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東方月影録 作者:隻眼の白狼
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第六話 女性とのやりとり

投稿です。

一応話のストックはいくつかあるんですが、それが切れたら投稿頻度が遅くなるかもしれないです。というか遅くなります。

それではどうぞ。
「えっとー、なにを言ってるんだ依姫?」

困惑したように問いかける俺。
え、なにかを聞き間違えているような気がするけど……

「ですから、今日私の家に泊まっていって下さい!」

そう思っていると、依姫がこれでもかと顔を赤くして言ってきた。

「えーと、取りあえず理由を聞きたいんだが」

「そ、それは……」

俺がそう聞くと、黙り込んでしまう依姫。少し経った後、依姫が「あっ」と言って、意地悪い笑顔になった。

「フフ、私の家にきたら教えてあげますよ」

うぐ、こういう手はなにかしらよからぬことがあると思うんだが。かと言ってここで断っていまうと、気になって寝ることも出来ないし。

うーん、と考えていると依姫が俺の背後に回り背中を押してきた。
え、ちょっと待って! まだ考えてる途中だから!
そんな俺の焦りなどどこ吹く風のように依姫は笑顔で俺を押していく。

「はいはい、私の家に来たら教えてあげますから♪」

「いや待って、待ってってば依姫! まだ考えてる途中だから!」

「もう、そんなこと言って、本当は知りたいんでしょう」

「なにノリノリになってるの! さっきまでの羞恥心はどこ行ったんだ、依姫、依姫ーーーーー」







~少年移動中








と、いうわけで。

「来てしまった……」

結局、依姫に流されるままついてきてしまった俺。
小さい頃から人の頼みなどは断れないたちなのである。そのせいで自分が苦労したりした事が多々あったが。

にしてもこれは今まであった苦労の中でも最大の難関だぞ。

そう思いため息をつく。誰かの家に、それも女の子の家に泊まるなんてとてもじゃないが俺には出来ない事であった。
小、中、高と悪ガキでいた俺にとっては女の子と話すことなんてほとんど無かったし、永琳と居候することになった時なんて、そりゃあ心の中は穏やかじゃなかったけどなんとか耐えることが出来た。しかし、恐らく依姫は俺と(歳が)同じ、または下の可能性がある。健全な高校生として女子と一つ屋根の下で一夜をあかすなんて、考えただけで冷や汗が止まらない。

玄関で路頭に迷っていると、依姫がこちらですと手招きをしていた。
ええい、こうなったらもうやけだ! どうにでもなってしまえ!

覚悟を決めた俺は、一度唾をごくりと飲み込み、依姫の後についていった。




依姫に続いて部屋に入ると、そこは永琳の部屋とは正反対に整理整頓されていた。

「へぇー、すごいきれいにしてるな」

「いえいえ、そんなことはないですよ」

「いや永琳に比べたらかなり整頓されてるほうだよ」

「ははは、師匠は忙しいですから」

よいしょと適当な所に腰掛ける。

「それで依姫、話ってなんなんだ?」

早速本題に入ろうと依姫に話をふると、依姫の顔が暗くなる。
一体どうしたんだ、問い詰めたような顔をして?

「実は……怖いんです。皆の先頭に立って妖怪達と対峙するのが」

うつむきながらぽつぽつと言いだす依姫。

「私はこれから起きることの為に鍛錬を積んできました。妖怪と戦ってきたことだって一度や二度じゃありません。でも次に攻めてくる妖怪達は今までの比じゃない。死ぬのが怖いんですよ」

「依姫……」

「はは、笑って下さい。本当は弱いんですよ私。皆の前では頼りがいのあるように見えてますけど、実際の所は妖怪達に怯えてる小娘に過ぎないんですよ」

そう言いながら自嘲気味に笑う。

「暁人、一緒に逃げませんか? どこか遠くへ、もういっそ全てのことを投げ出して」

目に涙を浮かべながら言い続ける依姫。
その気持ちは十分に分かる。分かるが、だが。

「それは出来ない相談だ依姫」

「っ…! どうしてですか! あなただって本当は怖いでしょう!」

依姫の言葉にしかし否定の意を示す俺。
確かに依姫の感情は正しい。人間誰しもいつ死ぬか分からない状況が近づいてくるとしたら、恐怖で冷静さを失うものがいるだろう。

「俺は怖くない、これは虚栄じゃなく俺の本心だ」

俺の言葉に絶句したような表情になる依姫。
そりゃそうだよな、死ぬかもしれない状況が近づいてきてるっていうのに怖くないだなんて、そんなの嘘だとしか思えないよな。

「そんなに思い詰めるな依姫、大丈夫、お前のことは俺が責任もって守ってやる」

「暁人…!」

そのまま俺は依姫を抱き寄せる。

「うう、ひっぐ、うわあぁぁぁぁん!」






「落ち着いたか依姫?」

しばらく泣いていた後、疲れたのか、それとも羞恥心がでてきたのかは分からないが部屋の隅で丸くなっている依姫。

「……いくら暁人とはいえ、胸の中で泣いてしまうなんて」

当の本人はどうやら俺の胸で泣いてしまったことにショック? を受けているらしい。
しかし、依姫の泣き顔か……可愛いかった。

「今なにか考えてませんでしたか」

キッと俺の方を睨みつけてくる依姫。

「いや別にそんなことはないよ」

さらっと息をはくように嘘をつく俺。
いやぁ、女の勘っていうのは侮れないものだな。

俺の言葉が嘘だと分かったのか、ムッとした顔になる依姫。

「はあ、しかしまさか泣いてしまうなんて思いもしませんでした」

「きっとそれほどまでに精神を削っていたんだよ。よかったな本音を話せて」

それにしても可愛かったぞ~と依姫にわざと分かるように言う俺。対して依姫は羞恥心がMAXになったのか、更に縮こまっている。

「あ、そう言えばさ、今日は泊まっていってって言われたけど、寝床はどうすればいいの?」

ふと、この後のことを考え依姫に寝床について聞く。すると依姫は少し考えた顔をした後、顔を真っ赤にして大声で叫んだ。

「そ、そんなの、別々で寝るに決まってるじゃないですか!」

そう言いながら、部屋にある物を投げてくる依姫。
ちょ、痛い!痛いからやめて依姫!

「もう! 暁人のバカバカバカバカ! ふーんだ寝床なんて知りません。外で野宿でもして下さい!」

「そりゃないぜ依姫! そんなことしたら俺凍え死んじゃうよ!」

その後、なんとか依姫を説得することができ、結局俺は道場で寝る事になった。








「暁人遅いなぁ」

自宅へ帰った俺は、暁人の帰りを待っているのだが、一向に帰ってくる気配がない。あいつのことだから多分どこかで寄り道でもしてるんじゃないかと思うが……

そう考えていると、永琳がドアを開けこちらに歩いてきた。

「遥斗、暁人は今日依姫の所に泊まるらしいわ」

なんと、あいつ依姫の家に行っていたのか。それにしても女子と一つ屋根の下で一夜を明かすとは、暁人許さん。

暁人への羨ましさでついつい拳に力がはいってしまう。
いかんいかん、冷静になるんだ俺。ビークール、ビークール。

俺の変化に気づいたのかフフっと笑みを浮かべる永琳。
俺だって健全な男子高校生なんだ、それぐらい考えたりするよ。

「遥斗ったら、見た目と違って男の子らしいところあるじゃない」

「これでも俺は現役の高校生なんです」

高校生? と永琳が首を傾げてくる。
おっと危ない、どうやら余計なことを言ってしまったらしい。

「なんでもないよ永琳」

「あらそう……ねえ遥斗良かったら今日私と一緒に寝ない?」

「……え?」

突然の永琳の発言に間抜けな声が出てしまう。

「だ・か・ら、今日私と一緒に寝ましょう♪」

笑顔でそう告げてくる永琳。

「はぁ、冗談だろ永琳?」

「あら、意外と本気かもしれないわよ?」

何を言っているんだこの薬師様は。
永琳からの突然の一緒に寝よう発言に頭を悩ませていると、電話がかかってきた。

「もう、いいところだったのに」

「俺がでてくるよ」

椅子から立ちあがり、モニターの電源を入れる。初めてこの家に来た時は使い方が分からなかったが今では慣れたものだ。

モニターの画面が映るとそこには豊姫の姿があった。

「どうしたんだ豊姫、こんな夜遅くに」

「いえ、大したことじゃないんですけど、なんというか女の勘が遥斗の危機を察知しているような気がして」

テヘヘと後ろ髪を掻きながら苦笑いをする豊姫、夜遅くに電話をかけてくる理由としてはどうかと思うが、その予想が当たっているのだから女の勘というものは恐ろしいものだ。

「いや特にこちらに変わったことはないよ、心配してくれてありがとう」

「いえいえ、そんなことはないですよ。では、お休みなさい」

「ああ、お休み」

豊姫との会話を済ませモニターの電源を切る。永琳の方を向くとなぜか楽し気な表情をしていた。

「あの子ったら、遥斗に気があるのかしら」

「そんなわけないだろう、ほらもう寝る時間だから、俺は自分の部屋に行くよ」

そう言い残し俺は自室へと歩を進める。後ろでなんか騒いでいるが、俺にはなにも聞こえていない。

部屋に入るってベッドに横になると、必ず来るであろう、妖怪との戦争のことが頭をよぎった。

「……さて、どうしたものか」

深く考えることはせず、そのまま眠気に身を任せ、俺は眠りに落ちた。


いかがだったでしょうか?

次々回には人妖大戦が待っています。

次回もお楽しみに。
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