書きます。
金額の書き方について、例えば「金3万円」と書くのではなく「金三萬円」と難しい漢数字で書くことがポイントです。また、ご祝儀袋の表書きと中包みに書く時はボールペンやサインペンではなく、毛筆で書くのがマナーとなります。
最後にご祝儀袋をお渡しする際のマナーとしては、ご祝儀袋を裸で持参するのではなく“ふくさ”にいれて持っていくことです。
“ふくさ”とはご祝儀袋をいれる布製の袋のことですが、ご祝儀袋を入れる慶事用のふくさと、香典を入れる弔辞用のふくさの二種類あります。
慶事用のふくさについては色はえんじや赤、紫などの赤系統の色のものを使うのがマナーです。特に紫色のふくさについては、慶事用だけでなく弔辞用にも使えるので重宝します。
ご祝儀袋の入れ方については慶事用の“右開き”となるように注意しましょう。
“左開き”は弔辞用の入れ方となるので注意が必要です。
受付でお渡しする際はふくさごとご祝儀袋を取り出して「本日はおめでとうございます」などはなむけの言葉を添えてふくさからご祝儀袋を取り出して渡すのがスマートです。
■結婚式の服装マナー
結婚式の当日間近になって「服装どうしよう…」と悩んでバタバタしているうちに、思わぬ失敗をしてしまったなんて経験をお持ちの方もいると思います。
続いては結婚式・披露宴での服装マナーについて男性編と女性編に分けて簡単にポイントをご紹介します。
■女性の服装マナー
結婚式の服装は普段着の綺麗めなワンピースではなくパーティドレスを着ていきます。
アクセサリーは控えめなパール系のものを使い、鞄は大きいものを避けて小振りなパーティバッグ、靴はつま先が出るサンダルなどはNGなのでパンプスが基本となります。
パーティドレスの色については、白は花嫁のカラーなので、白いドレスは御法度、慶事にふさわしくない黒っぽいドレスもNGです。
露出については、肩が出るノースリーブのドレスの場合に羽織物を身につけることがマナーとされています。
■男性の服装マナー
まずスーツについてですが、基本的にはフォーマルなブラックスーツで無地のものを選んでおけば間違いありません。
最近ではダークグレイのフォーマルスーツで目立たない程度のストライプも許容される傾向があります。シャツについては色物のシャツは避け、アイロンのよくかかった白シャツが基本です。
ネクタイについては白が最もフォーマルですが、シルバーやライトグレーのカラーも問題ありません。ベルトについてはバックルが派手すぎない控えめなデザインがオススメです。
靴下については黒い無地のものがマナーです。鞄についてはリュックやトートバッグはNGで、革製の手持ちできるクラッチバッグなどがいいでしょう。
結婚式や披露宴はあくまで新郎新婦が主役の行事となります。
出席する参加者は新郎新婦より目立たない、清潔感ある服装を心がけるようにしましょう。
4.「葬」—お葬式のマナー
引用元:http://www.floral-memory.com/contents/introduction/
大切な人との別れは誰しも突然やってくるものですが、感傷に浸る間もなく会葬の準備に追われて忙殺されることはよくあります。
お葬式に相応しい服装や香典マナーなどが分からない時は特にそうでしょう。
こちらの見出しでは突然の訃報を受けたときに、故人を落ち着いた気持ちで見送ることができるようにおさえておきたいマナーをいくつかご紹介してまいります。
4-1.訃報が届いた時の対応
訃報を聞いた時、訃報を受けた者と故人との関係性に応じてその対応が異なります。
まず故人が親族や親友、ご近所の方など関係性が近い場合には、訃報を受け取ったらすぐに弔問に伺うことがマナーとされます。
弔問時のマナーとしては、遺族の心労を考えて死亡時の状況や死因など事細かに聞かない心配りが必要です。
故人との関係性が近い場合、葬儀の準備などの手伝いを申し出ることも望ましいとされていますが、手伝いが不要の場合には改めて通夜に伺う旨を伝えて辞去します。
職場の上司やあまり親しくない知人など、故人との関係性が遠い場合には、玄関先でお悔やみを述べるにとどめ、改めて通夜や告別式に伺う旨を伝えて辞去します。
■お悔やみの言葉はなんと言う?
お悔やみの言葉は故人の死を悼み簡潔な言葉でまとめることがポイントです。
一般的には「このたびは誠にご愁傷様です。
心よりお悔やみ申し上げます」などというのがもっともシンプルな言い回しですが、以下のようにお悔やみの言葉を使い分けることもできます。
□急死の場合
「突然のことでなんと申し上げたらよいものかわかりませんが、心よりご冥福をお祈りします」
「思いもかけない知らせを受けて未だに信じられない気持ちです。心からお悔やみ申し上げます」
□病死の場合
「誠に残念なことでございます。どうかご看病疲れが出ませぬよう」
「先日お見舞いに伺った時は、とても元気そうでしたのに残念でなりません」
□忌み言葉について
お悔やみの言葉としては、死を直接または間接的に連想させる表現は忌み言葉としてタブーとなっていますのでご注意ください。その中でも気をつけたいのが“また”、“たびたび”、“重ね重ね”、“再三”など不幸や死が重なり、続くことを連想させる重ね言葉や繰り返し言葉は使わないようにしましょう。
4-2.香典袋の書き方と香典袋の選び方
そもそも香典とは、故人の霊前に供える線香や供花の代わりとして金銭をお供えするものです。
突然の不幸に際して、香典を用意する機会もあると思いますが、ここでは香典を用意する際に迷わないように香典袋の選び方から香典袋の書き方、包む金額まで大切なポイントをご紹介します。
■香典の相場の金額について
平成23年度に行われた、全日本冠婚葬祭互助会によるアンケート調査によれば、香典に包む金額は「家族•親族関係者」を除くと5千円という回答が最も多い回答となってします。
友人や職場の関係者などがここに含まれます。「家族・親族関係者」の中では、親からと遠縁の親戚まで故人に対する関係性の近さによって金額が異なり、関係性が近ければ近いほど香典につつむ金額が多くなっています。
例えば、故人が親である場合には10万円、叔父•叔母などは1万円と幅があります。
■香典の金額のタブーについて
香典に包む金額については、結婚式のご祝儀と同様にタブーとなる金額があるので注意が必要です。古代の陰陽五行説において、奇数は陽数、偶数は陰数とされており、陰数である偶数の金額は禁忌とされていまので注意が必要です。
また、3=「惨」、4=「死」、9=「苦」など語呂合わせ的にマナー違反とされる金額もありますのでしっかりと確認することが大切です。
■香典袋の選び方と書き方から渡すときのマナーまで
香典袋は葬儀の宗教に応じて異なりますので、葬儀の宗教に応じて使い分ける必要があります。
また香典袋に包む金額に応じても香典袋を分けるのがマナーです。
例えば、3千円〜5千円までの金額であれば、水引が印刷された簡易的な香典袋、1万円〜2万円までの金額であれば、白黒の結び切りの水引のついたもの、3万円〜5万円までの金額であれば、高級な和紙に銀の水引をかけたもの、10万円以上であれば、高級和紙にひだ折や銀紙が入っていて、銀の水引がよく装飾されたもの、という風に香典に包む金額と香典袋の格式が合っているものを選ぶように心がけましょう。
香典袋の書き方については、表書きの上段には、印刷されている場合もありますが「御霊前」と、表書きの下段には氏名を、それぞれ毛筆で書きます。
この際、氏名は「御霊前」の文字よりも少し小さく書くことがポイントです。
香典袋の裏書きについては、左下に金額と名前を書くのが一般的です。香典袋には一般的にお札を入れる“中包み”と呼ばれる白無地の封筒が入っています。
中包みには、金額と氏名、住所を記載します。最近では中包みにそれらの記入欄があるものも増えてきているので、その場合には記入欄に沿って書きます。
香典袋に使う毛筆、または毛筆ペンの濃さについては薄いものでも濃いものでもどちらでも問題ありません。薄墨は悲しみの象徴で、涙で墨が薄くなったことを表します。
また濃い墨は思いやりの象徴で、亡くなった故人のために丁寧に墨を摺ったことを”表します。
香典袋の渡し方については、結婚式のご祝儀と同様に裸で持参するのではなく、必ずふくさに入れて持参するのがマナーです。受付で渡す際は「このたびはご愁傷様です」と一言添えて渡すのがマナーです。
4-3.お葬式の服装マナー
お葬式の服装マナーについて男女別でご紹介してまいります。
□女性の服装マナー
黒のスーツか膝が隠れる丈のワンピースが基本となります。
ストッキングについては厚手のものでなく薄目の黒地のものとします。
もちろん生足は御法度となります。靴については、肌の露出が多いサンダルやミュールではなくパンプスがマナーです。
バッグについては、光沢感のある素材や金具のついたものは避け、服に合わせた目立たない黒いバッグを選びましょう。
女性の場合アクセサリーをつけることもありますが、アクセサリー選びについては涙の象徴とも言われるパール系のアクセサリーにしましょう。
パールのネックレスをおしゃれ感覚で二重にかけることもありますが、お葬式では“不幸が重なる”連想を招くためマナー違反とされているので注意してください。
□男性の服装マナー
男性の場合は黒無地のフォーマルスーツが礼装となります。シャツに関しては、白いシャツでボタンダウンでないものを選びます。
ネクタイは黒無地のものとし、バッグについては女性と同様で光沢感の少ない黒いバッグを選ぶのが基本で、金具のついていないものがいいでしょう。
注意が必要なのは、靴やベルトで、色が黒いものであればいいというのではなく、ヘビ柄などのアニマル柄は動物の殺生を連想させるので、お葬式に相応しくありませんのでご注意ください。
5.「祭」—先祖供養とお墓参り
引用元:http://www.ohba-ceremony.com/info/923.html
“冠婚葬祭”の“祭”は狭義には、お墓参りなど先祖を供養する行事全般を指し、広義ではお正月から大晦日までの各種年中行事を示す言葉です。
こちらの見出しでは、お彼岸やお盆などでする機会の多いお墓参りについてその礼儀作法やマナーをご紹介します。
5-1.お彼岸のお墓参りの準備とマナー
「暑さ寒さも彼岸まで」という慣用句は有名ですが、お彼岸についてよく分からないという方も多いと思います。
■お彼岸の言葉の意味と由来
「お彼岸」という言葉の意味は元来「彼の岸」つまり仏教用語場では「悟りや涅槃の境地」を意味します。
この言葉は、サンスクリット語の「パーラミータ(波羅蜜多)」に由来し、その漢訳語である「到彼岸」からきています。
煩悩と迷いに満ちた世界である「此岸」から悟りの世界である「彼岸」に到達するために「六波羅蜜」の修行を行います。六波羅蜜とは布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧の6つの徳の実践のことで、彼岸はこの修行をする期間に相当します。
■お彼岸の種類と時期
お彼岸には「春分の日」を中日とした“春彼岸”と「秋分の日」を中日とした“秋彼岸”の二つがあり、それぞれ中日とその前後3日間を含む7日を彼岸と呼びます。
厳密には春分の日と秋分の日にあたる中日が先祖供養の日となり、残りの6日間は上述した修行の日となりますが、厳密にその日にお墓参りしなくても問題ありません。
それでは、お彼岸の時のお墓参りは具体的にどのようにすればいいのでしょうか。
■自宅の仏壇の清掃
お彼岸では、自宅で先祖の霊を祭る仏壇の掃除をします。
仏壇だけでなく仏具など普段掃除が行き届かないところも入念に掃除し、先祖に対する感謝の意を普段以上に表します。お線香を炊いたり、お花をかえたり、おはぎなどを供養します。
■お墓参りの前にご本尊のお参りをする
例年、彼岸の期間になるとお寺では「彼岸会」開催され読経や説法が行われています。
ご先祖が眠るお墓に行く前に、必ずお寺のご本尊にお参りをするようにしましょう。
■お墓参りに持っていくもの
お墓参りに持っていくものとしては、お墓の掃除用にたわし、ぞうきん、ほうき、バケツ、ゴミ袋が一般的です。お寺で借りることができる場合もありますが、基本的には持参していく方がいいでしょう。また、お供え用に、お菓子や飲み物、それらを置く半紙なども忘れずに用意しましょう。もちろんお参り用に数珠や線香、蝋燭、マッチなども必要です。
5-2.お墓参りの流れとマナー
1.お墓の掃除
お墓の周りをほうきで掃いてゴミを拾って綺麗にします。
墓石に汚れや苔がついている場合は、水を注ぎながらたわしなどで丁寧に取り除いてあげます。線香台や水鉢、花立などの細かいところもきめ細かく綺麗にします。
2.お供えと焼香
墓石に打ち水をし、水鉢に新しい水を注いで、花立に生花を供えます。
そして生前故人の大好きだった食べ物や飲み物などをお供えして、ろうそくと線香を手向けます。
3.墓石に水をかけ合唱する
合唱礼拝の前に桶から柄杓で水をすくい、墓石の上から水をかけます。
この時、墓石の下の部分に申し訳程度に水をかける方もいますが、墓石の上から水をかけるのが通常のマナーです。
4.後片付けはしっかりと
お供えした食べ物や飲み物はそのままにして帰る方もいますが、これはマナー違反です。お供えした食べ物はその場でみんなで頂くか、持って帰るのが基本のマナーです。
また墓石にお酒やジュースなどをかけたら、においが残るのを防ぐために水をかけて清めます。火がついた線香はそのままにせず、必ず燃やしきってから辞去します。
最後にお寺から借りた用具などはきちんと返却し、軽く挨拶をして場を後にするようにしましょう。
お墓参りの基本は以上の流れとなりますが、大切なのはなによりも故人を偲び、ご先祖に対する感謝の念を持つ心です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
人生の一大イベントとなるさまざまな“冠婚葬祭”のマナーをご紹介いたしました。
中には突然訪れてくるものもありますので、いざという時に困らないよう基本的なマナーを普段から身につけておきましょう。