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方言の変化「地図」に 諏訪から下伊那、専門家調査

「長野県伊那諏訪地方言語地図」を手にする大西教授「長野県伊那諏訪地方言語地図」を手にする大西教授
 国立国語研究所(東京)の大西拓一郎教授(53)=茅野市玉川=が、諏訪地方から下伊那郡北部にかけての方言を調べ、約40年前の調査と比較したところ、使われる地域が拡大した方言があることなどが分かった。大西教授は「通勤、通学による人の行き来がより活発化し、方言も広まった」と推測。8日までに、調査結果を「長野県伊那諏訪地方言語地図」にまとめた。

 信州大人文学部(松本市)の沢木幹栄(もとえい)元教授が協力し、2010年から5年ほどかけて調査。信大名誉教授だった馬瀬良雄さん(14年死去)らが1980年に刊行した「上伊那の方言」に掲載された調査結果と比較した。

 大西教授らは、「正座する」「くすぐる」「まぶしい」といった言葉を意味する175の方言を、諏訪、上伊那、下伊那の計200地点でお年寄りに質問した。

 その結果、馬瀬さんらの調査当時は主に伊那市より南で使われ、上伊那郡辰野町では2人しか確認されなかった「(人が)おる」という言い回しを、同町内では今回5人が使っていた。一方、「まだ来ない」などと使う「まだ」の方言「まんだ」はかつて上伊那郡内で広く使われていたが、今回は同郡中川村や下伊那郡大鹿村の周辺でしか確認できなかったという。

 「長野県伊那諏訪地方言語地図」は非売品で、調査した市町村の図書館に寄贈した。

(7月9日)

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