金木犀の香る季節になると、SIMCITYを思い出します。SIMCITYって知ってますか? 自分で市長さんになって、街づくりをするアレです。
なんで金木犀とSIMCITYが関連するのかと言えば、そこには小学生時代の淡い誕生日の思い出があるわけでございまして。SIMCITYは、私が生まれて初めて、満額誕生日プレゼントを貰った記念すべきアイテムです。
「満額誕生日プレゼント」とは何とも訳の分からない単語ですが、要は誕生日プレゼントで必要となる費用の全てを親に出して貰えた、という意味です。
「は? プレゼントって買ってもらうものじゃないの?」
と思われるかも知れませんが、私の家では、基本的に誕生日とは「自分の貯金を使って良い日」のことで、親が何かを買ってくれる日ではありませんでした。
無論、部分的には出資してくれるのですが、あくまで部分的です。例えば、五千円のものが欲しければ、親が三千円、自分が貯金から二千円出してプレゼントを買う。丁度こんな具合です。
最近の子向けに、非常に端的に説明するなら、
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/ ⌒ ⌒ \ 誕生日おめでとう!
| (__人__) | 褒美として貯金を使う権利をやろう
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/ ヽ、 \ i |。| |/ ヽ (ニ、`ヽ.
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/ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ-'ヽ--' / 預金通帳 /|
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って感じです。
それが普通だったため、幼い頃の私は、誕生日とはそういうものだと思っていました。他のクラスメイトは全く違ったようでしたが、それに気付いたのは小学生の高学年になってからだった気がします。
で、そんなこんなの金木犀の香る十月のある日、お尻の丸っこいツードアハッチバックのカローラ1300CCに、家族五人と犬一匹がぎゅう詰めになって、隣町のホームセンターに行くわけです。積載量限界近いのか、ATなのに坂道でジリジリとバックしそうな勢いです。
到着するやいなや、頭の弱い私は何も考えずにゲーム売り場へ直行! 買うお金も権利さえもないゲームを、何時間も飽きずに見ること見ること。眼力でショーケース溶けるんじゃないかって位にね。ターゲットは無論SIMCITY。何ヶ月も前から、買いたい買いたいと願い続けたその一品。縦長のスーファミパッケージが大変ステキです。
ところが、どういうわけかその日だけは何かが違ったんです、何かが。クルクルに丸めた和室用の障子紙を肩に乗っけた父親がね、目を血走らせた私のところに近づいて来て言うんですよ。
父「そろそろ誕生日だろうから、買ったらいいんじゃないか?」
Eco「ほ?」
父「誕生日のプレゼント決まってるんだったら、今買ってきたらいいんじゃないか?」
そう言うと、財布を取り出して、店員さんに、
父「これ下さい」
何かね、マリオペイントとか指差してるんです。もうワケが分からない。
Eco「ちょーっと待った! 僕が欲しいのはSIMCITYだから! マリオペイントとかマジいらないから!」
父「そうか? マウスがついてて、面白そうだから」
Eco「いらないって! それ誕生日に来たら死ぬ! 絶対に!」
父「でもな、マウスは重要だぞ? これからはマッキントッシュが……」
Eco「知らないから! 誰もマリオペイントなんて買ってないって!」
もうね、必死ですよ。年に一度の大祭が、マリオペイント一発で終了しそうなんですから。
昔からそうなのですが、何故か私の父は微妙にズレた選択肢を提供してくれます。小学生のときに何か色々と頑張ってファミコンを買うことになったのですが、そのときにも、
父「いいか? これからはファミコン式のROMは廃れていくに違いない。時代はカード式だ。間違いない」
と、ファミコンを希望する私を尻目に、何故かPCエンジンを買ってきたことがありまして。
結果、どうにも友人とのゲーム談義についていけない私。流石に悪いと思ったのか、後にツインファミコンなるディスクシステム付きのハイブリッドなゲーム機を渡されたのですが、そのときでさえ、
父「いいか? これからはファミコン式のROMは廃れていくに違いない。時代はディスク式だ。間違いない」
主流派から大きく反れ、傍流を生きる人生観の幕開けと相成ったわけでございます。
で、そんな父親に任せていては、何ヶ月も前から耐えに耐えたガマンが水泡と帰す。経験則から導き出される最善にして最高の説得を試み、ようやくSIMCITYを購入。父だけは何か不満そうですが、そんなのは知ったこっちゃない。
もうね、笑顔が止まりませんでしたよ。多分、あのときの自分泣いてた。昔から泣き虫でしたが、感動で泣いたのはこれが最初かも知れません。
と、全然ガマンと関係がありませんが、ここまで来て時間切れになったので、続きはまた来週。
2014年10月07日
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