NATO バルト3国などに多国籍部隊配備へ

NATO バルト3国などに多国籍部隊配備へ
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NATO=北大西洋条約機構の首脳会議は、来年からバルト3国とポーランドにアメリカなどが主導する4つの多国籍部隊を配備することを決め、軍備を強化するロシアに対して抑止力を強めていく姿勢を鮮明にしています。
NATOの首脳会議は、ポーランドの首都ワルシャワで8日から2日間の日程で始まりました。
初日の協議ではロシアがおととしのウクライナ危機以降、各地で軍事的な活動を活発化させているとしてその対応策を中心に話し合いました。そして各国は、来年からロシアと隣接するバルト3国とポーランドにアメリカやイギリスなどが主導する4つの多国籍部隊を配備することで合意しました。また、黒海でもロシアの軍事的な圧力が高まっているとして沿岸のルーマニアとブルガリアで各国が参加する演習や訓練を拡大することも決めました。
NATOのストルテンベルグ事務総長は、8日の会議後の記者会見で、「ロシアは軍の近代化を着々と進めている」と述べて、NATOが一体となって抑止力を強めていく姿勢を鮮明にしました。
今回の会議は、イギリスのEU=ヨーロッパ連合からの離脱が地域の安全保障に与える影響が懸念されるなかで開かれました。NATO内でアメリカに次ぐ規模の軍事力を持つイギリスの役割は極めて大きく、EU離脱でヨーロッパ各国の関係がぎくしゃくすればロシアを利することになるという各国の強い危機感があります。
NATOとしては、イギリスがほかの加盟国とともに集団防衛で確実に役割を果たすことを強調し、今回の会議を通じて最大限、結束をアピールするねらいがあるものとみられます。

米 ポーランドとの軍事協力深める構え

アメリカのオバマ大統領はNATO=北大西洋条約機構の新たな多国籍部隊の一部となるアメリカ軍の大隊をポーランドに配備するとともに戦車部隊の司令部を置くことも明らかにし、ロシアを念頭にポーランドとの軍事協力を深める構えを示しました。
NATO首脳会議に出席しているオバマ大統領は会議に先立ってポーランドのドュダ大統領と会談しました。このなかでオバマ大統領は「ポーランドはアメリカにとって最も重要な同盟国の1つだ」と述べて、両国の安全保障協力の重要性を強調しました。そのうえでNATOが新たに配備する多国籍部隊の一部としてアメリカ軍が派遣する1000人規模の大隊をポーランドに配備することを明らかにしました。さらにアメリカ軍が来年から東ヨーロッパの国々を中心に定期的に展開させる予定の新たな戦車部隊について、その司令部をポーランドに置くことも伝え協力を求めました。
アメリカ軍はすでにポーランドの基地にF16戦闘機など航空機の派遣部隊を展開させているほか、ミサイル防衛システムの配備に向け施設の整備も進めています。アメリカはロシアを念頭にヨーロッパに駐留するアメリカ軍の強化策を進めており、ポーランドとの軍事協力を深める構えを見せることでロシアをけん制するねらいもあるとみられます。