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東方月影録 作者:隻眼の白狼
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第七話 開幕

投稿です。

暑い日が続いていますね、私の部屋には扇風機もクーラーもないのでかなり辛いです。

それではどうぞ。
真っ白だ、どこまでも透き通っていていっそ神秘的だとさえ思うほどに白い。

俺が目覚めるとそこは白い空間だった。足元を見ると水面なのだろうか、波紋が広がっていた。

「……ここはどこだ」

回らない頭を一生懸命働かそうとするが、頭に霧がかかってしまったようにぼんやりとしか考えることが出来ない。取りあえずこのままでは埒が明かないと思ったので、歩き始めることにした。
少しの間歩いていると背後から異様な気配が感じ取れた。

「誰だ」

警戒心を強め振り返ると、そこには人の形をしたナニカが立っていた。
得体のしれないナニカに遭遇し、頭の中の警報がガンガン鳴り響く。あれは関わってはいけないものだ。関わったが最後、自分はどうにかなってしまう、と。

頭の中で様々な思考を繰り返している内にナニカは俺の方へと近づいてくる。必死にその場から逃走を試みようとするが、まるで底なし沼に入ってしまったかのように全身が動かない。

「……やめろ」

恐怖によるものなのだろうか、声をだしてみたが掠れた音がでるのみだった。

「来るな」

ナニカが目の前にくる。必死に体を動かそうとするが、指一本動かすことさえ叶わない。そんな俺の行動を嘲笑うかのようにナニカが手を伸ばしてくる。

「やめろぉぉぉぉぉ!」

手が届くまで後数センチというところで、ふっと体に浮遊感が生まれる。すると俺の体は重力に逆らうかのように急上昇していく。下を見るとナニカが豆粒に見える位まで小さくなっていた。
ああ、助かったのか。









「暁人、暁人!」

「っ…! ああ、なんだ依姫か」

目が覚めると、目の前には依姫が心配そうな顔でこちらを見ていた。起き上がり体を確認すると、汗で服がびしょびしょになっていた。

「なんだとはなんですか、どうやらうなされていたいたようですけど?」

「なんでもない、ちょっと気味が悪い夢を見ただけだ」

「そうですか……あ、朝ご飯出来てますよ」

「ああ、冷めないうちにすぐ行くよ」

俺がそう言うと、すくっと立ちあがり去っていく依姫。
あの夢、なんだがただ事ではないような気がするけど……
まあ、考えても仕方がないかと割り切り、布団を畳んでいく。テーブルに向かうと食欲をそそる良い匂いが廊下に広がっていた。テーブルにつくと依姫がすでに朝食を並べ、椅子に座り待っていた。

朝食を食べ終え、今日はなにをしようか考える。
都市に買い物、買うものがない。依姫と修行、今日依姫は防衛の任務が入ってる。遥斗と勝負、豊姫の所に行っている可能性大。
さてどうしたものかと考えていると、依姫がある提案を出してきた。

「あ、そうだ。暁人、なにもすることがないなら一緒に防衛任務をしませんか?」

依姫の提案は戦闘経験のない俺にとっては、魅力的な誘いだったが、果たして新参者の俺が行っていいかどうか。

「いいのか?俺が行ったら周りの人からなにか言われそうなんだが」

「いいんですよ、これでも私防衛隊の中ではそれなりの地位があるんですよ」

ドンッという効果音が付きそうなほど胸を張って言う依姫。
それなら今日の予定はそれで決まりかな。

と、いうことで防衛隊が集まる都市の入口らしい所に依姫に手を引かれ着いたのだが。

(周りの視線がかなり痛い)

そりゃそうだろうな、なんせいきなり来た新参者が防衛隊の隊長である依姫に手を引かれてきたんだからな。そう思っていると、おおよそ百人近くはいるであろう人の前に依姫に手を引かれ出た。

「今日は皆に紹介したい者がいる、私の知人、月影暁人だ。彼はツクヨミ様からきたる月移住計画の時、分隊長となることを命じられている。なので彼の言葉は私の言葉だと思って従ってほしい」

おいぃ! いきなりなに言ってんだ依姫! 分隊長なんて聞いてないぞ! おのれツクヨミ、図ったな。
所々からいやな視線を感じるが、一応はといったところか、皆が依姫の言葉が終わり次第返事をした。だが、その中から一人、体が屈強なことから恐らく分隊長と見られる奴が手を上げていた。

「しかし依姫様、いきなり入ってきた者をいきなり分隊長にするなど、それでは隊の者の士気に関わります!」

確かに男の言う通りだ。
その言葉に一瞬こちらを見た依姫は男に向き直りこう言った。

「それならば分隊長、あなたと彼で模擬戦をして、あなたが勝ったならば彼を一般兵にし、彼が勝ったならば新しい分隊長とします」

なんということだ、俺の気持ちなどそっちのけで話が進んでいく。
依姫の提案に男は頷き、他の兵士達は下がり男を中心に輪が出来上がっていく。
俺は渋々と言った感じで前に出て男と相対する。

「ふん、新参者の若造が、依姫様と手を繋ぐなど百年早いわ」

「いやそれ思いっきり私情だよな、分隊長の件関係ないよな?」

「黙れ小僧!」

男は叫ぶと同時に俺に向かって両の拳で殴り掛かってきた。しかし神様ボディと二年間の修行により、その速さはスローモーションで見えているので迫りくる拳を全て人差し指のみで受け止める。

「どうしたよその程度か」

「くっ、なめるなよ!」

男が拳を合わせると、両手に青白い霊力を纏うのが見えた。
おいおい模擬戦だってのに殺す気かよ。
流石に霊力を纏った拳を人差し指で止めることは無理なので、ここいらで決着をつけることにした。

「おらぁぁぁぁ!」

突進してくる勢いを利用し、男の拳を躱し、中学の時習ったにわか柔道で地面に叩きつける。

「がっ……うう」

「あらら、ちょっとやりすぎちゃったかな」

少しやりすぎたらしく、白目をむいて失神している男。
まあでもこれで俺の力を証明することが出来ただろう。

「勝者、月影暁人」

依姫の勝者宣言と共に周りからはちきれんばかりの歓声が聞こえてきた。
どうやら他の皆も俺のことを認めてくれたみたいだな。

そんな日常を過ごしていたある日、時は来た。

「緊急警報、緊急警報、北の門に妖怪の大軍が接近中。住民の方々は速やかにロケットに乗って下さい。防衛隊は北の門に直ちに集合してください」

けたたましいサイレンと共に、住民の皆が血相を変えてロケットのある方向へと走っていく。俺はというと、絶賛永琳のご飯を食べている最中だった。

「とうとう来たわね、この時が」

「ああ、さて、俺はそろそろ行ってくるよ」

「行ってらっしゃい暁人……くれぐれも死なないでね」

「任せておけって」

ご飯を食べ終わり、永琳宅から飛び出る。遥斗と依姫は既に門の所に向かっているので、後は俺だけの筈だ。

俺が門に着くと、武装した防衛隊の面々と遥斗達が既に揃っていた。

「遅いぞ暁人」

「悪い悪い、もしかしたら最後の食事かもしんないからさ、堪能してたんだよ」

「もう、縁起の悪いこと言わないでくださいよ!」

さて冗談もこれくらいにして、皆になにか一言言わなくちゃな。
防衛隊の前に立ち俺は話し始める。

「皆よく聞いてくれ、とうとうこの日がやってきた。この都市の住民の長年の悲願、月移住計画の始動だ。だがこの計画を遂行するうえで最大の障害たりうる妖怪どもが迫ってきている。奴らは女子供関係なく、この都市の人間を殺そうとしている」

隣に遥斗が立ち、続ける。

「俺達はこの日の為に修行を積んできた。ならばこの力を妖怪どもに示すのは今この時だ。人々を月へ送るために全力でこの都市を死守するぞ!」

「「「「おおおおおおお!!」」」」

よし、士気を高めることはどうやら成功したようだ。
門を開き、迫りくる妖怪どもを見据える。

「遥斗、いけるか?」

「どうだろうな、正直かなり心配だよ」

「重く考えるな、ゲーム感覚でいいんだよ」

「ふ、お前のその気楽さが一割でも欲しいよ」

「じゃあ気楽になる魔法の言葉を言ってみよう」

遥斗は一瞬、なにを言ってるんだという顔になったが、すぐに理解したような顔になる

「「さあ、ゲームを始めよう」」


いかがだったでしょうか?

次回は人妖大戦です。

次回もお楽しみに。

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