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彼の名前 作者:みなっち

第二章 文鳥

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第三話 日常

「ねえ、文太君。結構な頻度で付き合ってもらってるけど、私、勉強の邪魔になってない?」
「なってるよ。」
「やっぱり、なってるんだ!」

 私は今日も文太君と一緒に食堂で勉強していた。
「でも別にどうって事は無いから気にしないで。勉強だけが全てじゃないし。おれは結構、あんたと喋ってるの、楽しいけどね。」
「えっ…」
 楽しいと思ってもらえているのか、となんだか意外に感じた。
「ありがとう、嬉しいかも。」
「アハハハ!」
(あれ!何で笑われた?)
「こうやって、誰かと一緒に勉強するってやった事ないけど、今のところ嫌じゃないし。」
「そうなんだ。文太君、友達いないの?」
「あんたはどうしてそう直球で聞くわけ。」
「ご、ごめん。」
「あんたが居るじゃん。」
 友達いないんだろうか、やっぱり直球で聞きすぎたかもしれない。
「まあ、作ろうと思っても、難しいんだけど……」
「ご、ごめん……」
「アハハ、同情してくれた?」
 文太君は自嘲するような薄笑いを浮かべた。話はそこで終わって、彼が気を遣ったのか話題を変えてくれた。

「そういや、みんなとはどう?ほぼ毎日会ってるよね。」
「そうだね、ちょっとだけど時間見つけて会いに行ってるよ。」
「へえー頑張るね。」
「一気に4人も友達が増えて楽しいよ。みんなジャンルばらばらだし。セイには美味しいお店教えてもらえるし、木場君とは映画館観に行ったなぁ。あ、セイに教えてもらって見に行ったんだけどみてみて、岡目君のバイト姿。」
「うわ、写メとったの!?うわーー……うわーーーー……なんか変な感じ。」
「みた事ないの?」
「ないよ!興味ないし!う、うあー…にあわねー……。」
「そんな事ないよ、意外とカッコイイよ。」
「アハハ。岡目に言っておく。ていうかおれ達にべったりでさ、大丈夫?」
「ん?何が?」
「……。…付き合ってる人いないの?」
「い、いません!なんでそんな話になるの!」
「あ。やっぱりいないんだ。」
「や、やっぱりって!」
「いや、普通に考えて、彼氏いたら、こんなベッタリ一緒にいるの難しいよね、って話。大丈夫、顔はかわいいんだから安心して。」
 何だろう、棒読み感。褒められたのに嬉しくない。

「……フーン。ね、カナ。」
「は、はい。」
 文太君の声のトーンがちょっと変わった。
「デートしよう。」
「いきなりなんで!?」
「テストの結果がよかったから。はい、これフィールドの小テスト。」
「文太君の所って、答案用紙って返却されるんだー!へー……って、うわ満点だ!」
「暗記得意だから、楽勝楽勝。ね、どう?どっか行かない?」
「ど、どこか…行く位なら……。」
「やったーデート!」
「デート……。」
「やだな、そんなに緊張しないでよ。」
「緊張は、してない、です!ビックリしてるだけです。」
「おかたい~~。若い内にしかできない事って沢山あると思うからさ。色々やっておいた方がいいって。カナ、顔はかわいいんだし。」
「文太君に言われると中身をすごく否定された気分になる!」
 私がいじけると、彼はまた笑った。楽しそうだ。
「アハハ、男受けはしないだろうね。胸ないんだから、もっと儚げでお淑やかな感じが必要なんじゃない。」
「文太君!!!!!!」
「フフフ、怒った。」
「気にしてるのに!!!」
「いいじゃん、脚綺麗なんだから。で、何処行く?」
「こんな状態で行くと思ってるの?」
「思ってる。」
 全く反省の様子が見られない文太君を軽くにらむ。

「ごめん、怒った?つい、楽しくて。カナと、一緒に行きたいです。」
「ぐ……。」
 今日一番の笑顔でにっこりと微笑まれると、怒る気がなくなってしまう。な、何この攻撃……。確信犯だ。
「えっと……。デートって……。」
「映画は木場といってるよね。セイとはご飯いってるでしょ?じゃあ、買い物かな。どう?冬服とか見に行ったりしないの?荷物、持つよ。」
「えっと、じゃあ……。」

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