首相、民進に改憲議論促す 来月3日にも内閣改造
安倍晋三首相(自民党総裁)は11日、参院選で自身が勝敗ラインとした「与党で改選過半数」を大きく上回る議席を得たことを受けて、党本部で記者会見した。10日開票の参院選では、憲法改正に前向きなおおさか維新の会などを加えた改憲勢力で参院(定数242)の3分の2(162議席)を超えており、首相は民進党の岡田克也代表を名指しして国会の憲法審査会での議論に応じるよう求めた。また、12日に石原伸晃経済再生担当相に総合的な経済対策の準備を指示すると明かし、8月3日にも実施する内閣改造・党役員人事で「強力な布陣を作る」と語った。【仙石恭】
首相は会見で岡田氏に対し「安倍政権の間は憲法改正しないと言っているが建設的な対応とは言えない」と指摘し、「どの条文をどう変えるべきか議論すべきだ」と述べた。その上で「憲法審査会で、政党にかかわらず議論が深まり収れんすることが期待される」と改めて述べた。改憲項目を具体化するための党内や与党内調整に関しては「どのように議論していくか、司々(つかさつかさ)の議員に任せていきたい」と述べ、自身の考えは明らかにしなかった。
人事に関し、菅義偉官房長官や谷垣禎一幹事長を留任させるかを問われたが、首相は「それぞれ極めて有能だが、この段階では白紙だ」と明言しなかった。人事は8月3日が軸だ。この時期を過ぎると8月末に各省で来年度予算案の概算要求があり、8月下旬からは外交日程が続くからだ。落選した岩城光英法相と島尻安伊子沖縄・北方担当相はそれまで続投させる構えだ。
首相は選挙結果に関し「アベノミクスを一層加速せよとの力強い信任をいただいた」と述べ、「歴史的勝利となった3年前の参院選より比例代表の得票を150万票以上増やし、10年ぶりに2000万票を超える得票を得た」と評価した。
石原氏に指示する経済対策は、英国の欧州連合(EU)離脱の国内経済への影響を最小限にとどめることなどが目的。今年度の第2次補正予算案に盛り込む。首相は「大胆な経済対策を実施する。規模はこれから検討する」と述べた。
2018年9月までの総裁任期延長が取りざたされることについては「与えられた任期を全力で務めていくことに力を入れていきたい」と述べるにとどめた。