保守主義とは何か - 反フランス革命から現代日本まで (中公新書)
参院選は予想どおり与党の圧勝に終わり、もう日本には保守党しかないようにみえるが、彼らの保守主義とは何だろうか。安倍首相にとっては、靖国神社以来の「国体」なのかもしれないが、そんなものは歴史的にはフィクションにすぎない。自民党の保守主義は、「押しつけ憲法」の否定という形で、ネガティブにしか定義できないのだ。

本書もその点を指摘し、自民党はアメリカに依存しながらアメリカのつくった憲法を換骨奪胎し、高度成長の果実で利益誘導する状況への適応を続けてきただけだという。そこには戦前の政党政治にあった保守主義の理念すらない。

バーク以来のイギリス保守主義は、啓蒙的な「天賦人権」や「国民主権」の思想を批判し、具体的な慣習や伝統から生まれる「法の支配」を重視する思想だった。これはアメリカではハイエクやフリードマンなどの「小さな政府」をめざす経済的自由主義になり、「保守革命」を生んだ。

しかし日本には、どの系譜の保守主義も根づかなかった。安倍首相に代表される日本の保守派は、明治以降の天皇制国家を日本の伝統と錯覚し、政策的には「大きな政府」を指向する国家社会主義に近い支離滅裂なものだ。

続きは7月18日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。