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異能力者 作者:神子

本編

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儀式の準備

そして舞踏会が夕刻に始まった。

兄さんが私を迎えに来て、中央広間の中へ入った。
お母様達に内緒で仮面舞踏会には、参加したことがあったがこんなにきらびあかなのは初めてで緊張しっぱなしだった。兄さんの顔を見ると落ち着くのがまた不思議な気分。

兄さんと私は貴族の方々に挨拶をしたり、差し出された飲み物を飲んだりしていたら膳王子が来た。

「亮様・神子様、今宵はようこそお出でくださいました。心行くまでお楽しみください。」

「こちらこそ、お招き頂きありがとうございます。
このような、きらびあかの舞踏会は初めてなので
とても新鮮な心地です。」

やっぱり初回は王族としてお話になられましたか。
そろそろ言葉使いが、素に戻す頃かな……。

「このような素晴らしい、舞踏会にお呼びいただきありがとうございます。」

珍しい!!兄さんが社交性に優れた言葉ではなく、多少嫌みが入ってるような……。気のせい?

音楽がなり始めた。

はぁ…約束だから仕事をするか…。

膳王子が右手を差し出し軽く前屈みになって
「神子さん、私と1曲踊っていただけませんか?」
うわ~完璧な王子様スマイルだ!!
少し見とれてしまって、返事が遅れた。
その間も、周囲の貴族令嬢の目線が痛い。

「ええ。私でよければ喜んで。」

私も膳王子の王子様スマイルに負けないように、姫君としての最上級の笑みを浮かべた。

周囲の貴族の方々から黄色い悲鳴が聞こえたり、お似合いの2人だと言う人々の声が届いた。
勿論、聞いて聞いてないふりをした。
踊っている最中に膳が素で話しかけてきた。

「神子あてに男性陣からの熱い視線だ。『お似合いの2人』だとも言われていたし、俺と付き合ってみないか?俺なら、地位や名誉・魔力量 全てにおいて他の貴族達よりも優れている。しかもお前を幸せにできるのも俺だけだ。」

「膳も貴族令嬢からの熱い視線を向けられているけどね。
確かに、地位や名誉・魔力量 において確かに優れているわ。だけど私は、地位や名誉・魔力量 なんてどうてもいい。
私は、私の国の…いえ世界中の国民達が平和で幸せで過ごせるようにしたいの。私の望みはそれだけ…
この世界は、女性はたくさんの婚約者を持つことが許されている。」

ニコッと笑った。
「まさか…全世界の王子を夫として迎え入れる気か!?」

流石にわかるか…。

「ええ。そのつもりよ。膳。貴方がそれでいいなら
私の婚約者候補としてプロポーズを受け入れます。
好みの性格していますしね。
どちらか言うと、好きですよ膳王子!。」

膳の顔が真っ赤になった。
よっぽど、動揺したのかステップを間違えて体勢が崩れそうになったのでしょうがなくカバーをしてリードを私がすることにした。
周りから観たら何処から見ても、女性にリードされていることがばれないようにしながら。

「も~う。こんなことで動揺を出してステップを間違えるなんて!私じゃ無かったら転けてたわよ!
それで、返事はどうする?
でもさっき言ったことは本当よ。私は、膳を気に入った。四神獣を観ても驚くだけだったし、玄武に座れたのだから膳も神に認められた人だから。膳のプロポーズは、受け入れる。出来たら…明後日の昼過ぎには帰るから、それまでに答えを出してね。」

「あっ―――。」
膳が何かを言おうとしたが、音楽が終わったので
膳から離れて
「とても楽しかったですわ♪それでは失礼します」
極上のスマイルを向けて兄さんのもとに戻った。

「神子、楽しそうだったけど何を話していたの?」

私は苦笑いを漏らした。

「兄さん。私と1曲踊ってくれたら、膳王子と話していたことを話してあげるよ。」

兄さんは仮面舞踏会でも壁の花を決め込んでいたので、誰かに視られながら踊ってみたくなった。

「別に何を話していたかは気にしないけど…
珍しいね。神子が自分から誘うなんて。」
「こう言う場所で兄さんとは踊ったことないから、
甘えてみたの。ダメだった…?」
私は上目遣いでうるうる声を少しだしながら言うと
「ダメじゃないよ。膳王子と楽しく踊っていたのが少しいらっとしただけだから。」
それって…嫉妬!?

私はこの考えを振り落とすように頭をふった。
ただ妹の私を心配しているだけだわ。うん、そうに決まってる。でも侍女達は、わたしと兄さんは血が繋がってないって…考え過ぎね。今日は、楽しまなくっちゃね。

兄さんが膝をついて右手を差し出した。
しかも、上目遣い!!
キュンっとした。
「レディ、私と1曲踊っていただけませんか?」

皆さんがこっちを向いて静かに見守ってる
私は、嬉しくて頷きながら答えた。

「はい。勿論です。私でよければ喜んで♪」
左手をそっと兄さんの手のひらに乗せると
ゆっくり立ち上がり、私の背中にてを回しダンスホールの中央に来た。
隣は膳王子のパートナーの右大臣の娘がこっちを視ていた。
その視線をスルーしてダンスの構えをとった。
しばらくすると、揺ったりとした曲が流れてきた。
周りを見渡すと私達と、膳と2グループしか踊って
いない。
皆さんは、感嘆の息を漏らしながらうっとりした目で私達を視ていた。

不意に兄さんが、私の耳に息を吹き掛けた。
「あっ…。」
少し色っぽい声が漏れた。
「神子が、私を見ないからお仕置き。」
「兄さんの意地悪。ただ私達しか踊ってないから
せっかくの舞踏会なのにと思っていただけなのに…
それに、変な声が出たじゃない!!聞かれていたらどうするつもり?」

拗ねたように言ってみた。
兄さんはニコッと笑って
「誰にも聞こえないようにしてある。」
って言った。
でも、兄さんは魔法が使えないのでは?
私の心を読んだみたいに答えてくれた。

「多少の結界なら2時間以上発動しっぱなしにできるよ。特訓していたから…神子、驚いた?」
「うん!兄さんやっぱり凄いね♪何でも知ってるし何でも出きるんだね。」
苦笑いをして
「何でも知ってる訳でも出来る訳でもない。俺は、神子を守りたい一心で身につけた。」
兄さんもこんな話し方もするんだ!?
「ありがとう♪」
「今夜話があるから部屋に来てくれる?」
話?何だろう?
「うん、分かった。でも話って――」
「夜に話すよ。それまで内緒ね。」
頷いた。
あ~あ 兄さんの笑顔には弱いな。

兄さんと躍り終わると膳王子に先に部屋に戻ります
と告げて舞踏会を脱け出した。

そのままの服装で、兄さんに連れていかれるように歩いた。
そして兄さんの部屋につくと
「神子、疲れただろうからソファーに座ってて
今ハーブティーを入れて持っていくから。」
「うん、分かった♪」
兄さんがハーブティーを持ってきてくれたので、一口飲んでソーサーに戻した。

「ところで、話って何?」
兄さんは、真顔になった。
「絶対に怒らないで最後まで聞いてくれるか?」
真面目な話らしいので背筋を伸ばした。
「はい。最後まで怒らずに聞きます。」
兄さんは少し微笑んで、真顔に戻った。

「神子。単刀直入に言うと、俺と神子は本当の兄妹ではない。
俺は、母上の元夫の間に産まれた子供で今の父上とは血が繋がってない。
そして神子の父上はそれを知っていても、実の子の様に育ててくれた。それに俺にも、王位継承者としてマナーから全てを教わった。
その恩を返すため猛勉強もした。
そして神子が産まれた。
初めは俺と同じ魔法反応がない子供だからきっと苛められたりして、苦労するだろうって思ったが一瞬綺麗な魔法反応の光が見えた。
だけど神子は魔法が使えなかった。だからお前を可愛がった。
月日が経つに連れて、神子が可愛くて愛おしくなり
この思いを隠していた。
父上も母上も『神子に話したくなったら素直に話なさい。神子なら受け入れてくれるはずよ。』って言ってくれた。
神子、全ての事を受け入れ俺と付き合ってくれるか?今は、夫候補者でもいい神子を愛させてくれ」

驚いたが、直ぐに納得した。

「はい。亮王子を私の夫候補者に致します。
そして契約の儀式を今宵致します。
体を水で清め我が部屋へ参られよ。」

亮様が驚きながら
「神子、まさか…四神獣を操る者に成ったのか?
『体を清め我が部屋へ参られよ』ってことは、
神子が使っている客室は神域に成っているのか?」

「ごめんなさい。四神獣は、産まれたときから使えるの。
そして、昨日の夜に四神獣を呼び出したから
私が使っている客室は神域に成っているの。」

「あのときの光はそう言う事だったのか!?
体を水で清める以外に他にすることは?」

「白っぽい服装で来て。
そして注意点
けして、四神獣のこと儀式の事を誰にも話さない

私の部屋に入ったら、私の命令に従うこと

途中で止めないこと。 嘘をつかないこと。

この4つだけ必ず守ってくれるだけで良いよ。
じゃあ、私は準備があるから清め終わったそこのベッドの下に魔法が書いてあるから手を陣に当てて
『神子の客室』もしくは『神域』そのどっちかを言ってたら直通で来れるよ。」

「分かった。では、またあとで…。」
移動魔法をかけて自分が使っている客室にとんだ。

さてと。兄さんが来るまでに私も体を清めておこう
清め終わっし
白バラ・赤バラ・青バラ・ローズ
の香りがするロウソクを鞄から取りだし四方に置かないとね。
うん!こんなものね♪
そして12時に兄さんが来た。

「兄さん、心の準備は出来た?
本当は、満月の夜か新月の夜にやるものなんだ。
まぁ。四神獣を呼び出すから関係無いけどね♪」
「神子、始めてくれ。」
「うん。分かった。」

《我は、世界を統べるもの四方を守神の獣たちよ
今ここに我が伴侶の候補者とし彼を守り向かい入れたまえ―――――――――――――。》
一瞬眩しい光が現れ光が消えた。
そこにいたのは、四神獣
玄武・白狐・朱雀・青龍
玄武は ローズのロウソクへ 行き
白狐は 白バラのロウソクへ 行き
青龍は 青バラのロウソクへ 行き
朱雀は 赤バラのロウソクへ 行き
儀式開始
「異能力」や「お嬢様は天才魔法士!?」 「現世と過去」も配信していますので、是非読んでみてください。
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