クオリア(1) 1990年頃

クオリアは、科学における最大の難問である。

クオリアとは,「主観的体験が伴う質感」のことである。

もっと簡単に言うと、赤い花をみたときの「赤い」という質感のことである。

もっともっと簡単に言うと、
今まさに、ボクらの眼に映っている「」のことだ。

もっともっともっと簡単に言うと、ようするに、

 ← これ 

今まさに、ボクらの眼に映っている「この色」のことだ

「赤いもの」が「この色」で見えるのは、あまりに当たり前のことなので、
普段は疑問にも思わないが、
そもそも、 この色 (赤という質感、クオリア)は、
一体、どんな仕組みで、どこからやってきたのだろうか?

もちろん、ボクの目に「 ある周波数の光 」が入ると、
「この色」が見えるわけだが、
別にそれは、「この色」として見えても、「この色」として見えても、
なんでも良かったはずである。
それなのに、現実としてボクは、「この色」で見ている。
じゃあ、「この色」でなければいけなかった理由・原因は一体なんなのだろう?
いったい、どういった仕組み・原理で、「この色」は見えているんだろうか?
よくよく考えてみると、まったく不可思議なことではないだろうか?

この疑問について、現代科学は、まったく何もわかっていない状態である……。

しかし、このクオリアについて、一番厄介な本当の問題は、
今後、科学がどんなに進歩しようとも、
この謎を解き明かす見込みはまったくない、
不可能である
と言うことだ。

というのは、そもそも、脳を解剖して、その動きをどんなに調べようが、
「赤い」という「質感(クオリア)」を取り出すことも、
なぜそういうものが起きているのか説明することも、
決してできないからである。

たとえば、僕の頭に電極が刺されていて、僕が赤いものを見たとする。
すかさず、脳科学者は
「あ、今、キミの脳内で、これこれこういう化学反応が起きているよ」
と説明するかも知れないが、それは決して、
「まさに今僕が感じているこの色」
の起源、仕組みを説明したことにはならない。

これは、ようするに、今後、人間の科学技術が進んで、
「脳を原子レベルで全部調べて、その動きを完全に解明できた」としても、
やっぱり 「『この私』に生じている『この赤』は一体どこから、
どういう仕組みで起きたのか?」
を説明することができない、ということであり、

「物質を追いかけて、その動きの法則性を調べる」
という現代科学的なやり方では、
「我々の意識の上に起きている『この質感』」の起源を
原理的に決して解明することができないということだ。

この「クオリアの起源 」という問題は、
1990年頃、哲学者デイヴィッド・チャーマーズにより提起され、
「人間の意識なんて、脳という機械の産物であり、
 この機械の仕組みを解明すれば、
 人間の意識の起源も解き明かされる」
と楽観的に考えていた脳科学者、物質主義者たちに、大きな衝撃を与えた。



※下に続き「クオリア(2)」があります。


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