・「普段から」・「メイクしない君が」・「薄化粧した朝」・「始まりと終わりの狭間で」・「忘れぬ約束した」・「花束を君に贈ろう」・「愛しい人愛しい人」
長かった戦争が終わったあの夏の日から半年。
食糧や物資などありとあらゆるものが不足していたため日本国民は皆一日一日を必死に生きていました
(鞠子)とと姉かか!
(常子)どうだった?向こうも売り切れてしまったわ。
そっちは?全然駄目。
3冊で2円になります。
はい。
一家を支えていたのは常子が貸本業で得た僅かな収入でした
あ〜桑野先生は…。
寒さ厳しいある日の朝…
静かにしろ。
(鍵が落ちる音)金を出せ。
五反田さん?そうですよね?何だ。
分かっちゃったか。
ご無事で何よりです。
社長も相田も間もなく戻ってくる。
富樫は療養中だがいずれ復帰すると手紙が来た。
皆さんご無事だったんですね。
これで作りたい雑誌を作れるね。
はい。
そしてひとつき後
いよいよか…。
(谷)7月の発刊を目指す!
(五反田)えっ。
昔世話になった先生の多くは戦死か行方不明で…。
お前の小説があるじゃないか。
はい?小説?
(谷)こいつ本当は小説家志望なんだよ。
え〜。
書きためてあるのは知っとるぞ。
どうだ?自分の作品を世の中にそろそろ出してみては。
ありがとうございます。
(谷)よし決まりだ!ほかにも数人話はつけてある。
「新世界」の再開に向けてすぐさま動き出そう!
(五反田相田)はい!あ…あの…。
新しい企画を立ち上げる訳ではないんですよね?ああ。
まずは今までやってきた文芸誌「新世界」ここにありというとこを見せつけねば。
確かにそうですよね…。
いよいよなんです!いよいよ!
(君子)よかったわね。
また雑誌が出せる事になって。
(鉄郎)なあ常子。
はい。
(鉄郎)雑誌出せるって喜んでるが売れたらお前に金が入んのか?それは…。
いいか?お前の稼ぎで一家を養ってんだぞ。
もっと金稼ぐ事を真剣に考えろ。
・
(戸をたたく音)・ごめんください。
誰かしら。
あっ私が。
何か…?お久しぶりです。
えっ?綾さん?綾さんなのね?あ〜!すぐにお会いしに来たかったんだけどそうもいかなくて。
旦那様は軍医だって。
ええ。
だけど戦争中病で亡くなりまして。
今は母と3人で蒲田近くに間借りして暮らしています。
お仕事は?なかなか見つからなくて…。
何かお力になれる事はないかしら。
必要なものとか。
お言葉に甘えさせてもらうなら布とか浴衣の余りはないかしら。
私の浴衣も母の浴衣ももうおむつになってしまっていて。
お安い御用よ浴衣くらいは。
いいの?もちろん。
フフフ。
これ本当にありがとうございます。
ううん。
困った時はお互いさまでしょ。
住所だけでも教えて。
お手紙のやり取りくらいしましょうよ。
…うん。
ある日の仕事の帰り道常子は闇市を訪れました
この口紅おいくら?40円だよ。
高いわよ。
高くないよ!
(鉄郎)常子。
常子おい。
仕事帰りに何やってんだ?あ…。
いや…もし出版社を辞めたら何をしようか参考にと思いまして。
おぉ〜そうか。
ついにお前も!まだ決めた訳じゃないんです。
もしそうなったらという話です。
まあそう考え始めただけでも大きな一歩じゃねえか。
叔父さんそれって…。
ああ木綿だよ。
偶然安く手に入ったんだ。
その木綿少し分けて頂けませんか?ん?綾さんにあげたいんです。
半分だけだぞ。
ありがとうございます!フフフフ。
こうして綾のもとを訪ねた常子でしたが…
・何回言ったら分かるんだい!またお漏らしまでしやがって。
さっさと洗濯しな!今度やったら出ていってもらうからね!よかったら太一君のおむつに使って。
ありがとう。
どうしたの?本当はあなたにうちに来てほしくなかった。
こんなつらい状況で何のために必死になって生きてるのか…。
ごめんなさい。
これ覚えてる?「青鞜」…。
(東堂)「元始女性は実に太陽であった。
真正の人であった。
今女性は月である」。
(綾)女はもともと太陽だったって思うと「いつか私も太陽に」って元気が出てくるの。
私にとってこれが唯一の心のよりどころ。
(鉄郎)お前の稼ぎで一家を養ってんだぞ。
もっと金稼ぐ事を真剣に考えろ。
(綾)私にとってこれが唯一の心のよりどころ。
・
(君子)常子遅れるわよ。
は〜い。
行ってきます。
かか行ってきます。
(君子)行ってらっしゃい。
どうして?理由は2つあります。
まず1つ目は…お金です。
お金?はい。
時代が目まぐるしく変わっていく中今母と妹は職がなく私一人の稼ぎで暮らしていくのはとても厳しいです。
そして2つ目は…本を作りたいからです。
うん?何だよ。
どういう事だ?自分で会社を作って出版しようと思うんです。
こりゃあ驚いた…。
教えてくれ。
君が作りたい本ってのは一体…。
戦争に翻弄されて苦しんでいる女の人が日本にはまだ数多くいらっしゃると思うんです。
戦争によってひどい目に遭った女の人の手助けをしたいんです。
だから…。
そんな彼女たちの役に立つ雑誌か。
はい。
女が出版社起こすなんて聞いた事もない。
失敗する可能性もあるんだよ。
それは分かってます。
でもこのご時世もう既に失敗してるようなものじゃないですか。
もしこの賭けに出て当たれば今まで苦労かけてきた家族を喜ばす事ができるかもしれない。
どうやら覚悟は決まってるようですよ。
ああ。
今までたくさんお世話になったのにすみません。
確かに世間がメチャクチャな今こそ好機かもしれん。
やれるだけやってみろ。
はい。
(美子)辞めた?何で?何で辞めちゃったの?さんざん悩んだんだけど人生賭けてみようと思って。
(鉄郎)うん。
人に使われてるうちは金持ちにはなれねえからな。
はい。
ごちそうさま。
ちょっと叔父さん!で…どう?私たち3人でやってみない?私たちも?うん。
一緒に?うん。
面白えじゃねえか。
資金は俺が調達してやる。
かかもとと姉ちゃん止めて下さい。
私は…。
応援します。
(2人)えっ?あの長かった戦争を生き抜いてきた訳じゃない?だから常子やってみたいならやりなさい!はい!
常子は戦時中おしゃれをする事ができなかった女性のために最新の洋服やその作り方を載せた雑誌を作る事にしました
これを雑誌の1ページだとした時にここによっちゃんが描いた洋服の絵が入る。
作り方はよっちゃんが考えてそれを私が文章に起こす。
で鞠ちゃんはここに入る見出しを考える。
この洋服がどういうものかひと言で分かるような文言ね。
俺は俺は?手伝わせろよ。
じゃあ叔父さんには闇市で紙を探してきてほしいんです。
よっしゃ。
じゃあ明日早速探してきてやる。
ありがとうございます。
よろしくお願いします。
任しとけ。
どうです?叔父さん。
お〜ばっちりばっちり。
じゃあな。
…案内するからついてこい。
(三姉妹)はい。
あの…。
あっ叔父さん。
(鉄郎)えっ?5円足りない…。
5円足りないって言ってます。
あれ?悪い悪い。
はい。
叔父さんまさかごまかそうとしたんじゃ…。
する訳ねえだろ。
露天商組合の人間だますなんて。
組合の方なんですね。
ええ。
水田といいます。
こんにちは。
経理担当みたいだから店出す時いくらかかるかとか聞いてたんだよ。
お嬢さん呼び止めてくれてありがとう。
いえ。
はぁ…。
行くぞ。
はい。
さようなら。
(水田)さようなら…。
これが小橋三姉妹と水田の出会いでした。
今後常子たちはこの水田によって大いに助けられる事になるのです
え〜そんなんじゃ駄目よ。
やぼったい!だったら2人とも考えてよ。
無理無理。
売れそうな雑誌の名前なんて浮かばないもん。
どうしたもんじゃろのぉ…。
「装ひ」ってどう?いい。
すごくいい。
本当?
(鉄郎)いいやそれじゃ地味すぎる!雑誌「スタアの装ひ」。
(一同)え〜。
いいか?KT出版が放つ雑誌第1号は「スタアの装ひ」だ。
ちょちょちょ…ちょっと待って下さい。
今サラッと出版社の名前決まってませんでした?お前が出す本なんだからKT出版でいいだろ。
私はKTでいいと思う。
えっ?私も。
えっ?そうね。
そう?まんざらでもなさそう。
(君子)フフフフ。
何か「スタアの装ひ」もよく思えてきた。
このころ街なかでは米軍将校や外交官の家族が闊歩していました。
美子はおしゃれなファッションを見つけてはすかさずスケッチ。
描かれたイラストを見て鞠子が見出しを考えます
どう?見出し思いついた?「その一瞬は永遠だから」。
若い人向きな感じがしたので少しでも若々しさが続くように願いを込めてみたんです。
さすがね鞠ちゃん。
でしょ?
(五反田)ですから僕の小説の挿絵をどうしても描いて頂きたいんです。
もう決めたんだ。
今後出版に関わる一切を断ると。
そうですか…。
そしてついに常子たちは「スタアの装ひ」を完成させました
これが私たちの雑誌…。
ついに出来たのね。
よく頑張ったわね。
(美子鞠子)やった〜!頑張って売っていきましょう。
(一同)はい。
さあさあお立ち会い!新雑誌「スタアの装ひ」!「スタアの装ひ」入荷致しました。
新発売です!いかがですか?これおいくら?7円です。
1冊頂戴。
ありがとうございます!
(3人)ありがとうございます!はい。
ありがとうございます!1冊売れた…。
私の文章がお金になった…。
よかった!
この日売り出した「スタアの装ひ」は日が暮れる頃には300冊全てが売り切れたのです
ありがとうございます。
(鉄郎)すげえじゃねえか。
完売したのか。
そうよ。
(鉄郎)おぉ〜。
今回が300部だったから次は500?いや。
1,000部でしょ。
1,000部も刷って売れる?私にはそのくらいの自信がある。
ところが…
とと姉ちゃん。
うん?ちょっとこれ見てよ。
何よこれ…。
「スタアの洋服」。
随分似た本ね。
似てるんじゃないです。
きっとまねしたんです。
えっ?ああそうだろうね。
売れたってうわさになった本はすぐ似たような本が出るから。
(君子)あら…。
「スタアの装ひ」です。
いかがですか?「スタアの装ひ」。
いくらなの?7円です。
(2人)7円?この前買ったのは4円だったよ。
(2人)高いわねえ〜。
ほとんど残っちゃったね…。
立ち止まるなら今しかないんじゃない?次失敗したらお金本当に無くなっちゃうよ。
何かありませんか?もう失敗できないんです。
だが…女性目線の雑誌など皆目分からんのだよ。
どうせ助言もらうなら別の人がいいんじゃないかな。
そうですか…。
常子君。
あ…はい。
あの人に相談してみろよ。
あの人?花山伊佐次。
会った事あるだろ?あっ内務省にいた方ですよね。
そう。
帰れ。
邪魔するな。
3度も言わせるな〜!あの人の女性への目線は男性から女性を見た視点ではなくどことなく女性側の視点で見ている気がするんだ。
あの方がですか?ああ。
きっと君の作ろうとしている雑誌をよりよくしてくれるはずだ。
これ。
訪ねてみてごらん。
はい…。
2016/07/10(日) 11:00〜11:20
NHK総合1・神戸
とと姉ちゃん 一週間 第14週「常子、出版社を起こす」[字]
常子(高畑充希)は甲東出版を辞めて女性のための雑誌を作ろうと思い立つ。鞠子(相楽樹)が文章、美子(杉咲花)が洋服を担当し三姉妹の雑誌「スタアの装ひ」が完成する。
詳細情報
番組内容
戦後復員してきた谷(山口智充)や五反田(及川光博)のもとで、常子(高畑充希)は再び文芸誌作りに携わることに。しかし綾(阿部純子)と久しぶりに再会し、苦しい境遇の中、綾が雑誌を心の支えとしていることを知る。鉄郎(向井理)の勧めもあり、常子は甲東出版を辞めて女性のための雑誌を作ろうと思い立つ。鞠子(相楽樹)が文章、美子(杉咲花)が洋服を担当し、小橋三姉妹の雑誌「スタアの装ひ」の一作目が完成する。
出演者
【出演】高畑充希,木村多江,相楽樹,杉咲花,唐沢寿明,向井理,山口智充,及川光博,伊藤淳史,阿部純子
原作・脚本
【作】西田征史
音楽
【音楽】遠藤浩二
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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