2016年07月11日

『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』スピルバーグの迷走

冷戦時代の科学の行方




評価:★★★    3.0点

インディ・ジョーンズが戻ってきました。
アクションもイッパイだし、過去の作品に対するオマージュに満ちているし、ハリソン・フォードだって元気イッパイがんばってます。
考えてみれば『最後の聖戦』から、もう19年経つ。製作ジョージ・ルーカス、監督スティーヴン・スピルバーグ、主演ハリソン・フォードのトリオに、『レイダース』のヒロイン、カレン・アレンも出てくるのもオールド・ファンには嬉しいところ。


物語は、1957年ネバダ州の核実験場から始まります。
ソ連の女諜報部員スパルコ(ケイト・ブランシェット)に捕まって、米軍基地の秘宝倉庫でインディ・ジョーンズ(ハリソン・フォード)は、宇宙の神秘の力を持った南米の秘宝クリスタル・スカルを強奪する手助けをさせられるが、原爆実験のさなかインディは逃走することに成功します。
しかし大学に戻ったインディは、当時のレッド・パージ(反共産主義法)によって大学教授の職を解かれてしまい、イギリスの大学に向かおうとする途中で、一人の若者マット(シャイア・ラブーフ)と出会い、彼の母とインディの友人であるオクスリー教授(ジョン・ハート)を救う義務があると詰め寄られます。
そしてインディはマットとともに南米に向かいマットの母とオクスリー教授と合流し、ソ連スパイ・スパルコと攻防戦を繰り広げながらクリスタル・スカルと伝説の黄金都市を巡る冒険を繰り広げるという物語です。


え〜っと、たぶん、この一本だけ見れば、★4つは確実だと思うんです。


でも、しかし、このインディはシリーズ作品で、それまでの過去作品以上の出来で無ければ評価されないという宿命を持ってると思うわけです。
そして較べて見たとき、正直言って個人的には、残念ながら過去のどのインディーよりも面白くなかった。
スピルバーグ作品ですから、お金だってたっぷり懸けてるはずだし、キャスティングだって、脚本だって穴はないはずです。
本当に映画は難しい・・・・・・・何が悪いんだろうという事で、以下追及させていただきます。

個人的に思うに、たぶんこの作品が面白くないのは、それまでのインディが基本的にはテーマを持たない「娯楽作品」として作られていたのに対して、今作は「娯楽」シーン以外が映画に占める割合が多いせいだと感じました。

例えば、インディの家族の問題や、ラストの長いクライマックスや、ソヴィト連邦という敵の存在や、そして冒頭のネバダの核実験の描写などが、全てばらばらで「まとまり」が無いと感じます。
それゆえ、一直線のストーリーとならずに、観客の興味が散漫になってしまったのではないでしょうか。
たとえば、それは「 インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」の割り切りの良さに較べれば、雲泥の差です。

何度か見直して、全体としての意味づけを試みましたが、今ひとつスッキリと構築出来ませんでした。

たとえば、「核」と「冷戦」と「人類の開放」とか、「核=放射能」と「冷戦=イデオロギー」と「生物学的家系の意義」とか、「核=科学」と「冷戦=理想」と「暴走する生命体としての人間」とか・・・・・・・家族の幸福と世界平和と科学技術とか・・・・・・・

いろいろと想像するに、スピルバーグ監督も「最後の聖戦」で父と子を描き、家族の歴史を描くと同時に、このインディーシリーズで20世紀という歴史的な姿を表現したいと考えているのだろうな〜と考えたりしました。
たぶん、インディーシリーズはスピルバーグ監督の人生を反映したものだと思えば、この1950年代とは監督10歳の頃で、科学による明るい未来を信じていた少年だったでしょう。同時に科学が東西冷戦の戦いの道具として、人類を破滅させかねないという状況も感じていたはずです。
その少年の日に感じた、科学の矛盾を、インディーという人間味にあふれた存在によって、世界の未来が変革しえるという希望を――――――――


な〜んか、バカバカしくなってきました。


そもそもインディーは何も考えずに楽しめる娯楽作品の王道だったはずです。
見終わって、あ〜面白かったと思わず声が出るぐらい出なければ、成功とは言いがたいと思うのです。
思うに、魔宮の秘宝までは、なにも考えずに楽しめる映画だったのが、シリーズも進みスピルバーグもイロイロ映画を撮るなかで、どこか人生を語りたくなったのではないでしょうか。

言ってみれば、今までのインディは、無邪気に大騒ぎする子供が遊ぶ姿を喜んで見ていた観客に対し、今回は「俺もう子供じゃねえし」とソッポ向かれたようなものかと・・・・・

そう思えば、この映画は子供が成長し、反抗期を迎えたようなものかも知れません。
そんなこんなで、この評価です。


しかし!!!!
『インディ・ジョーンズ』5作目が2019年公開決定!ハリソン・フォードも続投へ

この作品のフラストレーションは、今だ未完の途中経過だからかもしれない!
立派な大人になってくれるはずの、次のインディーを震えながら待て!


スピルバーグ監督作品レビュー:『激突!』/『ET』/『戦火の馬』/『インディー・ジョーンズ魔宮の秘宝』


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posted by ヒラヒ・S at 19:14| Comment(2) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
マジっすかΣ(゚Д゚)
『インディ・ジョーンズ』5作目出ちゃうんすか!
しかもハリソン・フォード続投!
もうおじいちゃんですよ!?アクションは期待できないのでは?
どうなるか楽しみです。
Posted by いごっそ612 at 2016年07月11日 20:42
>いごっそ612さん

マジっす(xx)
ハリソン・フォードは寝たっきりで、そのままアクションに参加するんじゃないでしょうか(^^;
名作をキレイにまとめてくれる事だけを祈ります。
Posted by ヒラヒ・S at 2016年07月11日 21:01
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