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【大相撲】

稀勢の里が初顔の御嶽海下す

2016年7月11日 紙面から

御嶽海を寄り切りで下し花道を引き揚げる稀勢の里=愛知県体育館で(谷沢昇司撮影)

写真

◇名古屋場所<初日>

(10日・愛知県体育館)

 綱とりに挑む大関稀勢の里(30)=田子ノ浦=は初顔合わせの御嶽海を一方的に寄り切り、白星スタートを切った。横綱白鵬(31)=宮城野=は小結高安を厳しく寄り切り、自身の持つ最多記録を更新する6度目の30連勝を記録した。鶴竜は小結琴勇輝を押し出し、日馬富士は新関脇栃ノ心を上手出し投げで退けた。他の大関陣は琴奨菊が栃煌山に押し出され、豪栄道は宝富士に突き落とされて、ともに黒星発進。かど番の照ノ富士は隠岐の海を寄り切った。

 綱とり場所でも落ち着きぶりは変わらない。稀勢の里は伸び盛りの御嶽海に左を差してすぐ右上手を引く。盤石の体勢でも慌てず、じっくり寄り切った。2004年九州場所の新入幕以来、初日の相手が初顔なのは6度目。過去5度と同様に白星で退けた。

 「まあ、集中してやれたと思います。思い切って行った。初日にしてはいいんじゃないですか」。内容に納得したかと思えば「上位に上がってくるだけのお相撲さんだと思う」と相手をたたえる余裕も漂わせた。

 2場所連続で13勝を挙げた春、夏場所と同じように気持ちは充実している。朝から土俵内で立ち合いを確認する合間に舌をペロリ、口をパクパク。支度部屋を出る時にはニヤリとしながら歩みを進める。控えの土俵下も同じ顔。土俵でも不敵な笑みを浮かべながら塩をまいた。朝稽古後に先場所までの落ち着きを「いい具合にやれていると思いますし、そういう状態に持っていけました」と振り返った。“変顔”をすれば好成績を挙げられる。それを信じて、今場所も闘っている。

 場所前の3日に30歳になった。30代で横綱に昇進したのは昭和以降で先代師匠の隆の里をはじめ、琴桜、旭富士ら7人。そのうち、昇進直前の場所で三重ノ海以外は初日に白星発進し、場所後に綱をつかんだ。昇進確率は85%。初日に白星の稀勢の里にとってはプラスのデータだ。

 とはいえ、まだ初日が終わったばかり。稀勢の里も「1日は1日だからね。しっかり集中して」と気を引き締め直す。報道陣からの取材を終えると「よっしゃー!」と声を上げ、両膝を勢いよくたたいて立ち上がった。大願成就への気合がみなぎる。3代目若乃花以来、18年ぶりの日本出身横綱誕生へ。30歳の夏物語は上々の滑り出しで幕を開けた。 (永井響太)

 

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