中国の抗日ドラマで日本ホラー映画『リング』の貞子が主役に 村の青年と恋愛も
2016年07月09日 23時02分 NEWSポストセブン
2016年07月09日 23時02分 NEWSポストセブン
2016年07月08日 16時00分 NEWSポストセブン
抗日ドラマに『リング』の貞子登場
戦後71年目の夏を前にして、再び中国の「抗日」、「反日」が目立ってきた。彼らの主張や態度の中には、常軌を逸したものが増えてきている。7月は7日に盧溝橋事件(中国名・七七事変)記念日があるほか、中国共産党が1921年7月に結成されたことにちなみ「紅色七月」と呼ばれており、テレビでは日中戦争を描いた「抗日ドラマ」や党政策番組などが大量に放送される。
だが、通り一遍の抗日ドラマでは、すでに若い視聴者に飽きられ始めている。そこで最近では大胆な(?)ストーリー展開を持つドラマが作られるようになった。和製ホラー映画『リング』に登場する「呪いのビデオ」の貞子が、主役となった抗日ドラマまである。『人民の貞子』と題された、そのドラマの内容は、あまりに突飛だった。ストーリーはこうだ。
戦争中、山あいの村に現われた日本軍のトラックを村人が襲撃し、日本兵の殲滅に成功。トラックには映写機とフィルムが積まれていた。それを再生すると、スクリーンから貞子が出てきた。
地面を這いつくばるおぞましい姿に、村人たちも恐れるのだが、ひとりの男性が貞子の足を見て、「お前、裸足じゃないか。俺の草履を履けよ」と差し出した。さらに民家に招待し、きれいな着物を着せたり、村娘が貞子の長い髪を梳かし、三つ編みを結ってやるなど、優しく迎え入れたのだった。
中国人たちの温かさに心を開いた貞子は、畑仕事に精を出すようになり、いつしか村の青年と恋に落ちる。貞子は彼と共に共産党に入党。こぶしを掲げて宣誓するなど、すっかり“赤色”に染まった。
そんな幸せな日々を打ち砕いたのが日本兵だった。野良仕事中、村に煙が上がるのを見た貞子が急いで戻ると、村人は日本兵により皆殺しにされていた。優しかった村娘や、恋仲となった青年の亡骸を見た貞子は怒りに震え、涙をこぼす。
日本兵の前に軍服姿で現われた貞子は、ピストルで日本兵を次々と撃ち殺す。〈咆えろ、正義の銃弾。仇を討て、人民の貞子!〉という勇ましいナレーションとともに、貞子が勝利のポーズをとったところでドラマは終了した。
現在、中国では、こんな荒唐無稽な抗日ドラマが溢れているという。『モノ言う中国人』(集英社新書)の著者で、北海道大学公共政策大学院専任講師の西本紫乃氏がいう。
「ヒロインがたったの1分半で、34人もの日本兵を弓で射殺したり、カンフーの使い手が素手で日本兵を真っ二つにするといった、現実離れしたシーンが話題となった映画もありました。
地上から手榴弾を投げ、はるか上空を飛ぶ日本軍の戦闘機を撃墜するシーンなどには、さすがの中国人も“ありえない”と感じています。この手のドラマや映画は、現実的ではないという意味で、『抗日神劇』と呼ばれているぐらいです」
去年放送されたドラマ『一起打鬼子』は、妻が股間に隠し持っていた手榴弾で、夫婦が自決するという「神劇+わいせつ」のWパンチで当局から捜査を受けたという。こうした過激な抗日っぷりは、日本への敵対心だけが理由ではなさそうだ。
「中国では映像作品の検閲がありますが、抗日ドラマは中国共産党のイデオロギーに反しないため、通りやすいことが理由の一つです。また、映像作品は投資対象とされており、当たると大きく儲かるため、話題性を狙って派手な脚本になっているのでしょう」(西本氏)
※週刊ポスト2016年7月15日号