[PR]

 1989年に中国・北京で民主化運動が弾圧された「天安門事件」の資料を展示してきた香港の「六四(天安門事件)記念館」が11日、閉館した。2014年4月にビルの一室でオープンしたが、場所が狭く、利用をめぐって管理会社とトラブルになっていたことから、新たな場所での再開を目指す。ただ、資金のメドはたっておらず、再開の時期や場所は未定だ。

 記念館は「事件の真相を後世に伝える」として、当時の政治状況や民主化運動の流れを紹介。犠牲になった学生らの遺品も展示し、中国本土からも参観者が訪れていた。ただ、管理会社側は「商業ビルの目的に合わない」として参観者の人数を制限したり、名前の確認を求めたりしたため、トラブルになっていた。

 香港紙によると、移転にはあと約240万香港ドル(約3千万円)が必要。運営する民主派団体「香港市民支援愛国民主運動連合会」の何俊仁主席は「事件について世界で唯一の歴史博物館。何とか1年以内に再開したい」と話した。

 最後の日と知って訪れたという広東省の大学生(19)は「本土内の情報では分からない空白を埋められる場所。早く多くの人が見られるようにしてほしい」と話した。(広州=延与光貞)