THAAD:抗日式典から10カ月、重大局面を迎えた韓中関係

 韓国政府は、中国側が外交部報道官の声明発表→駐中韓国大使の呼び出し→当局間対話・行事の延期、取り消しなどの形で不満を示すと予想し、シナリオ別に対応策を用意している。安全保障部局の関係者は「韓米連合司令官や韓国軍高官が近いうちに中国を訪問し、中国側にTHAAD関連の説明を行うだろう」と語った。

 韓国側の説明にもかかわらず、米国と激しい勢力争いを繰り広げている中国が、THAAD配備に関して「韓国が一方的に米国の肩を持っている」と解釈する場合、韓中関係はさらに悪化しかねない。国策研究機関の関係者は「中国は、THAADの配備で韓米同盟が一層強力な軍事同盟に生まれ変わると判断するだろう。アジア・太平洋地域の軍事バランスがさらに米国の方へ傾くことを懸念している」と語った。北京のある外交専門家は「中国は、戦略ミサイル戦力をさらに増やそうとするだろう。米中間で新たな軍備競争が避けられなくなった」と語った。

 これとは別の台風が、南シナ海から吹いてきている。フィリピンが中国を相手取って提訴した南シナ海紛争に関する判決が、今月12日に出るからだ。外交関係者らは、「南シナ海の領有権をめぐる中国の主張には問題がある」という判決が出る可能性が高いと見ている。特に、今月末に開かれるASEAN(東南アジア諸国連合)地域フォーラム(ARF)では、米中が南シナ海領有権やTHAAD配備などを一つのテーブルに載せることをめぐり激しい外交戦が繰り広げられる見込みだ。外交消息筋は「韓国は昨年のARFで、南シナ海問題をめぐり米国を支援する発言を行った。今回は韓半島へのTHAAD配備まで決まっただけに、米中対決に韓国が巻き込まれる可能性が高まった」と語った。しかし韓国政府には、中国が韓国を捨てて北朝鮮だけを抱き込む状況が来るとは考え難い、とみなす雰囲気が漂っている。韓国政府の中心的関係者は「中国としては、韓中関係が重要なのか、THAADが重要なのかをよく判断すべき。韓国としては、THAAD配備は北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対処するための最小限の自衛策であって、(中国が)何度もいちゃもんを付ける場合、それだけ韓国を米国側へ押しやることになるだろう」と語った。

李竜洙(イ・ヨンス)記者
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • THAAD:抗日式典から10カ月、重大局面を迎えた韓中関係

right

関連ニュース