■前回の記事で「不安定を描いてる」とか言ったけれども、安定を手に入れる為には不安定を積み重ねていくことであるというのが、凡人である自分の考え方であるからストーリーに共感はできる。なんだかんだ言って、俯瞰的に見ればメガファウナのクルーの行動は正しいことに繋がっていると思う。ただ、それは見てる側が、劇中の情報を理屈でもってして整理しているからで、視覚情報として入ってくる印象ではやっぱり行き当たりばったりで考えナシみたいに見えるのは事実。主人公のベルリも「どっちを向けば明日があるんだ!?」なんてナレーションしてる始末で、それはこっちが聞きてーよ!というツッコミ待ちでもあるのだろうし、受動的に視聴するんでなく、色々考えて欲しいということだとは思うんだけど、もうそうなってくると娯楽としてはどうなんだ?という感情になってしまうし、なんだか卵が先か鶏が先か、みたいな禅問答してるような気分に陥ってくる。
■過去の富野作品では、色々な所に飛び回って世界(舞台)全体の情報が自然に掴めるように配分していたけれど、今作に関しては、舞台は南アメリカの一部を上下に行ったり来たりしてるだけで1クール使ってしまったし、世界情勢や軍隊の規模などは登場人物の口から出てくる単語で勝手に想像するしかない。劇中では「想像力がない」だとか「あいつは解ってない(俺は解ってるけど)」というニュアンスの台詞がよく出てくるけれど、発言した本人すら、ちゃんと物が見えているか怪しいのだから、やっぱりそういう滑稽さを描写してるんだろうな、と思う。仮に、背景を用意する制作費がないので海と空と宇宙で済む場所をうろついているという制作上の事情があるのだとしたら、かなり前のめりな誤魔化し方をしてると思えるし。
■というわけで、あけましておめでとうごさいます。今年はGレコに習って、とにかく考える前に動いてみせるということを目標にしてみようかな、なんて思ってます。どんどんみっともないものを積み上げていけると理想。