米国を代表する株価指数であるS&P500指数が7月11日の寄付き直後にこれまでのザラバ高値である2134を超え、過去最高値を更新しました。

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相場には、過去最高値更新を見届けてから新しく買ってくる資金というものが存在します。


僕が今から30年ほど前に、ある日本の証券会社で駆け出しのセールスマンをやっていたとき、先輩のO君から「おまえ、新値売って、どないすんねん? 新値は、売ったらアカン! 黙って、相場についてお行き!」というお叱りを受けました。

思い出してみれば、あのときのアドバイスほど親身で、その後の僕のキャリアに役に立ったアドバイスはありませんでした。

相場の定石からすれば、ここはいままで弱気を堅持してきた「曲がり屋」が、キャピチュレーション(白旗降参)して慌ててロングに転じる局面であり、「ワッ!」と買い物が集まる瞬間です。

それが一段落すれば(いや、そうじゃない、ここは「売りだ」)という懐疑派が台頭し、相場は下押す局面があるでしょう。

その場合、これまでの上値抵抗線(2134)が、今度は下値支持線に変わるのです。だから目先の相場のポイントは、S&P500指数がこの2134を死守できるか? という点になります。

もしこの「下値テスト」で成功裡に2134を守れれば、相場はもう一段、上を狙いフラフラ上昇していくことになります。もし2134を割り込めば、「ブレイクアウトは、ダマシだった」ということになるわけです。

いまここに書いてあることは、テクニカル分析の教科書通りの手法で、それ自体になんの異論もありません。でも僕的には、絶好の買い場はブリグジットで大混乱した6月27日の相場だったわけで、その時、「Table pounding BUY」を主張しました

ひるがえって、今の局面は「あーあ、もっと買っとけばよかった」式の欲の皮がツッパった強気観が台頭しやすい局面です。言い換えれば、そこには「葛藤がない」のです。心の恐怖、心の葛藤なく飛び乗る相場では、「イテテ!」という大間違いをしやすいです。

だから今の相場は、すでに仕込み済みのポジションをなるべく粘って「引っ張れるだけ、引っ張る」相場であって、「いままで取り逃がした相場を挽回するため、慌ててポジションをMAXにする」局面ではないということ。

緻密な相場を、張ってください。