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【放送芸能】

きょう参院選 ザ・ニュースペーパー 開票結果=新作コント

 混迷する時代を背景に、政治や社会にビシッと切り込む風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」が大人気だ。毎年夏と年末の定期公演はほぼ満席。十二日に開幕する今年の公演も前売り券は完売し、稽古も大詰めだ。ただ十日投開票の参院選の結果次第ではネタやオチを大幅に書き換えなければならず、団員や演出家は選挙の行方にピリピリ。リーダー渡部又兵衛さん(66)は「そうなんです。参院選で一票を投じれば、われわれのネタ作りに間接参加できます」と笑う。(立尾良二)

 今公演のネタの一つが、英国の欧州連合(EU)離脱問題。コントでは舞台を米国型ショッピングモールの進出に対抗する商店街に置き換え、身近な問題として生々しく分かりやすくEU問題を切る。団員九人の息はぴったりで、流れるような動きの中でそれぞれの役になりきって個性が弾ける。笑いのツボを心得た展開は安定感もあるが、途中「まさかこう来るなんて」と意外性でも笑わせる。

 参院選や都知事選、米大統領選、オリンピックなど内外のニュースを題材に十本以上の新ネタを用意。ネタ作りは団員と演出家らがアイデアを持ち寄り、台本を書いて、意見をぶつけ合いながら仕上げるという。ニュースの展開次第では、開演直前に台本を大幅に書き直すこともしばしばあるとか。

 七月定期公演は十二〜十八日、東京都中央区銀座八の銀座博品館劇場で。若干の当日券がある。ほかに三十日に町田市民ホール(東京都町田市)で、八月二十七日には相模女子大学グリーンホール(相模原市)で公演がある。開演時間や当日券の問い合わせは、TNPカンパニー=(電)03・5318・3449=へ。

 創設以来、グループを率いてきた渡部さんに聞く。

 −人気の秘密はどこにあるのでしょうか。

 社会が劇場化して、思ってもいなかったことが次々に起きている。面白いネタがありすぎる時代だ。本来はネタをどう料理するかが勝負どころだが、今は素材そのものが面白すぎる。例えば、号泣する兵庫県議なんか、それをやるだけでおかしい。ニュースの谷間がないくらい事件が続いているからではないか。

 −政治家ネタが大きな特徴ですね。

 一九八八年、竹下政権からずっと政治家ネタをやっているが、その時の首相が主人公になる。お客の入りで首相の人気度も分かる。森(喜朗)さんの時が最も客が少なかった。今は自民党と野党の差がつきすぎて一党独裁のようだ。

 −政治風刺で心掛けていることはありますか。

 与党にも野党にもくみしない。どちらにも偏らない。庶民の目線、揺れ動く庶民の気持ちを大事にしている。だから与野党のどちらからも研修会などに招かれて公演するし、安倍(首相)さんや岡田(民進党代表)さんらが定期公演に来てくれる。志位(共産党委員長)さんの前で「何でも反対」と皮肉ったら、本人から「何でも反対ではありませんよ」と感想をいただいた。政治家から「俺のまねをもっとして」と頼まれる。われわれは批判するだけではない。愛がないと批判はできない。

 −参院選、都知事選と選挙が続きます。

 十八歳選挙権も、舛添(前都知事)さんのみみっちい政治資金問題もネタにする。投票率が上がらないのは、本当のことを新聞が書かないからでは。団員たちはネタの仕込みに興味を持って新聞、テレビ、ラジオ、ネット等あらゆるメディアを利用するが、最終的に読むのは新聞。そこに自分の意見を入れてネタにする。だから、新聞は事実だけを淡々と書いてほしい。

 <ザ・ニュースペーパー> 1988年、昭和天皇の闘病による歌舞音曲の自粛ムードで仕事のなくなった三つのグループが集結し創設。政治から芸能、スポーツニュースまで幅広く風刺する。特に歴代総理の形態模写に定評。団員の出入りがあり現在は9人。東京での定期公演のほか、地方にも年間150回ほど巡回する。文化放送「吉田照美 飛べ!サルバドール」のコーナーの金曜レギュラー。

 

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