香港の天安門事件記念館が閉館 中国の圧力か

27年前、中国の北京で民主化運動が武力で鎮圧され大勢の死傷者を出した天安門事件を巡り、事件の資料を集めた香港の記念館がきょう閉館し、現地では背景に中国の圧力があったとの見方も出ています。
この記念館は、1989年6月、北京で民主化を求める学生たちの運動が武力で鎮圧され大勢の死傷者が出た天安門事件を多くの人に知ってもらおうと、中国の民主化を支援する香港の市民団体が市民からの寄付を募っておととし開館したものです。
しかし、開館直後、記念館が入る建物の管理組合が、「記念館として利用することは規約に違反している」と閉館を求めて提訴し、市民団体はこのほど、訴訟を続けながら運営することは難しいとして、11日閉館しました。
記念館の閉館を巡り、香港のメディアは、管理組合の代表の家族の中に中国共産党と関わりの深い人物がいると伝えていて、香港では、背景に中国の圧力があったとの見方も出ています。
記念館の最終日となった11日は、中国本土の観光客を含む多くの人たちが訪れ、当時の写真や映像、それに銃弾を受けて死亡した学生がかぶっていたヘルメットなどの前で足を止めていました。
小学生の子どもを連れた40代の女性は「閉館は政治的な原因によるものだと思います」と話していました。
市民団体は、今後、改めて市民の寄付を募り別の場所に記念館を移転させたいとしていますが、見通しは立っていません。