外国人の退避に協力…自衛隊機で数十人
政府は11日の持ち回り閣議で、急速に治安が悪化している南スーダンの在留日本人を退避させるため、自衛隊のC130輸送機を派遣することを決めた。これを受け、航空自衛隊小牧基地(愛知県小牧市)のC130輸送機3機が11日に出発、早ければ14日にアフリカ東部ジブチに到着する。政府関係者によると、現地に滞在する国際協力機構(JICA)関連の外国人ら60〜70人も日本人とともに退避させるという。自衛隊機が海外で孤立する外国人の退避に協力するのは異例だ。
南スーダンの首都ジュバでは政府軍と元反政府勢力が衝突し多数の死者が出ている。外務省は11日、ジュバの危険情報を4段階で最高の「退避勧告」に引き上げ、その他の南スーダン全土の退避勧告も継続中だ。
ジュバにはJICA関係者や国連職員、大使館員ら約70人の日本人が滞在し、全員の無事が確認されている。現地には陸上自衛隊の施設部隊約350人が国連平和維持活動(PKO)で派遣されており、退避の際の輸送に、陸自施設部隊の車両や民間チャーター機の利用も検討中だ。中谷元(げん)防衛相は「他国軍による輸送を含めてあらゆる可能性を追求する」と述べた。
菅義偉官房長官は11日の記者会見で、施設部隊の活動場所で停戦合意が守られているなどとして「PKO参加5原則が崩れたとは考えていない」と述べ、活動を継続する方針を示した。
政府は現地の陸自に安全保障関連法に基づく「駆け付け警護」の任務付与を検討しているが、治安悪化が長引けば準備に影響を与える可能性がある。ただ、政府関係者は「宿営地が攻撃され人的被害が出れば、駆け付け警護どころか部隊撤収だろう」と指摘。現地の施設部隊は当面、宿営地外での活動を中止し、事態の沈静化を待つ構えだ。【村尾哲】