【社説】THAADは韓中関係の全てではない

 韓国と中国の間には、THAADのほかにも解決すべきさまざまな課題が横たわっている。国と国との関係が一つの問題に影響され、全てがぎくしゃくするようなことがあってはならない。時に問題が表面化するようなことがあったとしても、韓国と中国は互いの関係を一層深めていく方向で努力していかねばならない。また中国は24年前、韓国との修好が実現した当時のことも思い返すべきだろう。韓国は当時「一つの中国」を主張する中国側の意向に沿って台湾との断交を決断した。ところが中国は今なお北朝鮮を後押しし「二つのコリア」を政策面で維持しているではないか。

 韓国政府は今回のTHAAD配備について、あくまで「軍事面での主権拡大のきっかけ」としなければならない。THAADの運用についても米軍だけに任せるのではなく、そのプロセスに韓国軍も関与し、得られた情報はリアルタイムで共有できるようにしなければならない。そうすればTHAADがあくまで北朝鮮のミサイルを念頭に置いたものであることを信じさせることができるだろう。

 野党・国民の党の安哲秀(アン・チョルス)代表は10日、THAADの配備について「国民投票も真剣に検討すべき」と発言した。THAAD配備に反対する声があるのは事実だが、国の安全保障に関わる問題が表面化するたびに国民投票を行う国などない。またこのような発言によって国民感情を刺激したところで誰の得にもならない。今こそ政治家は自分たちの言動が本当に国益にかなったものかどうか、真剣に振り返るべきだろう。

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