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 10日に上海で閉幕した主要20カ国・地域(G20)貿易担当相会議の共同声明は、中国を念頭に鉄鋼などの過剰生産問題の深刻さを指摘した。議長国の中国は議題とすることに反対していたが、「世界経済が低迷する一因」として深刻に受け止める各国の論調に押し切られた。

 記者会見で中国の王受文商務次官は「過剰生産能力の問題は、今回の重要な議題ではない」と強調。会場で配られた中国語の「共同声明案」にも言及はなかった。だが、声明には「鉄鋼などの過剰生産問題は世界的課題であり、一致した行動が必要」と盛り込まれた。直前の差し替えは、最後まで激しい議論となったことを物語る。

 中国側は今回、英国が欧州連合(EU)離脱を決めて世界的に自由貿易や国際化が後退する懸念が高まる中、「貿易保護主義への反対」で議論を主導した。中国の安い鉄鋼輸出をダンピング(不当廉売)とみなし、米国などの制裁措置が相次ぐことを牽制(けんせい)するねらいもあった。

 ただ、日米欧など各国の論調は厳しく、中国を念頭に「政府の補助金で安く生産し、世界市場をゆがめている」との声が相次いだ。中国の輸出攻勢に苦しむ欧州側出席者からは「過剰生産問題への言及がなければ国民に説明がつかない」との発言も出た。

 貿易担当相会議は昨秋、初のG…

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