多くの現代人にとっては、特別難しいタスクじゃありません。
アメリカのメイヨー・クリニックによる研究が新たに明らかにしたのは、スマホでメッセージを打つときにこれまでになかった脳波リズムのパターンが見られるということ。
生活のなかでメッセージを打つ機会こそ増え続けるものの、スマホを利用することによる神経学的な影響について明らかになっていることといえばごくわずかでした。今回、Epilepsy and Behavior journalに掲載された新たな研究では、テキストコミュニケーションが脳内で「texting rhythm」(メール・リズム)とよばれるユニークな波形を引き出すことがわかりました。
この発見は、人類の脳の適応能力がいかに優れているか、新たなテクノロジーに対して認知プロセスがどう変化するかを示しています。
スマホでメッセージを打つ行為がそんなに特別なものだと感じないという人も、スマホを目を細めて見つめる親の世代を思い浮かべると納得するのでは?
デバイスを手に持って、器用に指を動かして文字を打ち、目は小さなスクリーンに集中しながら、メッセージを簡潔にするため絵文字などの非言語メッセージまで使って…という行為すべてを同時に行なうのは、脳内の多様な部分を連携させて働かさなければいけません。これが、新たな脳波リズムを生み出しているのだそうです。
研究の筆頭著者であるWilliam Tatumさんは、今回新たに発見された「texting rhythm」について「この新しいリズムは、電子端末を使う際の非言語情報の処理を最短で行なおうとする脳の能力によるもので、注意力や情動によって活性化するネットワークと深く関係しているのでしょう」といいます。
メイヨー・クリニックの研究チームは、130人の被験者の脳波(EEG)データを分析して、ビデオ映像と合わせて16カ月以上にわたって脳波をモニターしたそうです。
その結果、スマホでメッセージを打つときに新しい「texting rhythm」とよばれる脳波リズムが見られたのは少なくとも5人に1人。ほか4人に同じ反応が見られなかったことについては更なる調査が必要そうですが、こうした神経学的効果はiPadでも同様に見られた一方で、スマートフォンを昔ながらのオーディオ機器や携帯電話として使った場合には出なかったそうです。
年齢、性別、その他の人口統計学的情報をスクリーニングしたあとでも結果は同じ。また調査では、慢性の脳疾患であるてんかんを持つ被験者も多く参加しましたが、神経学的な症状とtexting rhythmの脳波リズムに関連は見つかりませんでした。
今回の発見は、非言語コミュニケーションの認知作用の研究だけでなく、テキストメッセージのインターフェイス、ゲーム、ブレイン・コンピュータ・インターフェイス(BCI)に影響を与えるだろうと見られています。また、メッセージを打つには認識力にかなりの負荷がかかるため、運転時に行なうのはこのうえなく危険であることも示されています。
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source: Epilepsy and Behavior
George Dvorsky - Gizmodo US [原文]
(Rina Fukazu)