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視点・2016参院選 日本と米国 将来像見据えた議論を=論説委員・及川正也

 参院選と並行して米国でも大統領選の論戦が続いている。穏やかではないのが、日本との関係を揺るがしかねない「公約」が続々と出ていることだ。

     日米安全保障体制の再検討を示唆する共和党の実業家トランプ氏だけでなく、民主党のクリントン前国務長官も環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への反対姿勢を明確にした。日本に関わる議論がこれほど沸騰する米大統領選も珍しい。

     もちろん選挙中の発言がそのまま実施されるかは見極める必要がある。かつてカーター大統領は在韓米軍撤退を訴え、オバマ大統領も北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を約束したが、立ち消えになった。

     だが、今回は中国などに日米同盟弱体化という誤ったメッセージを送りかねない。なのに、日本側に目立った反論がないのはどうしたことか。

     安倍晋三首相が「民進党は選挙のためなら日米同盟を破棄しようとしている共産党と手を組む」と批判すれば、民進党の岡田克也代表は「首相は度が過ぎている。(共産党が)非合法政党みたいな扱いだ」と反論し、他党への攻撃に終始している。

     日本外交の基盤である日米同盟を選挙戦術に利用するだけで真剣な議論がないのは問題である。次期大統領がだれであれ、米国の底流にある「内向き志向」が一変することはないだろう。日本がどんな対策を講じていくかは重大事だ。

     日本と米国は互いを必要としている。日本にとって、中国や北朝鮮に対抗するには強大な軍事力を持つ米国の抑止力が欠かせない。米国にとっても、アジアに影響力を及ぼすための要石として日本の地理的な重要性が減じることはない。

     両国民の信頼も厚い。内閣府の調査では日本人の8割が日米安保を支持している。外務省が委託した米国内の調査でも日米安保が重要だと考える米国人は同じく8割いる。

     トランプ氏は日本に駐留米軍経費のさらなる負担を求めている。だが、何でも米国の言うことを聞けばいいわけではない。対米追従が際立てば日本国民の同盟への信頼は弱まるだろう。

     米国に厳しく言うべきこともある。沖縄米軍基地問題は事件や事故への対応だけでなく、さらなる基地縮小に取り組むべきだ。沖縄の怒りを少しでも和らげ、安定した日米関係を維持するには必要なプロセスだ。

     いまは日米に根を張る同盟でも、不断の点検がなければ空洞化する。より強固な日米関係を築くためにも、同盟の将来像を描く活発な議論が求められる。

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