今夏の参院選から選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられるのを踏まえ、自民党文科部会は5月31日、学校教育での政治的中立性を確保するための提言に向けた中間取りまとめを公表した。参院選の状況などを見据えながら、教特法を改正し、中立性に反した場合の罰則規定を設けるか検討するとした。
中間取りまとめでは、現行法では、教員の政治的中立性を担保するための処分行為としては「抑止力となっていない」と強調。
近づいた参院選や高校での主権者教育の状況をみながら、教特法に罰則規定を設けるとしている。同法は、現行の国家公務員法の「政党又は政治的目的のために、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない」を準用しているが、罰則規定がない。
一方、臨時措置法第3条には、国公私立小・中学校の教員が偏重した政治教育・指導を実施すれば、「1年以下の懲役又は3万円以下の罰金」が下されるとされている。中間取りまとめでは、罰則の対象を高校教員にも広げるのを検討するとしている。
学校などでの政治的中立性の現状について、同党地方組織から意見を集約するほか、ネットで国民の声を公募する案も示した。
改正に動きだすのであれば、次期臨時国会での法案提出を視野に入れている。
同党は文科省に対して、通知だけでなく、教員の初任者研修や免許更新研修、管理職研修などで教育現場での政治的中立性の周知徹底を促すように要望した。
文科部会長の木原稔衆院議員は、今夏の参院選では、学校現場で政治的中立性を脅かすような事案が起こる可能性があるとした上で、「参院選の実例をもって秋以降の議論につなげていく。姿勢だけは国民に伝えておこうと、中間取りまとめを公表した」と説明した。