【コラム】雇用は完璧に金魚鉢に閉じ込められた=韓国(1)

【コラム】雇用は完璧に金魚鉢に閉じ込められた=韓国(1)

2016年07月11日10時56分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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  ニシキゴイは魔法のような魚だ。金魚鉢に入れておけばせいぜい親指程度にしか育たないという。池や水族館に入れれば20センチメートル前後に大きくなる。川に放流すれば1メートルを超える大型魚類となる。周辺環境に合わせて変身を繰り返す生命力は驚くほどだ。適者生存の世界で生き残ろうとするコイならではの秘法だ。

  活動領域が広くなればその領域を掌握できるほど価値を高めなければならない。それが企業であれ人であれ同じだ。そうするには金魚鉢を打ち破らなければならない。市場は川の水のように勢いよく流れるのに金魚鉢の中だけで安住すれば川で生き残るのは厳しくなる。これが雇用市場、すなわち雇用ではないだろうか。

  先週経済協力開発機構(OECD)からまた一発食らった。気力がなくなった韓国に気合いを入れさせた。「2016雇用見通し」だ。この数年間に労働改革を断行したスペイン、スロベニア、エストニアの3カ国の雇用事情を分析した内容が載せられた。結論は「正規職の過保護を打破すれば正規職が増える」ということだ。金魚鉢を取り払ったので堅実な魚が多くなったという話だ。エストニアは改革当時63.8%だった雇用率が昨年71.9%になった。60%台前半でぐるぐる回っている韓国には夢のような話だ。

  韓国も何年か前から労働改革の必要性を痛感してきた。毎年数十兆ウォンの追加補正予算を編成しながらも経済成長見通しは引き下げるのが常だった。雇用見通しも暗鬱なだけだった。その時ごとに必ず登場したのは労働改革をはじめとする構造改革だった。経済を生かすためのゴールデンタイムという用語も耳元を離れることがなかった。それだけ腐っていく水を抜け出し生き残らなければならないという切迫感があった。

  ところが総選挙を前後してこうした気流が薄まった。国会環境労働委員会は与党セヌリ党から冷遇された。構成員の数だけ見ても野党が10人で与党が6人だ。「政府・与党は労働改革を放棄したようだ」という話が出るのも無理はない。こうした渦中に金融圏をはじめとする一部業種は常時構造調整に入った。造船業種は強力な労組がふんばる大企業を除き大量失業事態が現実化した。同じ正規職なのに中小企業に通う正規職は大企業社員の賃金の49.8%しかもらえない。格差はますます広がっている。こうした状況でも最近では労働市場を改革しようという言葉が引っ込んでしまった。

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